妊娠中のカフェインは「1日何杯まで?」コーヒー・紅茶・緑茶のOKな量と赤ちゃんへの影響を解説【医師監修】
- 2025年9月13日
- 更新日: 2025年10月29日
- 医療コラム

妊娠中はカフェインを避けたほうがいいという話を聞いたことがある人は多いはず。妊娠前からカフェイン習慣があると、妊娠を機にカフェインを控えるのがつらいという人もいるでしょう。
この記事では妊娠中のカフェインについて解説しています。「妊娠中のカフェインはなぜだめなの?」「妊娠中はどれくらいカフェインを摂ってもいいの?」など妊婦さんが感じるカフェインの疑問を解決していきましょう。
1. なぜ妊娠中は「カフェイン」に注意が必要なの?
1)赤ちゃんへの影響
ママが摂取したカフェインは、胎盤を通過して赤ちゃんへと届きます。おなかの赤ちゃんの体はまだ成長途中のため、大人のようにカフェインの分解して排出することができません。体内にカフェインの成分が長く留まってしまうことで、影響を強く受けてしまうのです。
ママが大量のカフェインを毎日摂取し続けた場合、赤ちゃんの発育に影響がでるといわれています。流産や早産になることや、赤ちゃんが低体重のまま産まれてくることもあるため、妊娠中のカフェインの量には気をつけなければいけません。
2)ママへの影響
妊娠中は妊娠前に比べて体のさまざまな部分が変化します。眠りが浅くなる、頻尿、胃腸が敏感になるといった症状に悩む人もいるでしょう。
そこに大量のカフェインを摂取すると、さらに寝つきが悪くなったり、カフェインの利尿作用で頻尿が悪化してしまったり、胃痛を感じる人もいるかもしれません。カフェインによって妊娠中のマイナートラブルを悪化させてしまうことがあるため、体と相談しながらカフェインを摂るのがよいでしょう。
さらに妊娠中に気を付けたいカフェインの作用の一つに「鉄分の吸収を阻害する」というものがあります。妊婦さんの血液は赤ちゃんの栄養となる大切なもの。赤ちゃんの成長のために、妊娠中はカフェインの量に気を付けて血液をよい状態に保ちましょう。
2. カフェインは「いつから」気を付ければいいの?

カフェインを日常的に摂っている人は、いつからカフェインに気をつければいいのか気になりますよね。
妊娠初期は脳や心臓といった赤ちゃんにとって重要な臓器が作られる時期です。その時期に影響がでないためにも、妊娠が分かった時点でカフェインの摂取量を見直しましょう。もし妊娠を意識して妊活をするのであれば、妊活中からカフェインの量に気をつけるのがおすすめです。
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3. 妊娠中のカフェイン摂取、「どれくらい」までなら大丈夫?

1) 1日のカフェイン摂取量の目安
WHO(世界保健機関)から発表されている妊娠中のカフェインの推奨量は1日300mg以下です。実は日本では妊娠中のカフェイン摂取量に対して、正確な規定がありません。しかし海外やWHOから発表されているカフェイン量から考えると、1日200mg程度におさめるのが望ましいでしょう1)。
2) 具体的な「飲んで良い量」の目安
妊娠中の1日のカフェイン摂取量が200mg程度だということが分かったところで、コーヒーやお茶類はどれくらい飲んでよいのかが気になりますよね。カフェインが配合されている代表的な飲み物とカフェインの量はこちらです。
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飲み物の種類 |
1日量 |
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コーヒー(1杯150ml) |
2杯まで |
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紅茶 |
3杯まで |
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緑茶・ウーロン茶 |
6~7杯まで |
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コーラなどの炭酸飲料 |
2Lまで |
カフェインといわれて最初に思いつくものは「コーヒー」という人は多いでしょう。しかしコーヒー以外にも紅茶や緑茶にもカフェインは含まれているので「お茶だから大丈夫」という認識はNGです。
さらにエナジードリンクや炭酸飲料、飲み物以外ではコーヒーやココア風味のお菓子、チョコレートもカフェインは入っています。飲み物や食べ物の種類が違っても、1日で摂ってよいカフェインの量は越えないように注意しましょう。
もし気付かずにカフェインを大量に摂取してしまっても、すぐに赤ちゃんや母体に影響はありません。なので不安になりすぎなくても大丈夫。まずは水分をいつもより多めに摂取して様子をみましょう。それでも「動悸がする」「赤ちゃんの胎動がおかしい気がする」など、心配なことがあるときはかかりつけの産院に相談しましょう2)。
4.カフェインを控えたいときのおすすめ飲み物

「妊娠中はカフェインを控えたい!」と思ったら、カフェインが含まれていない「ノンカフェイン」もしくはカフェインの量が少ない「カフェインレス」の飲み物を選ぶのがおすすめ。
ノンカフェインの飲み物には麦茶や黒豆茶、コーン茶といったお茶類がありますが、妊娠中におすすめなのがハーブティーです。リラックス効果のあるハーブを選ぶと心の安定につながり、妊娠中に浅くなりやすい眠りもサポートしてくれますよ。ただしハーブの種類によっては妊娠中に摂らない方がよいものもあるため、飲む前にどのようなハーブが配合されているかを必ずチェックしましょう。
妊娠前のコーヒー・紅茶の習慣を続けたい人は、カフェインレスのものを選ぶとカフェインの量の摂りすぎを予防できます。なかには「デカフェ」というカフェインレスよりも更にカフェインの量が少ないものもあります。最近ではカフェインレスやデカフェのドリンクを飲めるお店も多くなっているため、妊娠中の気分転換やストレス発散にカフェでゆっくりと過ごすこともできますね。
5. 妊娠中のカフェインとアルコール、注意点の違いは?

カフェインは長期間に渡って摂りすぎると赤ちゃんとママに影響がありますが、制限の範囲内であれば毎日摂取しても大丈夫。一方でアルコールは少量摂取するだけでも「胎児性アルコール症候群」を発症するリスクが高くなります。胎児性アルコール症候群は流産や死産の危険や低体重や奇形といった赤ちゃんの健康と命が危険になる病気です。
妊娠中のカフェインは適量を守って摂取してOK、しかしアルコールは「摂取ゼロ」が原則です。赤ちゃんの健康を守るために、妊娠したら禁酒をしましょう。
妊娠中のお酒の影響については、こちらの記事でくわしく解説しています。参考にしてください。
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まとめ:妊娠中はカフェインと上手に付き合おう
妊娠前から日常的にカフェインを摂っていた人は、妊娠が分かった時点から急にカフェインを全く摂取しない生活をするのはむずかしいでしょう。赤ちゃんや母体への影響はあるものの、摂取量を守ればカフェインをやめる必要はありません。反対にカフェインを全く摂らないことで心の安定が図れなくなることもあります。
妊娠期間はさまざまな制限がありますが、その範囲のなかでカフェインとうまく付き合っていくことが大切です。赤ちゃんの健やかな成長とママの心と体の健康のためにバランスを保って妊娠期間を過ごしましょう。
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参考文献・参考サイト
1)東京都 コーヒーにはカフェインが含まれているので、飲むと胎児に影響があると聞きました。本当ですか?【食品安全FAQ】
2)農林水産省 カフェインの過剰摂取について
この記事の監修
牛丸敬祥 医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

経歴
- 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
- 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
- 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
- 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
- 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
- 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
- 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。

