妊娠中に必要な栄養とは?食事で気をつけるポイント【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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妊娠中に必要な栄養とは?食事で気をつけるポイント【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

妊娠中に必要な栄養とは?食事で気をつけるポイント【医師監修】

 

妊娠中は栄養や食事を気にかけてすごすことが多いでしょう。妊娠中のママの健康とお腹の赤ちゃんの健やかな発育のために、食事はとても大切です。

今回は妊娠中、安心して楽しく食事を摂ることができるために

妊娠中に必要な栄養と、食事のポイント、控えたほうがよいものについて詳しくお伝えします。

 

1.妊娠中の食事はいつから気をつける?食事の基本とポイント

 

妊娠中の食事は、妊娠を望んでいる時期から意識してほしいもの。思わぬ妊娠の際は、妊娠がわかったときから意識していきましょう。

 

とはいえ、つわりで十分な食事がとれない場合もあります。その際は無理せず、食べやすい食材を選び水分摂取を心がけましょう。

 

妊娠中の食事の基本は、主食・主菜・副菜を揃えた、バランスのよい食事を1日2回以上食べること。

毎日は難しいかもしれませんが、数日~1週間で全体の栄養バランスをみて、無理なくすごしていきましょう。

 

現在、若い女性では「やせ」の割合が高く、エネルギーや栄養素の摂取不足が心配されています。また、バランスの取れていない食事は栄養不足を招き、お腹の赤ちゃんの成長に影響する可能性があるため注意が必要です。妊娠中は過度なカロリー・食事制限は避けましょう。

 

厚労省が発表した妊産婦の食生活のポイントは以下の通りです。

 

妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針
~妊娠前から、健康なからだづくりを~

・妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう
・「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと
・ 不足しがちなビタミン・ミネラルを、「副菜」でたっぷりと
・ 「主菜」を組み合わせてたんぱく質を十分に
・ 乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを十分に
・ 妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に
・母乳育児も、バランスのよい食生活のなかで
・ 無理なくからだを動かしましょう
・ たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう
・お母さんと赤ちゃんのからだと心のゆとりは、周囲のあたたかいサポートから

※厚生労働省『妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針(令和3年3月)』1)より

 

 

 

 

2.妊産婦のための食事バランスガイドを活用しよう

妊産婦さんが上手に食事を摂るために、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかの目安がわかる『食事バランスガイド』の活用がおすすめです。

 

食事バランスガイド2)とは、「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5グループの料理や食品を組み合わせてとれるよう、コマに例えてそれぞれの適量をイラストでわかりやすく示している食事摂取基準を示したものです。

 

目安量に加え、妊娠期に応じたプラスに摂取してほしい量(付加量)もしっかり摂取するよう、数日単位で食事を見直し、無理なく続けられるよう、食事を調整しましょう。

 

 

 

 

 

3.妊娠中に意識して摂りたい大切な栄養とは

 

健やかな赤ちゃんの成長と妊娠生活のためにも、妊娠中全期間で意識して摂りたい栄養素3)をご紹介します。

 

1)葉酸

葉酸は、胎児の神経管形成において重要な栄養素です。特に、二分脊椎などの神経管閉鎖障害の予防に役立ちます。

 

そのため、妊娠初期や妊娠を希望する女性、そして妊娠可能性のある女性は、食事に加えて、サプリメントなどから1日に400μgの葉酸を追加摂取することが推奨されています。サプリメントは用法容量に注意しましょう。

 

葉酸は、ほうれん草やブロッコリーといった緑黄色野菜、大豆の枝豆や納豆、そしていちごなどに豊富に含まれています。ただし、葉酸は水溶性で熱に弱い性質を持つため、効率的に摂取するには、加熱を避け蒸すなどの調理方法を選ぶのがおすすめです。

 

2)鉄分

妊娠中や出産後の母親は、鉄分が重要です。

 

鉄分不足になると貧血や疲労感を引き起こすだけではなく、お腹の中の赤ちゃんに適切な酸素や栄養を供給できなくなる可能性があるため、積極的に摂取する必要があります。

 

鉄分は、レバーや赤身の魚、牛肉、大豆製品などに豊富に含まれています。鉄分の吸収率を高めるためには、ビタミンCを多く含む緑黄色野菜と一緒に摂取すると効果的です。また、レバーには葉酸や鉄分だけでなく、多くのビタミンAも含まれています。ただし、ビタミンAを過剰摂取すると赤ちゃんに影響が出る可能性があるため、摂り過ぎには注意しましょう。

 

3)カルシウム

カルシウムは、赤ちゃんの骨や歯を形成するために必要な重要な栄養素です。

 

特に、妊娠期や授乳期はカルシウム不足になりやすく、女性が若いうちから適切に摂取することで将来の骨粗鬆症予防にも役立ちます。

 

カルシウムは、乳製品といった牛乳やチーズ、ちりめんじゃこやイワシなどの小魚にも多く含まれています。また、カルシウムの吸収率を高めるために、ビタミンDも同時に摂取するとより効果的です。

 

 

4.妊娠中に控えたほうがよいもの

 

妊娠中には、妊娠初期だけに関わらず、中期・後期でも注意をしないといけない食べ物、控えるべき食べ物があります。マタニティライフを安心して過ごすためにも、これらのポイントを押さえておきましょう。

 

1)塩分の摂りすぎに注意

妊娠中に過剰な食塩摂取は、むくみやたんぱく尿、急激な体重増加、妊娠高血圧症候群などの症状を引き起こし、母親の健康だけでなく赤ちゃんの発育にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

20~30代の女性は、他の年齢層よりも外食や加工食品からの食塩摂取量が高くなりがちです。レシピや外食を選ぶ際には、塩分を控えたメニューを選択することなどを心掛けましょう。また、減塩された調味料や加工食品を上手に取り入れることで、美味しく減塩を実践することもできますよ。家族も一緒に協力していきましょう。

 

 

2)魚介類に含まれる水銀

魚は、良質なたんぱく質やカルシウム、血管障害予防に役立つDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を豊富に含む健康的な食材です。

 

しかし、食物連鎖を通じて一部の魚介類には高濃度の水銀が含まれており、これが胎児に影響を及ぼす可能性があります。

 

特に注意が必要なのは、キンメダイ、メカジキ、本マグロなどです。これらの魚を毎日たくさん食べることは避けるようにしましょう4)。

 

3)妊娠中の食中毒予防

妊娠中は、免疫機能が低下し、食中毒にかかりやすくなります。

特に注意が必要なのは、リステリア菌とトキソプラズマ原虫です。

これらはママに症状が現れない場合でも、赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

 

妊娠中は、生ハムなどの食肉加工品や未殺菌乳、ナチュラルチーズなどの加熱をせずに製造される乳製品、スモークサーモンなどの魚介類加工品はできるだけ避け、冷蔵庫の管理にも注意しましょう。食材や食品は十分に加熱してから摂取するよう心がけることが大切です5)

 

 

 

5.まとめ:ママと赤ちゃんのために、食事内容をより意識しよう

妊娠中の栄養・食事は、ママだけではなくお腹の赤ちゃんにも大変影響を及ぼします。また、栄養の偏りなどによって、体重の著しい増加などを招くと、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病のリスク、異常分娩のリスクが高くなります。

毎日厳しくするのではなく、数日~1週間で全体の栄養バランスをみて、無理なくすごしてくださいね。つわりの方は、無理をせず食べられるものを食べるだけでも大丈夫です。体重管理を行いながらすごしてください。

もし、気になること心配なことがあれば早めに医師に相談しましょう。

 

当院では
安心・安全に出産を迎えるために、個別栄養相談、助産師外来、母親学級、マタニティビクスなど多種多様なメニューを設けております。

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出典
1)「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」:国立健康・栄養研究所
2)「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 リーフレット」:厚労省こども家庭庁
3)「妊娠前からはじめよう!健やかなからだづくりと食生活BOOK」:厚生労働省 令和2年度子ども・子育て支援推進調査研究事業
4)「魚介類に含まれる水銀について」:厚労省
5)「リステリアによる食中毒」:厚労省

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。