羊水過多と羊水過少:妊娠中のリスクと対処法【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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羊水過多と羊水過少:妊娠中のリスクと対処法【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

羊水過多と羊水過少:妊娠中のリスクと対処法【医師監修】

 

妊娠中はおなかの赤ちゃんを意識しても、羊水のことまで考える機会は少ないと思います。しかし、羊水は赤ちゃんの成長に欠かせないとても大切なもの。そんな羊水に異常が起こると、赤ちゃんの命が危険になることもあります。

この記事では羊水過多・羊水過少といった、妊娠中の羊水の異常について解説しています。妊婦さん自身では気付きにくい羊水の異常を早期に発見する方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

 

 

1. 羊水ってなに?正常値とAFI(羊水インデックス)の基礎知識

 

羊水とは、子宮のなかにあるアルカリ性の液体です。衝撃から赤ちゃんを守るクッションの役割をしているだけでなく、肺や消化器などの内臓、骨、筋肉などの発達を助ける働きがある赤ちゃんにとって大切なものなのです。

羊水の量は、妊娠週数が進むにつれて徐々に増えていきます。ピークは妊娠後期で、なんと約800mlほどまで羊水の量が増えるといわれています。

そんな赤ちゃんにとって大切な羊水の主な成分は、実は赤ちゃんのおしっこです。羊水を赤ちゃんが飲み、臍帯を通して母体へと戻っていくため、子宮のなかの羊水は3時間ほどで入れ替わりをしているといわれています。

妊婦健診では超音波検査(エコー)を使って、羊水の量や状態を確認します。エコーのほかに羊水の異常を知るために、羊水の深さを数値化した「AFI(羊水インデックス)」を調べることもあります。

【AFI(羊水インデックス)】
羊水過少:5㎝未満
正常値 :5~24㎝
羊水過多 :25㎝以上

AFIの値が正常値より少ないと「羊水過少」、多いと「羊水過多」と診断されます1)2)

 

 

2. 羊水過多と診断されたら

 

AFIで羊水過多と診断された場合、どのような治療がおこなわれるのでしょうか?ここからは羊水過多についてくわしく解説していきます。

 

1) 羊水過多の定義と症状

羊水過多とは、子宮のなかの羊水が異常に多くなっている状態のことです。羊水の深さを調べるAFIが25㎝以上あり、妊娠時期に関わらす羊水の量が800mlを超えると、羊水過多と診断されます。

羊水過多になると、ママはおなかに張りを感じたり、頻尿、むくみが出ることがあります。また、大量の羊水を含んだ子宮が胃を圧迫することで、呼吸が苦しいと感じる人もいるでしょう。ほかにも赤ちゃんの胎動が感じにくいことから、羊水過多が発覚するケースもあります。

重症になると、切迫早産や前期破水のリスクが高くなることもあるため、早い段階で羊水過多を知ることが大切です3)

 

2) 羊水過多の原因とリスク

羊水過多の原因は主に3つあります。

1つめは、羊水が過剰に生産されてしまうことです。原因不明のことが多いですが、中には赤ちゃんに無脳症や二分脊椎といった先天性の異常があると、尿の量が増えて羊水が過剰に生産されてしまうことがあります。

2つめに、赤ちゃんが何かしらの理由で羊水を飲み込むことが困難で、羊水の入れ替わりができないことがあげられます。赤ちゃんの心臓や腎臓に異常があったり、食道や十二指腸が狭窄している場合に羊水がうまく処理できないことがあるのです。

羊水過多の原因は赤ちゃん側だけではありません。3つの原因としてはママが妊娠糖尿病であったり、なんらかのウイルスに感染してしまった場合にも、羊水が多くなってしまうことがあります。

 

 

 

しかし羊水過多は、先にも述べたように、赤ちゃん側にもママ側にも原因が見つからない原因不明な場合も多くあります。

羊水が多いことで起こるリスクとして、早産や逆子、臍帯脱出、破水といったリスクが挙げられます。どれも赤ちゃんの命に関わる重要なリスクとなるため、羊水過多が分かったら医師の指示を受け生活をしましょう。

 

 

 

 

 

3) 治療や管理、入院について

羊水過多では、早産や破水を防ぐために安静にしなければならない場合もあります。

さらに安静は自宅で経過を見るケースと、入院して安静にするケースの2種類があります。おなかの張りが強いときは子宮収縮抑制剤を使ったり、子宮が肺を圧迫して呼吸呼吸困難が出ているときは羊水を抜いて負担を軽くすることもあるでしょう。また、出産予定日よりも早く誘発分娩をすることもありますが、どれも医師がママと赤ちゃんの状態を診ながら決定していきます。

母体側に妊娠糖尿病などの原因がある場合は、そちらの治療を行うことで羊水の正常化を目指します。

 

 

3. 羊水過少と診断されたら

 

羊水過多とは逆に、羊水が少ない羊水過少が起こることがあります。ここからは、羊水過少と診断された場合にどのような治療があるのか、リスクなどについて解説していきます。

 

1)羊水過少の定義と症状

羊水過少とは、正常な羊水の量よりも少ない状態のことです。羊水の深さを測定するAFIが5㎝未満だと、羊水過少だと診断されます。

羊水過少になっていても、妊婦さんが感じる自覚症状は少ないといわれています。妊娠週数のわりにお腹が小さいと感じることや、胎動が少ないことなどから分かることもありますが、産院でのエコーやAFIで発見されることがほとんどです。決められた妊婦健診を必ず受けることで、早期に羊水過少が発見できるでしょう4)

 

2)羊水過少の原因とリスク

羊水過少の主な原因はこちら。
● 破水
● 胎盤機能不全
● 赤ちゃんの腎臓など異常
● 予定日超過

 

羊水過少で子宮のなかに羊水が少ない状態では、外部の衝撃から赤ちゃんを守ることがむずかしくなってしまいます。また、肺の発育が不十分な肺低形成になったり、内臓や骨・筋肉などの赤ちゃんの発育にも影響を与えたりしてしまいます。

さらに、羊水が少ないことで臍帯が赤ちゃんの重みで圧迫されてしまうことがあるため、注意が必要です。臍帯は赤ちゃんへ酸素や栄養を送る大切なライフラインです。羊水過少によって赤ちゃんの命が危険になることもあるため、早期の発見が大切となるでしょう。

 

 

 

3)治療・管理と出産までの流れ

羊水過少と診断されたら、基本的には母体の安静、そして赤ちゃんが健康かどうかをモニタリングします。状態によっては入院が必要で、点滴で水分を補うこともあるでしょう。医師が赤ちゃんの状態や妊娠週数などを総合的に判断して、帝王切開や誘発分娩をすることもあります。

しかし適切な管理と治療を行うことで羊水過少が治るケースや、無事に出産に至るケースも多いです。医師の指示に従い、治療をしっかりと受けていきましょう。

 

 

まとめ:赤ちゃんを守る羊水は、定期的な妊婦検診でチェックしよう!

羊水はおなかのなかの赤ちゃんを守ってくれる大切な存在。内臓や骨、筋肉の成長に必要なだけでなく、クッションの役割で外部の衝撃から赤ちゃんを守ってくれます。

そんな羊水に異常が起こっても、妊婦さん自身で気付くことがむずかしいでしょう。そのため、定期的な妊婦健診で赤ちゃんの状態とあわせて異常がないかをチェックしていくことが大切です。決められた健診ペースを守ることで、赤ちゃんとママの健康を守っていきましょう。

 

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参考文献・参考サイト
1)秋田大学大学院医学系研究所 羊水の異常
2)日本産婦人科医会 35.羊水過多
3)MSDマニュアル 羊水過多
4)MSDマニュアル 羊水過少

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。