産後に起こる出血「悪露」とは?異常な悪露や生理との違いについて【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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産後に起こる出血「悪露」とは?異常な悪露や生理との違いについて【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

産後に起こる出血「悪露」とは?異常な悪露や生理との違いについて【医師監修】

 

出産後は、お腹から赤ちゃんが出ることによってママのからだにはさまざまな変化が起きます。そのなかでも「悪露」は、出産したママすべてにみられる産後の正常な現象のひとつです。

 

今回は産後直後から出現する「悪露」について、その経過や特徴について詳しくお伝えします。また、異常な悪露状態や、産後の生理との見分け方についてもお伝えしますのでぜひ参考にしてください。

 

 

1.悪露とは

悪露とは、出産直後からみられる出血の混じったおりもの・分泌物のことです。

悪露の内容は、血液成分とリンパ球で、胎盤がはがれた際の血液の断裂部からの出血や、卵膜がはがれたときに生じた子宮にできた傷からの出血、子宮にたまっていた血液や粘液です。

悪露の状態は、出産後子宮が元に戻ろうとする「子宮復古」が順調に進んでいるかをみる大切な目安になります。出産したあとしばらくは、入院中に毎日子宮の大きさや悪露の状態を確認していきます。

 

 

2.悪露の経過・色の変化

 

悪露は時間の経過とともに、量や色、においなどの性状に違いがでてきます。どのような経過を辿るのか確認しましょう1)

 

1)赤色悪露:産後直後~4日目頃まで

産後直後~4日目頃までの悪露は、赤い色をしている悪露で、大部分が胎盤剥離面からの血液です。量も多いため、こまめなナプキン交換が必要になります。

特に産後直後の悪露の色は、鮮やかな色をしており、小さな血液の塊が排出されることもあります。悪露のにおいは血液のにおいが主です。

 

2)褐色悪露:産後5日~14日目頃

産後5日~14日目頃までの悪露は、徐々に茶色・褐色になり量も中程度になります。血液成分が減少するのと、血液成分であるヘモグロビンが褐色に変化するために色が変化するのです。

たまに、腹圧がかかる、後陣痛が起こる、授乳による子宮収縮などによって、赤色悪露がみられたり、量が多めに出たりすることもありますが、ほとんどは一時的です。悪露のにおいは軽い臭気があることもありますが、徐々に無臭になります。

 

 

 

3)黄色悪露:産後2週~3週間目頃

産後15日目以降になると、子宮内膜の排出がほぼ終わるため、次第に出血も止まってきます。そのため、悪露の量も減少し色も黄色に近くなります。血液成分が減少し、白血球が増加することによる色の変化です。においも無臭のことが多いでしょう。

 

4)白色悪露:産後4~6週目頃

産後4週頃になると、悪露の排出量も減り、ときどき排出が見られるほどになるでしょう。色は白色に近くなりさらさらした白っぽいおりもののようになります。やがて悪露の排出が完全にみられなくなります。

 

 

3.悪露がでたらどうする?対処法とは

 

悪露が出るからといって、心配しすぎる必要はありません。悪露の量に合わせてナプキンのサイズや交換の頻度を減らしていきましょう。タンポンの使用は、産後で受けた膣の傷への負担や、感染症を招く原因になります。悪露の対処でタンポンの使用は避けましょう。

 

また、産院によってはトイレ時に陰部を清浄綿で拭き上げを勧められることもあるでしょう。赤色悪露が続くうちは、陰部の清潔にもなるため清浄綿があると便利です。ウォシュレットの使用は、個人の状況によってことなるため、入院時に医師に確認するとよいでしょう。

 

赤色悪露時

産後直後は、産後ナプキンのような大きめで厚みのあるナプキンを使用すると安心です。手持ちの産後ナプキンがなくなったら、新しいお産用ナプキンか夜用の生理用ナプキンを使用するのもよいでしょう。

 

褐色悪露時

悪露の量が減ってきた褐色悪露ぐらいになると、生理用のナプキンを使用するとよいでしょう。ママは日中も横になることが多いため、後ろモレが心配な方は夜用のナプキンを使用するのがおすすめ。量が多いときはその都度ナプキン交換をしましょう。

 

黄色・白色悪露時

悪露の排出量が減ってくると、おりものシートで対処できるようになってきます。しかし、尿もれが続く場合は尿もれシートで対処していくとよいでしょう。

 

 

4. 悪露と産後の生理の見分け方とは

 

悪露は、最初は赤色を呈し量も多いですが、1か月ほどになると色が薄くなり量も少なくなります。悪露の量が順調に少なくなり、色も薄くなってきたことを確認したあとで起こる鮮血は生理の可能性があります。

 

一般的には産後2か月目に入ってからの出血は、生理の可能性が高いといえます。その出血が1週間ほど続く(最初の3日目までは量が多く、その後量が少なくなる)ようなら生理が開始したと考えます。

 

しかし、産後2か月まで、ずっと赤色や褐色の出血が続いているようであれば、異常な悪露・不正出血の可能性も考えられます。また、産後の生理再開前後に生理痛(下腹部痛・腰痛など)がみられることもありますが、妊娠を期に生理痛の程度が変わることも多いため、下腹部痛といった痛みが産後からずっと続いている場合も注意が必要です。

 

 

5.異常な悪露・病気がかくれているケースとは

 

悪露の状態や性状によっては、異常なケースや病気がかくれていることがあります。子宮復古や悪露の状態は1か月健診で医師が確認しますが、1か月健診までに、または1か月健診後に以下の状態がみられたときは、医師に相談しましょう。

 

悪露の排出が徐々に治まっていたのに…
・急に悪露の量が増え、続いている
・鮮血が出て続いている
・レバーのような塊が出た
・大量出血をした
・排出物に強い臭いがするようになった
・下腹部痛や発熱がある  など

 

異常な悪露で考えられるトラブルとしては、子宮が元の大きさに戻れずうまく収縮ができない状態である「子宮復古不全」、子宮内膜炎など子宮内で菌が繁殖し感染をおこす「子宮内感染」、子宮内に胎盤や卵膜が残ってしまう「胎児付属物の残留」などがあります2)

悪化を防ぐためにも、心配なことや不安な症状があれば医師に相談していきましょう。

 

 

まとめ:悪露と仲良くつきあおう

出産後すぐから悪露が出現するため、育児と同時に自分のケアでわずらわしさを感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、悪露は自分の体が、妊娠前の体に戻ろうとするための大切な変化の過程でもあります。

自分にあったナプキンを使用するなどして、なかよく付き合っていきましょう。また、日々の悪露を確認することは、異常の早期発見にもつながります。今回ご紹介した異常な所見があるときは、我慢や無理はせず医師に相談してくださいね。

 

 

 

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出典
1) 日本産科婦人科学会誌 59巻 10号: 産科疾患の診断・治療・管理「3.分娩の生理・産褥の生理」
2) 日本産婦人科医会:後期分娩後異常出血

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。