偽陣痛ってなに?前駆陣痛と本陣痛の違いとは?【医師監修】
- 2024年7月27日
- 更新日: 2024年7月17日
- 医療コラム
赤ちゃんを生み出すための大切なエネルギーである「陣痛」。
陣痛には、直接お産につながる「本陣痛」と本陣痛の前にみられる「前駆陣痛(偽陣痛)」が存在します。なかには、前駆陣痛に不安を感じる方もいるでしょう。
今回は、偽物の陣痛といわれる前駆陣痛(偽陣痛)について、詳しくお伝えします。本陣痛との違いについても説明していますのでぜひ参考にしてください。
1.前駆陣痛(偽陣痛)とは?
前駆陣痛とはお産に直接つながる「本陣痛」の前に起こる、痛みを伴うお腹の張りのことで、「偽物の陣痛」「偽陣痛」などと言われることもあります。本陣痛とは異なり、お腹の張りは不規則で、陣痛発作も弱いのが特徴です。
2.前駆陣痛(偽陣痛)が起こる理由
前駆陣痛が起きる明らかな原因は不明です。一般的には出産にむけ、硬く閉じている子宮の入り口(子宮口)の筋肉を柔らかくし、本陣痛のときに、速やかに子宮口を開きやすくするための子宮収縮といわれています。
しかし、前駆陣痛がみられず本陣痛が起きる場合もあり、前駆陣痛の頻度や期間も個人によってさまざまです。
前駆陣痛は、ママの心と体の「出産の最終準備」ともいえます。前駆陣痛があったとしても焦らず、ゆったりと過ごすこすことが大切です。
3.前駆陣痛と本陣痛の違い
特に初産婦のママは、「前駆陣痛と本陣痛の違いが分からない」「本陣痛に気づけるか不安」という方も多いでしょう。ここでは、前駆陣痛と本陣痛の違いをより詳しくお伝えします。
1)前駆陣痛の症状
いつから起こる?
前駆陣痛の多くは出産が近づいてくる妊娠10か月頃にみられます。とはいえ、前駆陣痛があったからといえ、すぐ出産になるということもありません。
前駆陣痛は、初産婦・経産婦に限らず出現します。経産婦は、本陣痛との違いがわかる方が多いですが、初産婦では判断がつかない方もいます。
夜中や周りに人がいない場合は、前駆陣痛かの判断がつかず不安を感じることもあるかもしれません。心配や不安があれば、かかりつけの産院に相談するとよいでしょう。
どんな痛み?どのくらい続く?
前駆陣痛は規則的に発作がくる本陣痛とは異なり、不規則で継続しません。
例えば、夜中に10分以内のお腹の張りが続いたとおもったら、その後発作の間隔が10分以上になり、朝方には発作が消失しているというケースもよくあります。
痛みの感じ方は個人差がありますが、お腹の張りとともに、軽い生理痛のような下腹部痛や腰痛、臀部痛を訴えることが多いです。
2)本陣痛の症状
本陣痛とは、出産に直接つながるお腹の張りのことをいい、具体的には痛みを伴うお腹の張りが規則的に10分以内にもしくは1時間に6回以上みられるようになると分娩開始となります1)。
本陣痛は、その後も発作の間隔が短くなり、痛みが強くなるのが特徴です。
入院の目安
入院の目安としては、初産婦では規則的な陣痛が10分間隔、経産婦では15分間隔が1時間以上続く場合です。
しかし、すぐに入院するのではなく、一度必ず出産する施設に連絡をし、入院の指示を仰ぎましょう。そのほか、心配な場合や気になるお腹の張りが続く場合も、我慢はせず連絡をしましょう。
4.前駆陣痛がはじまったら
前駆陣痛がみられても焦ることはありません。
しかし、臨月(妊娠10か月)未満の時期である36週までに、頻繁にお腹の張りがある場合は、切迫早産の危険性があるため早めに受診をしましょう。
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前駆陣痛があると、夜しっかり眠れないこともあるかもしれません。いつお産がきても大丈夫なように、時間があるときはしっかり休息しましょう。
また、お産のための体力づくりのために適度な運動も行いましょう。そして、赤ちゃんをいつでも迎えることができるように、お産にむけて心の準備をしていくことも大切です。
さらに、入院の準備や赤ちゃんを自宅に迎える準備の最終確認もしましょう。いざ、本陣痛が始まっても焦ることがないように、入院までのシミュレーションや連絡方法など確認し、安心してお産に臨めるようにしてくださいね。
わからないことがあれば、入院予定の産院にしっかりと確認しましょう。
まとめ:前駆陣痛はこころとからだの準備
前駆陣痛は誰にでも起こる可能性がありますが、いざ発作が起きても焦る必要はありません。「もうすぐ赤ちゃんに会えるんだ」と、ゆったりとした気持ちで、お産にむけて心と体の準備をしてもらえたらと思います。
また、お産の兆候としては前駆陣痛のほかに、おしるし(産徴)や恥骨痛などが現れることもあります。何か心配なことがあればかかりつけの産院に相談し、少しでも不安を少なくした状態で本番に臨んでくださいね。
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出典
1) 日本助産師会 「妊娠中の標準的な健康教育」
この記事の監修
牛丸敬祥 医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長
経歴
- 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
- 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
- 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
- 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
- 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
- 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
- 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。