多胎児(ふたご・みつご)の赤ちゃんの特徴とは?小さく生まれる理由と成長のステップ【医師監修】
- 2026年5月23日
- 更新日: 2026年5月9日
- 医療コラム

双子や三つ子を授かったと知ったとき、大きな喜びに包まれると同時に「二人の赤ちゃんをお腹の中でしっかり育てられるかしら」と不安を感じるママも多いでしょう。多胎妊娠は単胎妊娠に比べて、赤ちゃんが小さく生まれたり、早めに誕生したりすることが一般的です。
この記事では、多胎児が小さく生まれる理由や、NICU(新生児集中治療室)での過ごし方、そして退院後の発育・発達について詳しく解説します。これから始まる多胎育児への道のりを、少しでも安心して歩めるようなヒントをお伝えします。
1. 多胎児の赤ちゃんはなぜ小さく生まれやすいの?

多胎妊娠では、赤ちゃんたちの成長過程が単胎妊娠とは異なります。この章では、多胎児がなぜ小さく生まれやすいのか、その仕組みについて詳しくお伝えします。
1) 多胎妊娠と早産の関係
双子や三つ子などの多胎妊娠では、子宮のスペースや栄養の分配が単胎妊娠と異なるため、早産になりやすい傾向があります。
単胎妊娠の場合、赤ちゃんが正常に成長する時期は37週から41週(正期産)ですが、多胎妊娠では早い在胎週数で出産を迎えるケースが多くあります。これは、複数の赤ちゃんが子宮の中で成長するにつれて、子宮が張った状態(子宮内容量の増加)となり、出産の時期が早まる生理的な反応でもあるのです。
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2) 在胎週数と出生体重の関係―小さく生まれる理由
赤ちゃんが子宮の中にいる期間を「在胎週数」と呼びます。在胎週数が早いほど、赤ちゃんの体は未熟な状態で生まれるため、出生体重が小さくなりやすくなります。
多胎児では特に出生体重が2,500g未満の低出生体重児になる割合が高いことが知られています1)。これは多胎妊娠の特性として医療的にも確認されており、決して珍しいことではありません。むしろ、多胎児の赤ちゃんたちはこのような状況で生まれることが多いため、医療現場ではそれに対応した準備と対応が整えられているのです。
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3) 子宮内胎児発育遅延とは何か
「子宮内胎児発育遅延(IUGR)」とは、赤ちゃんが週数から期待される標準的な重さよりも、お腹の中で十分に成長できていない状態を指します。
多胎妊娠では、限られた胎盤からの栄養や子宮内のスペースを複数の赤ちゃんが共有しなければなりません。そのため、単胎児に比べると一人あたりの栄養配分が少なくなりやすく、発育遅延が起こりやすい環境にあります。また、双子であっても胎盤のつながり方によって、一人は順調でももう一人の発育がゆっくりになるなど、差が生じることも珍しくありません。
2. NICUとGCU―多胎児の赤ちゃんが入院する理由

多胎児の赤ちゃんは、出生後に特別な環境でケアを受けることが多いです。ここからは、赤ちゃんたちが過ごすNICUやGCUという場所について、その役割と特徴をわかりやすくご説明します。
1) NICUとはどんな場所?
NICUは「新生児集中治療室」の略称で、早産で生まれた赤ちゃんや低出生体重児、または何らかの医療的ケアを必要とする赤ちゃんが入院する専門施設です。
ここでは、24時間体制で医師や看護師が赤ちゃんの呼吸や循環、体温管理をサポートしています。多胎児の赤ちゃんは、肺の機能が未熟であったり、自分で体温を維持する力が弱かったりすることが多いため、NICUへ入院するケースが頻繁にあります。これは、赤ちゃんたちが安全に成長できるための「安全な環境」なのです。
2) GCUとはどんな場所?NICUとの違い
NICUでの急性期治療を終え、状態が安定してくると「GCU(継続保育室)」へと移動します。GCUは、NICUほど重篤な状態ではないものの、引き続き成長を見守り、退院に向けた準備を行う場所です。
NICUとの大きな違いは、医療機器による管理が少しずつ減り、赤ちゃんが自力でミルクを飲んだり、体温を保ったりする「生きる力」を育てることに重点が置かれる点にあります。ここでの入院期間は、パパやママが退院後の生活に向けて育児の手技を学ぶための貴重なトレーニング期間でもあります。
3. 多胎児の発育・発達の特徴―単胎児と比べて何が違うの?

赤ちゃんたちが退院した後、保護者さんが気になるのは、「ちゃんと成長しているのか」という点ではないでしょうか。本章では、多胎児の発育・発達の評価方法と特徴についてお伝えします。
1) 修正月齢を使って発育を正しく評価しよう
早産で生まれた多胎児の発育・発達を評価する際には、実際に生まれた日ではなく「予定日」を基準にした「修正月齢」という考え方が重要になります2)。
例えば、予定日が2月15日だったのに対し、12月15日に生まれたとします。その場合、暦上では2ヶ月経っていても、修正月齢ではまだ0ヶ月という計算になります。これは、赤ちゃんの体がまだ2ヶ月分の成長期間を経ていないためです。修正月齢を使うことで、赤ちゃんの成長段階を正確に評価することができるのです。
修正月齢で考えると、発育の遅れに見えた部分が実は正常範囲内であることも多くあります。「うちの子は同じ月齢の子より小さい」と心配になるのではなく、修正月齢での発育水準を確認することが大切です。正しい見方を知ることで、保護者さんが必要以上に心配しなくて済むようになるのです。
2) 多胎児に見られる発育遅延の特徴
多胎児では、体重や身長の伸び、運動発達などが単胎児に比べてゆっくりに見えることがあります。
体重増加がなだらかだったり、身長の伸びがゆっくりめだったりしても、修正月齢で見て成長曲線に沿って伸びていれば、多くの場合は問題ありません。また、「寝返り」「はいはい」「つかまり立ち」などの運動発達も、兄弟姉妹やお友だちと比べると遅く感じることがありますが、適切な栄養と環境が整っていれば、少しずつ追いついていくことが一般的です。
3) 発達には大きな個人差がある
たとえ同じ日に生まれた双子や三つ子であっても、性格が違うように、発達のスピードにも大きな「個人差」があります。一人が早く歩き始めたのに、もう一人はまだハイハイをしているという状況は、多胎家庭ではよくある光景です3)。
兄弟姉妹や公園で見かける同学年の子と比べる必要はありません。昨日よりミルクを飲む量が増えた、目が合う時間が増えたといった、その子自身の「昨日の自分からの成長」に目を向けてあげてください。それぞれの個性を尊重し、それぞれの歩みを温かく見守ることが、保護者の心の安定、ひいてはお子さんの健やかな発達につながります。
4. 多胎児の成長を支えるために―保護者が知っておきたいこと

多胎育児は、かわいさと同時に、体力的・精神的な負担も大きいものです。この章では、退院後のフォローアップの大切さと、不安を抱え込まないためのヒントをお伝えします。
1) 退院後の定期的なフォローアップの重要性
小さく生まれた赤ちゃんの多くは、退院後も「フォローアップ外来」などで継続的に医師の診察を受けることになります。これは、病気を見つけるためだけではなく、お子さんの成長を専門家と一緒に確認するための大切な場です。
身体的な発育(体重・身長)はもちろん、運動発達や言語、社会性の発達について、多胎児特有の視点でアドバイスを受けることができます。発達の遅れが気になった場合も、早期に適切なリハビリや支援につなげることが可能です。診察の際には、自宅で感じた些細な不安や疑問をメモしておき、遠慮なく医師や助産師に相談するようにしましょう。
2) 多胎育児の中で感じる不安は一人で抱え込まないで
多胎育児は、授乳やおむつ替えの回数も多く、夜間の対応も重なりやすいため、どうしても体力的な負担が大きくなります。さらに、「小さく生まれた」「早産だった」「発育遅延と言われたかもしれない」といった不安が積み重なることで、心の負担も大きくなりがちです。
真面目で頑張り屋の保護者ほど、「自分がもっと頑張らないと」「弱音を吐いてはいけない」と一人で抱え込んでしまうことがあります。しかし、サポートを頼ることは決して弱さではありません。赤ちゃんにとっても、保護者が少しでも安心して笑える時間を持てることが、とても大切な環境づくりになります。
気になることや不安なことは、どんなに些細に思えることでも、遠慮なく医師や助産師、看護師、保健師などに相談してください。地域の子育て支援センターや、多胎サークル、オンラインの相談窓口なども力になってくれます。「つらい」「大変だ」と感じたときに声をあげることは、赤ちゃんと自分自身の両方を守る、大切な一歩です。
まとめ:多胎児はそれぞれのペースで力強く成長します。修正月齢で見守り、周囲の支えを力に変えていきましょう
多胎児の赤ちゃんは、早産や低出生体重児として生まれることが一般的であり、その背景には多胎妊娠特有の生理的な理由があります。NICUやGCUでの入院生活を経て、退院後も修正月齢を用いた丁寧な発達確認が必要となります。
成長には大きな個人差がありますが、焦らず、その子自身の歩みを大切にしてあげてください。そして何より、多胎育児という大きな壁に立ち向かう保護者自身の心身を労り、迷わず専門家や周囲のサポートを頼るようにしましょう。
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参考文献・参考サイト
1) こども家庭庁:母子健康手帳情報サイト「多胎を妊娠・出産した方へ」
2) こども家庭庁:低出生体重児保健指導マニュアル
3) 一般社団法人日本多胎支援協会;ふたご・みつごの出産・育児・子育てと子ども自身のために
この記事の監修
牛丸敬祥 医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

経歴
- 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
- 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
- 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
- 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
- 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
- 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
- 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。
