破水とはどんな感じ?破水のときの注意点や対処法について【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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破水とはどんな感じ?破水のときの注意点や対処法について【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

破水とはどんな感じ?破水のときの注意点や対処法について【医師監修】

 

破水は、出産の兆候の一つとして知られていますが、実際にはどのようなものなのか、お産が近づいてくると不安に感じる方もいるかもしれません。

今回は破水について、破水の特徴や見分け方、種類、破水時の適切な対処法などについて、詳しく解説していきます。いざというときに慌てずに済むよう、正しい知識を身につけ、安心して出産を迎えていきましょう。

 

 

1.破水とは

 

破水とは、赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて、中の羊水が外に流れ出てしまうことです1)

もともと卵膜はお腹のなかの赤ちゃんを保護し、羊水は赤ちゃんを衝撃から守ったり、体温を一定に保ったり、感染から守ったりと、胎児の成長に重要な役割を果たしています。

 

破水は一般的に、陣痛が始まってから子宮口が大きく開いた後に起こりますが、そのタイミングは人それぞれで、陣痛が始まる前に起こる場合も珍しくありません。医学的には卵膜の破綻とも呼ばれ、出産の始まりを告げる重要なサインの一つとされています。

 

 

2.破水の見分け方

 

羊水は通常、無色透明か少し白濁した液体です。

妊娠中は、おりものの増加や尿漏れが増えることもあるため、破水との特別がつきにくい場合があります。ここでは、破水の見分け方について説明しますが、必ずしも当てはまるとはいえません。破水の判断がつかない場合は、そのまま様子を見るのではなく一度かかりつけの病院に連絡しましょう。

 

1)色の違い

破水は無色透明、尿漏れは無色~黄色、おりものはクリーム色であることが多いです。

 

2)においの違い

破水は無臭または生臭い特有のにおいがありますが、尿漏れはアンモニア臭、おりものは甘酸っぱいにおいがすることが多いです。

 

3)量の違い

破水の量は少量から大量までさまざまですが、尿漏れは下着で留まるほどの少量の場合が多いです。

 

4)性状の違い

破水と尿漏れはサラサラしており、おりものはねっとりしている(粘稠性が高いこ)とが多いです。

 

5)腹圧で止まるか

破水はお腹に力をいれても止められませんが、尿漏れは腹圧で止められることがあります。また、腹圧が入るとき(立ち上がるときなど)に流れるのは尿漏れ、腹圧がかかっていないにも関わらず流れる感じがする際は破水のことが多いです。

 

6)お腹が痛い、腰が痛い

破水と同時に陣痛がはじまる場合もあります。そのときは、お腹や腰が痛くなるときもありますが、すぐに陣痛が始まらないことも多いです。

 

 

3.破水の種類

 

破水には、発生時期や場所によっていくつかの種類に分けることができます。

 

1) 前期破水

前期破水とは、陣痛が始まる前に羊膜が破れてしまい破水が起こることをいいます。

その割合は全分娩の約10~20%です2)。通常、妊娠37週以降に起こることが多いですが、早すぎる場合には医療的介入が必要になります。前期破水が起こると、子宮内に細菌が侵入しやすくなり、胎児に感染が及ぶリスクが高まるためすみやかな受診が重要です。

 

2)高位破水

子宮口から離れた、高い位置で卵膜が破れることを高位破水と言います。

高位破水の場合、羊水は少しずつ漏れ出すため、尿漏れやおりものと勘違いされることもあり、破水に気づきにくいことがあります。高位破水の場合、羊水が完全には抜けきることが少ないないため、胎児への影響は比較的少ないとされていますが、感染のリスクは存在するため、医療機関でのすみやかな管理が必要です。

 

3)適時破水

陣痛が始まってから、分娩進行に伴って自然に起こる破水を適時破水といい、最も一般的な破水のパターンです。

分娩の進行に合わせて適切なタイミングで起こるため、自然な経過として考えられています。通常、特別な処置は必要なく、破水後はスムーズに分娩が進行することが多いです。

 

 

4.破水が起きたときの対処法

 

破水が起きたときは、すみやかに以下の対処をしていきましょう。

 

1) 下着を清潔なものに交換し、清潔なナプキンをあてる

破水をしたら下着を清潔なものに交換し、清潔な大きめのナプキンをあてましょう。タンポンは感染のリスクを高めるため使用しないでください。

 

2) 入浴やシャワーは避ける

破水で不快に感じても、破水後は入浴やシャワーを避けてください。感染のリスクが高まり危険です。またウォシュレットも避けましょう。

 

3) 破水の時間を記録

破水した時間をしっかり記録し、医療機関に伝えましょう。もし、疑わしい症状が合った場合も記録をすることが大切です。時間だけではなく、そのときの状況や流れたものの色などを記録するとよりよいでしょう。

 

4)病院へ連絡

破水したら慌てず、病院へすみやかに連絡して指示を仰ぎましょう。判断がすぐにつかない場合も一度病院に相談しましょう。

 

5) 適切な移動手段で受診を

タクシーや自家用車を利用し、横になって移動するのが望ましいです。

タクシーはあらかじめ妊婦専用のサポートタクシーに登録しておくことをおすすめします。助産師などの指導を受けた専門のドライバーと対処セットを搭載したタクシーでより安心して、受診することができます。

自家用車の運転は自分で行うのは避け、他の家族の運転で移動しましょう。車内では横になり、ビニールシートとバスタオルを敷いて移動します。

全く移動手段がない場合は、病院と相談し救急車を要請することもあります。

 

 

5.破水から出産の流れ

 

破水後の経過は個人差が大きく、以下のようなパターンがあります。

 

1) 自然経過で様子をみる

破水後、自然に陣痛が始まり分娩に移行するケース。多くは24時間以内に陣痛が始まります。

 

2) 誘発分娩を行う

破水後、一定時間経過しても陣痛が始まらない場合や医学的な必要性がある場合は、薬剤で陣痛を誘発します。

 

3) 場合によっては帝王切開を行うこともある

胎児の状態や母体の状況により、帝王切開が選択されることもあります。特に前期破水で感染リスクが高い場合や、胎児の状態が心配な場合などが該当します。

 

4)妊娠37週未満(早産期)の対処

早産期に起こった場合は、すぐに陣痛促進剤を使用することはせず、感染症の予防や赤ちゃんの肺を成熟させるための処置を行いながら、様子を見る場合もあります3)

 

 

 

まとめ:破水が起きたら焦らず連絡を

破水は出産の重要なサインですが、あわてる必要はありません。破水に気づいたらすみやかに医療機関に連絡し、陰部を清潔に保つことを心がけながら受診することが大切です。安心して出産を迎えられるよう、破水に対して正しい知識を身につけ、出産にむけて心も体も準備していきましょうね。

 

 

 

 

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出典
1)国立成育医療研究センター:おしるし、破水、陣痛について
2)荒木勤(2010).最新産科学異常編.347-350,東京:文光堂.
3)日本産科婦人科学会:早産・切迫早産

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。