お産の入院はいつから?電話するタイミングやお産の兆候について【医師監修】
- 2025年1月25日
- 更新日: 2025年2月8日
- 医療コラム
出産を控えた妊婦さんにとって、「いつ入院すればいいの?」という不安は尽きないものです。特に初産婦さんは、陣痛や破水などの兆候がわかりにくく、どのタイミングで電話連絡をするのか難しいと感じることもあるかもしれません。
今回は、入院のタイミングや電話連絡の目安、お産の兆候などについて詳しく解説します。
いざというときに落ち着いて対応できるように、事前に家族と確認し、家族で共有しておきましょう。
1.どうなったら入院する?電話のタイミングは?
どのような状態になったら入院をすべきなのか、医療機関への電話のタイミングもあわせて確認していきましょう。
1) 陣痛
陣痛とは、出産が近づくにつれて生じる規則的な子宮の収縮のことをいいます。
初期の陣痛は不規則で軽度ですが、進行するにつれて痛みの間隔が規則的かつ間隔が短くなり、痛みが強くなっていくのが特徴です。
一般的な入院の目安としては、初産婦は陣痛間隔が10分以内で1時間以上続く場合は一旦連絡を、経産婦は進行が早いため、陣痛間隔が15分程度になったら連絡を入れましょう。
ただし、医療機関までの距離や交通状況などによっても入院するタイミングは異なるため、不安な場合は早めに病院に連絡してください。また、予定日よりかなり早い時期に陣痛らしき症状が出た場合も早めに病院に相談しましょう。
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2) 破水
破水は、胎児を包んでいる羊膜が破れて羊水が流れ出す現象で、陣痛がない場合でも起こることがあります。破水を感じた場合は、すぐに医療機関へ連絡しましょう。
羊水は基本無色透明で、破水の量は少量から大量とさまざま。そのため、尿漏れと勘違いしやすいすることもあり、発見が遅くなるときもあるため注意が必要です。破水後は感染リスクが高まるため、シャワーや入浴は控え、清潔な生理用ナプキンを使用して速やかに入院の準備をしていきましょう。
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3) その他
陣痛や破水のほかにも、入院をしないといけないタイミングがあります。必ず確認しておきまよう。
胎動が少ない・感じない
赤ちゃんがいつもより動かない、胎動の回数が減ったと感じる場合は注意が必要です。胎動の減少は、赤ちゃんの状態が悪くなっているサインである可能性もあります。すぐに連絡をしましょう。
出血が多い
鮮血や多量の出血がある場合は、胎盤早期剥離などの可能性があります。出産が起こる前にある産徴との区別が難しい場合もあるため、量や色に関わらず、出血を確認したら連絡をしましょう。
お腹の張りや痛みがずっと続くとき
一般的に陣痛は、必ずおやすみがあります。お腹がずっと続いている、ずっと痛い場合は異常が起こっている可能性があるため、早めに医療機関に連絡しましょう。
正期産前(37週未満)の場合は早産の可能性もあるため、必ず病院に相談しましょう。
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2.お産がはじまる前にみられる症状・兆候とは
出産が近づくと、体にさまざまな変化が現れます。ここでは、お産の始まりを予測できる主な症状や兆候について解説します。
1)前駆陣痛
前駆陣痛は偽陣痛とも呼ばれ、お産本番の前に現れる不規則な陣痛です。これは子宮口が少しずつ開いていく準備段階として現れます。
前駆陣痛の強さや持続時間は個人差があり、軽い生理痛のような痛みを感じることもあれば、痛みを感じない人もいます。通常は、休息や姿勢を変えることでしばらくすると和らぐことが特徴です。
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2)産徴(おしるし)
お産の始まりが近づくと、「産徴」または「おしるし」と呼ばれるおりものに血が混じった粘液1)が出ることがあります。
色は薄いピンク色や茶色などさまざまで、量もティッシュにうすく付く程度から、べったりと付く程度とさまざまです。これ自体は入院の必要はありませんが、その後の陣痛や破水の兆候を見逃さないようにしましょう。
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3)その他
その他のお産の兆候として、以下の症状が現れることもあります。程度が強い場合や不安を感じる場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
・お腹の位置が下がる
・頻尿がより増す
・腰痛や足の付け根の痛みが強くなる
・腹の形が変化し、呼吸や胃が楽になる など
3. 電話連絡時の注意すべきポイント
医療機関に電話連絡する際は、なるべく妊婦本人がかけましょう。
本人以外がかけてしまうと、本人の状況がうまく伝わらないことがあります。家族がかける場合は、電話の前に必要な情報を紙に書いておきます。また、落ち着いて状況を正確に伝えることをこころがけましょう。
病院に電話連絡する際は、落ち着いて以下の情報を伝えられるようにします。
・氏名と出産予定日
・診察券番号
・妊娠週数
・連絡する症状(陣痛の間隔、破水の有無、出血の量、胎動の状況など)
・その他の症状
・何回目の出産か
・自宅の住所と連絡先
・自宅から病院までの所要時間 ・移動手段の予定など
4.安全でスムーズな入院ができるために、出産前に確認すべきこと
突然の陣痛や破水に備えて、事前の準備と確認が重要です。あわてることなくスムーズな入院ができるよう、以下の点について事前に準備しておきましょう。
1) 入院の準備を終わらしておく
入院バッグの中身を事前にチェックリストで確認し、陣痛が始まってから慌てないように、妊娠後期までに準備を済ませておきましょう。
母子手帳、保険証、入院費用、衣類、洗面用具などの必需品を整理し、すぐに持ち出せる場所で家族がわかる場所に置いておきます。入院時の必要物品は医療機関によって異なるため、早めに確認をしておくとより安心です。
2) 入院時の移動手段の確認
陣痛が始まった時、誰がどのように病院まで連れて行ってくれるのか、事前に家族や周囲の人と相談し周知しておきましょう。家族の連絡先リストを作成するのも便利です。また、昼夜問わず利用できるタクシー会社の電話番号を控えておく、妊婦専用のタクシーの登録を事前に行うなども大切です。自家用車の場合は、当日のルートや駐車場の確認をしておくなどして具体的に計画を立てておきましょう。
3)入院当日の流れをあらかじめシミュレーションしておく
移動手段と同様、入院当日の流れをシミュレーションすることが大切です。家にひとりの場合や、夜間の場合、上の子の預け先などはしっかりと確認しておく必要があります。また、家族への連絡方法や留守中の対応についても事前に決めておくと安心です。入院までの流れをシミュレーションしておくことで、当日落ち着いて行動する助けになるでしょう。
まとめ:入院時のことを家族で話し合おう
出産は、いつ、どのようなタイミングで始まるのか、予測が難しいでしょう。安心してお産に臨めるためにも、入院のタイミングや出産の兆候、準備すべき事項について事前に理解しておくことが大切です。また、不安な点がある場合は、妊婦健診時に医師や助産師に相談し、アドバイスを受けましょう。安心してお産に臨むことができるためにも、普段から家族と話しをし、スムーズに入院ができるよう準備をしてくださいね。
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出典
1)国立成育医療研究センター:おしるし、破水、陣痛について
この記事の監修
牛丸敬祥 医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長
経歴
- 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
- 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
- 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
- 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
- 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
- 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
- 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。