夜中に足がつって目が覚める…妊娠中のこむら返りの原因と今すぐできる対策【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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夜中に足がつって目が覚める…妊娠中のこむら返りの原因と今すぐできる対策【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

夜中に足がつって目が覚める…妊娠中のこむら返りの原因と今すぐできる対策【医師監修】

 

「寝ているときに突然足がつって飛び起きた」「最近ふくらはぎがよくつる」妊娠中、こむら返りに悩まされるママはとても多くいます。こむら返りとは、ふくらはぎなどの筋肉が突然けいれんし、激しい痛みを伴う状態のことです。

今回は、妊娠中にこむら返りが起きるメカニズムから、予防・対処の方法までわかりやすく解説します。

 

 

1. 妊娠中にこむら返りが起きるのはなぜ?その原因

 

妊娠中の身体は、赤ちゃんの成長を支えるために目まぐるしく変化しています。その変化の中に、こむら返りが起きやすくなる原因がいくつも潜んでいます。

 

1) ミネラル不足が大きな引き金—カルシウム・マグネシウムの役割

妊娠中は、赤ちゃんの骨や神経の発育のために、カルシウムやマグネシウムといったミネラルが通常よりも多く必要になります。赤ちゃんへ優先的に栄養が届けられる一方で、ママ自身の体内ではこれらのミネラルが不足しがちになるのです。

カルシウムとマグネシウムは、筋肉の収縮と弛緩を正常にコントロールするために欠かせないミネラルです。カルシウムが筋肉を収縮させるのに対し、マグネシウムは収縮した筋肉を弛緩させる働きを担っています。このバランスが崩れると、筋肉が収縮したまま元に戻れなくなり、こむら返りが起きやすくなります。
また、妊娠中は血液量が増加するため、ミネラル濃度が相対的に薄まる「希釈」の影響も受けます。

 

2) 大きくなるお腹が血流を妨げる—循環不全と疲労の影響

妊娠が進むにつれ、大きくなった子宮が下半身の太い血管(下大静脈など)を圧迫するようになります。これにより、足から心臓へ血液が戻る流れが滞り、血行不良が生じやすくなります。

血流が悪くなると、ふくらはぎの筋肉への酸素や栄養の供給が不十分になり、疲労物質が溜まりやすくなります。その結果、筋肉が過敏になり、ちょっとした刺激でけいれんを起こしやすい状態になるのです。
さらに、妊娠中の体重増加によって足への物理的な負担が増すことも見逃せません。長時間の立ち仕事や歩きすぎによるふくらはぎの疲労蓄積、むくみなども、こむら返りのリスクを高める要因となります。特に夜間は横になったときの姿勢の変化や冷えが加わり、症状が出やすくなります。

 

 

2. いつから始まる?妊娠の時期とこむら返りの関係

 

「いつ頃からこむら返りが起きるの?」と気になっているママも多いのではないでしょうか。実はこむら返りの頻度は、妊娠の時期によって変化する傾向があります。

 

1) 中期(妊娠5〜7ヶ月)から増え始める傾向がある

こむら返りは、妊娠中期(妊娠20週前後)ごろから経験するママが増えてくる傾向があります。この時期はお腹が目立ち始め、子宮も急速に大きくなることで、下半身の血流への影響が少しずつ現れ始めます。

また、「まだ5ヶ月なのにもうつった」という場合は、子宮の圧迫よりも水分不足や冷えが原因であることも少なくありません。エアコンの効いた室内での冷えや、仕事や家事で忙しく水分補給を忘れがちになることが、筋肉のけいれんを誘発することがあります。中期はまだ比較的動きやすい時期だからこそ、冷え対策と水分補給を意識することが大切です。

 

2) 後期(妊娠8ヶ月〜)は特に頻度が上がりやすい

妊娠後期(妊娠28週以降)になると、子宮がさらに大きくなり、下半身への血管の圧迫が強まります。その影響で夜間のこむら返りが増え、「毎晩のように起きてしまう」と訴えるママも少なくありません。

睡眠を妨げるほどつらくなるケースもあり、疲労が蓄積することでさらに症状が悪化するという悪循環に陥ることもあります。後期は足のむくみも強くなるため、血液循環がより滞りやすく、こむら返りが起きやすい状態が続きます。この時期は特に、寝る前のストレッチや保温、横向きで寝るなどの工夫が効果的です(横向き寝は子宮による大血管の圧迫を軽減するとされています)。

 

 

 

3. つってしまったとき、どうすればいい?正しい対処法

 

こむら返りは突然やってくるため、パニックになってしまうのは当然のことです。しかし、間違った対処をすると症状が悪化したり、転倒などのリスクにつながることもあります。正しい手順を事前に知っておくことで、落ち着いて対処できるようしましょう。

 

【基本の対処手順】

➀つっている筋肉を無理に動かしたり、強くもみほぐしたりするのはNG。筋肉がけいれん中に強い刺激を与えると、症状が長引いたり、筋肉を傷めてしまうことがあります。

➁基本の対処法は、つま先をゆっくりと自分の方向(頭側)に引き寄せ、ふくらはぎをじんわり伸ばすストレッチです1)。痛みがある中では難しく感じるかもしれませんが、10〜30秒ほどかけてゆっくりと行うことがポイントです。

③ただし、妊娠後期はお腹が大きくて前屈みになりにくく、一人では足先をつかみにくい場合もあります。そのようなときは、近くにいるパートナーに「つま先を手前に押してもらう」よう頼みましょう。パートナーは足の裏を優しく手前に押し返すだけで、十分なストレッチ効果が得られます。

④症状が落ち着いてきたら、その後はふくらはぎを優しくさするようにして血流を促すと回復が早まります。立ち上がる際は、ゆっくりと動作し、再発を防ぎましょう。

 

 

4. 繰り返させない!妊娠中のこむら返り予防と日常の対策

 

こむら返りは完全にゼロにすることは難しいものの、日々の食事・ストレッチ・生活習慣を見直すことで、頻度を大きく減らすことができます。日常の中で無理なくできる予防対策を、3つの観点からご紹介します。

 

1) 食事で補う—カルシウム・マグネシウムを意識した食べ方

こむら返りの予防には、カルシウムとマグネシウムの摂取で期待できます。毎日の食事の中で意識的に取り入れるようにしましょう。

カルシウムを多く含む食品には、牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品、桜えびや煮干しなどの小魚、豆腐や納豆などの大豆製品があります。マグネシウムを多く含む食品には、ナッツ類(アーモンド・カシューナッツ)、ひじきやわかめなどの海藻類、ほうれん草や枝豆などの緑黄色野菜が挙げられます2)

さらに、カルシウムの吸収を助けるビタミンDとの組み合わせも意識したいところです。ビタミンDはサーモン・さんまなどの魚類や、きのこ類に多く含まれています。日光浴(15〜30分程度)によっても体内で生成されるため、天気の良い日は散歩を取り入れるのもよいでしょう3)
食事だけで十分な量を摂れない場合は、妊婦用のサプリメントを活用することもできますが、必ず産婦人科の医師または助産師に相談してから使用するようにしてください。

 

2) 寝る前5分でできる!ふくらはぎのストレッチ

就寝前の習慣として、ふくらはぎや足首を伸ばすストレッチを取り入れることは、夜間のこむら返りを予防するのに非常に効果的です。妊娠中でも安全に行えるシンプルな方法をご紹介します。

 

壁を使ったふくらはぎ伸ばし(カーフストレッチ)

壁の前に立ち、両手を壁につきます。片足を一歩後ろに引いてかかとをしっかり床につけ、前脚の膝をゆっくり曲げます。後ろ脚のふくらはぎが伸びていることを感じながら、20〜30秒キープします。左右それぞれ行いましょう。お腹が大きい時期はバランスを崩しやすいため、壁にしっかりと手をついて行ってください。

 

足首まわし(座って行う)

椅子や床に安定して座り、片足を少し持ち上げて足首をゆっくりと内回り・外回りにそれぞれ10回ずつ動かします。血流を促し、筋肉のこわばりをほぐすのに効果的です。

 

これらを就寝30分前を目安に行うと、筋肉がリラックスした状態で眠りにつけます。痛みや違和感がある場合はすぐに中止し、担当の医師や助産師に相談してください。

 

3) 冷え・脱水・長時間同じ姿勢を避ける生活の工夫

足を冷やさないことは特に重要です。就寝時は靴下やレッグウォーマーを活用し、足元を温めましょう。夏場でもエアコンの風が直接あたらないよう注意し、薄手のブランケットなどで足元を覆うなどの工夫が必要です。

水分補給も大切です。脱水状態になると筋肉がけいれんを起こしやすくなるため、こまめに水や麦茶などを飲む習慣をつけましょう。特に夜間の発汗が多い方は、就寝前にコップ1杯の水分を摂ることをおすすめします。

また、長時間立ちっぱなし・座りっぱなしの姿勢は血流を滞らせます。1時間に1回は足首を動かす、短い時間でも歩くなど、意識的に足を動かすようにしましょう。デスクワーク中はフットレストを活用したり、足を少し高くした状態で休むと、むくみの予防にもなります。

 

 

5.こんな場合は受診を—こむら返りが続くときのサイン

 

妊娠中のこむら返りは、多くの場合は身体の生理的な変化によるものであり、適切な予防・対処で症状をコントロールできます。しかし、以下のような場合は、別の病気が隠れている可能性があるため、自己判断せずに必ず医療機関を受診してください。

 

・こむら返りの頻度が非常に高く、毎晩何度も起きるほどつらい
・痛みが非常に激しく、数分経っても治まらない
・片足だけに強い腫れ・熱感・赤みがある
・足の痛みとともに息苦しさや胸の痛みを感じる

 

特に「片足だけの腫れや熱感」は、深部静脈血栓症(DVT)(いわゆるエコノミークラス症候群)のサインである可能性があります4)。妊娠中は血液が固まりやすくなる生理的変化があるため、DVTのリスクが高まることが知られています。早期発見・早期治療が重要な疾患ですので、「いつものこむら返りと何か違う」と感じた場合は、迷わず産婦人科や医療機関に相談しましょう。

 

 

まとめ:正しい知識とケアでこむら返りを乗り越えよう

妊娠中のこむら返りは、多くのママが経験するつらい症状です。しかし、ミネラルの不足や血行不良などの原因を理解し、食事・ストレッチ・生活習慣を意識的に整えることで、その頻度を減らすことは十分に可能です。

一人で我慢する必要はありません。症状が気になるとき、「いつもと違う」と感じたときは、遠慮なくクリニックに相談してください。正しい知識とケアを味方につけて、残りの妊娠期間をできるだけ快適に過ごしましょう。

 

安心・安全に出産を迎えるために、個別栄養相談、助産師外来、母親学級、マタニティビクスなど多種多様なメニューを設けております。

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参考文献・参考サイト
1) 日本医師会:健康プラザ「こむらがえり-足がつった時の対処法-」
2) 公益財団法人長寿科学振興財団:健康長寿ネット「マグネシウムの働きと1日の摂取量」
3) 公益財団法人長寿科学振興財団:健康長寿ネット「日本人のカルシウム摂取とビタミンD」
4) 看護roo!:深部静脈血栓症(DVT)

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。