産後の尿漏れはいつまで続く?原因と今日からできる対策・治し方【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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産後の尿漏れはいつまで続く?原因と今日からできる対策・治し方【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

産後の尿漏れはいつまで続く?原因と今日からできる対策・治し方【医師監修】

 

出産後、くしゃみや咳をした瞬間に尿が漏れてしまう。そんな経験に戸惑っているママは決して少なくなく、人に相談しづらいデリケートな悩みです。

本記事では、産後の尿漏れがなぜ起こるのか、その原因から具体的な対策・治し方まで、産婦人科の視点からわかりやすくお伝えします。

 

 

1. 産後の尿漏れはなぜ起こるの?知っておきたいメカニズム

 

「なぜ出産後に尿漏れが起きるの?」と疑問に思うママは多いです。実は、妊娠・出産を経た体には、尿漏れが起こりやすくなる明確な理由があります。

 

1) 妊娠・出産で骨盤底筋がダメージを受ける理由

骨盤底筋とは、骨盤の底に位置しハンモックのように膀胱・子宮・直腸を支えている筋肉群のこと。尿道や肛門を締める役割も担っており、排尿のコントロールに深く関わっています。

妊娠中は、赤ちゃんの成長とともに大きくなった子宮が膀胱や骨盤底筋を長期間にわたって圧迫し続けます。さらに、経腟分娩では赤ちゃんが産道を通る際に骨盤底筋が大きく引き伸ばされ、筋肉や神経がダメージを受けることがあります。
このダメージによって骨盤底筋がゆるむと、膀胱や尿道を支える力が弱まり、尿を「しっかり止めておく」機能が低下してしまいます。これが、産後の尿漏れが起こる根本的な理由です。

 

2) くしゃみ・咳で漏れてしまうのは「腹圧性尿失禁」

産後の尿漏れの多くは、「腹圧性尿失禁」と呼ばれるタイプです1)。くしゃみや咳、笑ったとき、重いものを持ち上げたときなど、お腹に力が入った瞬間に尿が漏れてしまうのが特徴です。

本来、健康な状態では腹圧が上がる際に骨盤底筋が反射的に収縮し、尿道をしっかり閉じます。しかし出産によって骨盤底筋がゆるんでいると、この反射がうまく働かず、尿道を締めきれないまま尿が押し出されてしまうのです。

 

 

2. 産後の尿漏れはいつまで続く?治らないと不安なママへ

 

産後の尿漏れが続くと、不安になるのは当然のことです。回復には個人差がありますが、期間の目安を知っておくことで、焦りや不安を和らげることができます。

 

1)多くは産後2〜3ヶ月で改善、1年以内が一つの目安

産後の尿漏れは、産後ケアや体の自然な回復とともに改善するケースが多く、産後2〜3ヶ月を経過するころから症状が軽くなる方が多く、遅くとも産後1年以内に改善する方がほとんどです。
骨盤底筋は出産後も時間をかけて回復しようとしており、この時期に骨盤底筋トレーニングなどのセルフケアを取り入れると、回復をサポートすることができます。

 

2)産後2年・5年経っても治らない場合に考えられること

一方で、産後2年が経過しても、あるいは5年経っても尿漏れが治らないというケースも存在します。このような場合には、いくつかの要因が重なっていることが多いとされています。

・出産回数が多く、骨盤底筋へのダメージが蓄積されている
・分娩時に骨盤底筋や神経が大きく損傷した
・体重増加が続いており、骨盤底への負荷が軽減されていない
・骨盤底筋トレーニングを継続できていない

 

これらの場合、自然回復が難しいこともあり、セルフケアだけで対応するには限界があります。産後2年以上経っても改善の実感がない場合は、「いつか治る」と放置せず、婦人科や泌尿器科への受診を検討するサインと考えてください。

 

3)30代以降は特に注意したいポイント

30代での出産では、20代と比べて筋力や組織の弾力性が低下しはじめている時期と重なるため、骨盤底筋の回復に時間がかかりやすい傾向があります。加齢に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の緩やかな低下も、骨盤底組織の質に影響します。

30代以降のママは、早め早めのケアが特に重要です。産後の体の回復を過信せず、骨盤底筋トレーニングを習慣化しながら、症状が長引く場合は早期に専門家に相談する姿勢を持つことが、長期的な改善につながります。

 

 

3. 今日からできる産後尿漏れの対策と治し方

 

「具体的に何をすればいいの?」というママのために、自宅で無理なく取り組めるセルフケアをまとめました。特別な器具や大きな時間は必要ありません。育児の合間にできる方法を中心に紹介します。

 

1)骨盤底筋トレーニングで根本から改善する

尿漏れ対策の基本中の基本が、骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)です2)。ゆるんだ骨盤底筋を意識的に鍛えることで、尿道を締める力を取り戻すことができます。

【基本的なやり方】

➀ 仰向けに寝るか、椅子に座った状態でリラックスする
➁ 肛門・腟・尿道を「内側にギュッと引き上げる」イメージで、ゆっくり3〜5秒締める(お腹やお尻に力が入らないよう注意)
③ 力をゆっくり抜いて、3〜5秒リラックスする
④ これを10回繰り返し、1日3セットを目安に行う

 

効果が実感できるまでには4〜8週間程度の継続が必要とされています。「全然変わらない」と感じても、最低でも2〜3か月は続けることが大切です。テレビを見ながら、授乳中など「ながらトレーニング」が続けるコツです。

 

2)尿漏れパッドの上手な活用で安心して過ごす

骨盤底筋トレーニングの効果が出るまでの間、外出時や活動量が多い日の不安を和らげてくれるのが尿漏れパッド(吸水ライナー・吸水パッド)です。
よく「生理用ナプキンで代用している」という方もいますが、尿漏れパッドと生理用ナプキンは構造が異なります。生理用ナプキンは経血(粘度のある液体)の吸収に最適化されており、尿(水分)の吸収・消臭には対応しきれないことがあります。尿漏れパッドは尿を素早く吸収して肌に戻さない構造になっており、においも抑えやすく、尿漏れには専用品の使用をおすすめします。

吸水量は「数滴〜軽い尿漏れ用(約30mL以下)」から「中〜多量用」までさまざまです。最初は少量タイプを日常使いし、症状の状態に合わせてサイズを調整しましょう。「尿漏れパッドを使うことへの抵抗感」を感じるママもいますが、体を守るための道具として上手に取り入れてみてください。

 

3)日常生活で気をつけたい習慣

骨盤底筋への負担を減らす生活習慣を意識することも、尿漏れ改善の大切な対策です。

体重管理は見落とされがちなポイント。産後の体重増加が続くと、骨盤底への慢性的な圧迫が増し、筋肉の回復を妨げます。急激なダイエットは禁物ですが、バランスのよい食事と適度な活動で体重を落ち着かせていくことが助けになります。

便秘予防も重要です。排便時にいきむ動作は骨盤底筋に強い圧力をかけるため、便秘が続くと骨盤底への負担が増します。食物繊維や水分をしっかりとり、腸の調子を整えましょう。

また、重いものを持つとき(赤ちゃんを抱っこするときも含む)は、持ち上げる直前に骨盤底筋を意識的に締めてから動作すると、腹圧による尿漏れを予防しやすくなります。

 

 

4.こんなときは産婦人科を受診しましょう

 

セルフケアは大切ですが、次のような状況が続く場合は、一人で抱え込まず産婦人科や泌尿器科への受診をおすすめします。

・産後1年以上経過しても尿漏れが改善しない、または悪化している
・骨盤底筋トレーニングを2〜3か月続けても効果を感じられない
・尿漏れの量が増えてきた、または頻尿・残尿感なども出てきた
・日常生活(外出・運動・仕事)に支障が出るほど症状がつらい
・骨盤臓器脱(腟から何かが出てくる感覚)が気になる

 

受診すると、問診・尿検査・骨盤底の評価などを通じて、尿漏れの原因や程度を詳しく調べてもらえます。治療の選択肢としては、専門家による骨盤底リハビリ、薬物療法、重症例には手術療法もあり、症状や生活スタイルに合わせて相談できます。

 

 

まとめ:産後の尿漏れは正しいケアで改善できる

産後の尿漏れは、妊娠・出産による骨盤底筋のゆるみが主な原因で、くしゃみや咳など腹圧がかかる瞬間に起こりやすいものです。多くの場合は産後1年以内に改善しますが、2年・5年と治らないケースや、30代以降で長引く場合もあります。

骨盤底筋トレーニングや尿漏れパッドの活用、日常生活の工夫を組み合わせながらケアを続けましょう。それでも改善しないときは、一人で悩まず産婦人科に相談をしてくださいね。

 

 

 

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参考文献・参考サイト
1)MSDマニュアル家庭版:成人の尿失禁
2)看護roo!「尿失禁、恥骨痛・腰痛」
3)日本泌尿器学会「尿が漏れる・尿失禁がある」

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。