切迫早産ってなに? 原因や症状、赤ちゃんの影響について【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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切迫早産ってなに? 原因や症状、赤ちゃんの影響について【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

切迫早産ってなに? 原因や症状、赤ちゃんの影響について【医師監修】

 

妊娠中は体調の変化を起こしやすくなるもの。そのなかでも、切迫早産はママの日常生活の制限や赤ちゃんのリスクなどがあるため心配になる方もいるでしょう。

 

今回は切迫早産について、その原因や症状、赤ちゃんへの影響などについて詳しくお伝えします。

 

1.切迫早産とは

 

切迫早産とは、早産になりかかっている早産の手前の状態のことをいいます1)

早産とは正期産以前の出産のこといい、日本では妊娠22週0日から妊娠36週6日までの出産を早産といいます。そのため、切迫早産は妊娠22週から起こる早産症状を指します。

 

早産の割合は出産全体の5%ですが、その手間の状態である切迫早産は、妊婦さんの15%程度という比較的高い割合で起こります。

 

1)症状・兆候

切迫早産はお産時と同じ様に、お腹の張りや痛みが頻回におこり、子宮の出口が開いていく症状がみられます。しかし、妊婦さんによっては無症状・無自覚の方もおり妊婦健診時に発覚することもあります。普段と何か違うなど、気になる症状があれば、妊婦健診を待たずに受診しましょう。

 

【主な切迫早産の症状】
・お腹の張りや痛み
・性器出血
・子宮口が開く、子宮頸管が短くなる
・陣痛前の破水

 

2)診断

 

産婦人科診療ガイドラインによる切迫早産の診断は以下の通りです2)

 

妊娠22週0日から妊娠36週 6日までの妊娠期間中に規則的な子宮収縮が認められ、かつ子宮頸管の開大度・展退度に進行が認められる場合、あるいは初回の診察で子宮頸管の開大が 2cm 以上となっているなど、早産となる危険性が高いと考えられる状態と判断する。

 

前述したように、お腹の張りや痛み、出血などを認め、経腟超音波検査や内診で子宮の入り口の開大や子宮頸管の短縮が認められると診断されます。

日本では全妊婦を対象として,妊娠 18~24 週頃に経腟超音波検査にて子宮頸管長を測定していきます。切迫早産の予防や早期発見ができるためにも、決められた時期に妊婦健診を受けることはとても大切なのです。

 

 

2.切迫早産の原因やなりやすい人とは

切迫早産の原因は不明なことも多いです。しかし、切迫早産になりやすい妊婦さんの特徴はわかってきました。

 

【切迫早産になりやすい人の特徴】3)
過去の妊娠歴や産科合併症より
 早産や前期破水の既往、切迫早産の既往、頸管無力症

現在の妊娠経過より
 多胎妊娠、前置胎盤、血腫、感染、羊水過多

既往歴・合併症より
 子宮疾患(子宮筋腫・腺筋症、子宮形態異常(双角子宮など)、子宮頸部円錐切除術後)、高血圧症、膠原病(全身性エリテマトーデスなど)

生活習慣や社会的背景より
 やせ、喫煙、アルコール、妊娠中の性交渉、若年妊娠

 

以上の因子があるといって、すべての方が切迫早産になるわけではありません。しかし、どれか一つでも当てはまることがあれば、より注意して過ごすことが大切です。

 

 

 

 

3.切迫早産の赤ちゃん(胎児)への影響

 

早産になってしまうと、赤ちゃんが未熟な状態で外の世界に出ることになるため、週数によっては赤ちゃんの命や後遺症のリスクが高くなります。

「切迫早産=赤ちゃんにすぐ影響する」とは限りませんが、早産にならないために、安静や治療をする必要があります。

 

4.切迫早産の治療法とは

切迫早産の主な治療は「安静」と「子宮収縮抑制剤の使用」です。このほかに、感染症に対しては「感染予防」を、頸管無力症に対しては「子宮頸管縫縮術」を行います。切迫早産が進行する場合は、入院管理をすることもあります。

 

1)自宅安静

 

子宮に負担をかけないためにも、まずは安静が必要です。自宅安静といわれた場合は、仕事の調整や必要最低限の家事など、行動制限が必要になってきます。妊婦さんの状態や、サポートの有無などによっても安静の度合いが違うため、自宅安静といわれたらどれくらいの行動までなら大丈夫なのか、かかりつけの医師としっかり相談しましょう。

 

2)入院

自宅での管理が難しい場合は入院を行い管理するとがあります。主にベッド上安静で1日をすごします。安静も立派な治療ですあり、入院中は自宅以上に安静をとることが可能です。

また、必要に応じ子宮収縮抑制剤などを使用し、毎日赤ちゃんの心音などを一緒に確認していきます。

 

切迫早産で一旦入院すると、最低でも2週間以上は入院し様子をみることがほとんどです。人によっては数か月の入院が必要な方もいます。入院中でも妊婦健診は行いますが、毎日赤ちゃんとママの状態をみて、早産にならないよう管理していきます。

 

 

まとめ:切迫早産にならないために、悪化しないために

切迫早産や早産の予防のためには、普段の生活で無理のない妊娠生活を心がけることが大切です。日々の体調の変化やストレスなどにも気を付けて過ごしていきましょう。切迫早産は珍しい症状ではありません。周りの人を頼りながら、何かあればすぐかかりつけの医師に相談してくださいね。

 

 

 

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出典
1) 日本産科婦人科学会 「早産・切迫早産」
2) 日本産科婦人科学会 日本産婦人科医会 「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020」
3)徳島大学医学部 産科婦人科学分野 「切迫早産」

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。