生理の経血が多い・塊が出る…それ、月経過多かもしれません 原因・症状・治療法を解説【医師監修】
- 2026年6月13日
- 更新日: 2026年6月8日
- 医療コラム

「生理の量が多い気がするけど、これって普通のこと?」と思いながらも、誰に相談すればいいかわからず、そのまま過ごしている方は少なくありません。生理の悩みはデリケートなため、我慢してしまいがちですが、経血量が多い状態が続くと貧血を引き起こし、日常生活に支障をきたすこともあります。
この記事では、月経過多の定義や症状、考えられる原因から治療法までを解説します。「もしかして自分もそうかも?」と感じた方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
1. 月経過多とは?どのくらいが「多い」の?

「経血が多い」と感じていても、そもそも何をもって「多い」と判断するのかが、わかりにくいですよね。まずは月経過多の定義と、正常な経血量の目安を確認してみましょう。
月経過多とは、1回の月経周期における総経血量が150ml以上の状態を指します。正常な経血量の目安は1回の生理で約20〜140mlとされており、これを大幅に超える場合に月経過多と判断されます1)。
2. 月経過多の主な症状

月経過多では、経血量が多いこと以外にもさまざまな症状が現れます。
経血に塊(血の塊)が混じるのも、月経過多でよく見られるサインです。レバーのような形状の塊が出る場合は、経血量が多く、子宮内で血液が固まっている可能性があります。
また、生理期間が通常より長引き、7日以上続くことも。日中はナプキンを1〜2時間ごとに替えなければならず、夜用ナプキンでも漏れてしまうため、外出や睡眠に影響が出るケースも少なくありません。
さらに、経血量が多い状態が続くと、鉄欠乏性貧血を引き起こすことがあります。めまい・立ちくらみ・強いだるさ・息切れなどの症状が出る場合は、すでに貧血が進行しているサインかもしれません。「経血が多いだけ」と思っていても、全身の健康に影響が及んでいることがあるのです。
3. 月経過多の原因

月経過多の原因はひとつではありません。子宮や卵巣の病気によるものから、ホルモンバランスの乱れ、帝王切開の影響、原因不明のケースまで、さまざまです。自分の状態がどれに当てはまるのかを知ることが、適切な治療への第一歩になります。
1) 子宮・卵巣の病気が原因のケース
月経過多の原因として最も多いのが、子宮や卵巣の病気です。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で、月経過多の原因として非常に多く見られます。筋腫の位置や大きさによっては、子宮内膜の面積が広がり、経血量が著しく増えることがあります2)。
子宮腺筋症
子宮腺筋症は、子宮内膜の組織が子宮の筋肉層に入り込む状態で、強い月経痛と経血量の増加が主な症状です。30〜40代に多くみられ、年齢とともに症状が進行しやすい傾向があります。
子宮内膜ポリープ
子宮内膜ポリープは、子宮内膜にできる小さな突起物で、月経過多や不正出血の原因となります。比較的小さいため見つかりにくいことがありますが、超音波検査で診断できます。
これらの疾患は早期に発見・治療することで、症状のコントロールがしやすくなります。「経血が多いかも」と感じたら、ぜひ産婦人科を受診して検査を受けてみてください。
2) 帝王切開後に起こることがある「帝王切開瘢痕症候群」
帝王切開を経験したことのあるママの中には、術後から生理の経血量が増えた、あるいは生理が長引くようになったと感じる方もいるかもしれません。
その背景にある可能性のひとつが、帝王切開瘢痕症候群(帝王切開症候群)です。
これは、帝王切開の傷あと(瘢痕)の部分に、経血が一時的にたまりやすくなることで起こる状態です。溜まった経血が少しずつ排出されるため、生理の出血量が増えたり、期間が長引いたりする原因になります。
あまり広く知られていない状態ですが、帝王切開経験者に見られることがあります。「帝王切開後から生理の様子が変わった」と感じる場合は、産婦人科で相談してみましょう。
3) ホルモンバランスの乱れ・更年期との関係
経血量は、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)のバランスに大きく左右されます。何らかの理由でこのバランスが乱れると、子宮内膜が過剰に厚くなり、経血量が増えることがあります。
特に40代以降の更年期前後は、ホルモンの変動が大きくなる時期。それまで問題のなかった生理が急に多くなるケースも少なくありません。更年期に近づくにつれて排卵が不規則になり、プロゲステロンの分泌が低下することで、子宮内膜が厚くなりやすくなるのです。
また、ストレスや過労、睡眠不足なども、ホルモンバランスに影響する要因として知られています。忙しい毎日の中で心身が疲弊していると、月経に変化が現れることがあるため、生活習慣を見直すことも症状の改善につながります。
4) 検査をしても原因が見つからないケース
産婦人科で検査を受けても、明らかな疾患が見当たらないにもかかわらず経血量が多い場合を、「機能性月経過多(原因不明の月経過多)」と呼びます3)。
「原因不明なら仕方ない」と思ってしまうかもしれませんが、それは間違いです。原因がはっきりしない場合でも、症状をコントロールするための治療や、貧血の管理を行うことは十分に可能です。つらい症状が続いているなら、遠慮せずに医師に相談してください。
4. 月経過多の治療法

月経過多は、「体質だから仕方ない」と諦める必要はありません。原因や症状の程度に応じて、さまざまな治療法があります。ここでは代表的な4つのアプローチをご紹介します。
1) ピルによるホルモン療法
低用量ピル(OC)や黄体ホルモン製剤は、月経過多の治療に広く用いられているホルモン療法です。子宮内膜の増殖を抑えることで経血量を減らし、生理痛の緩和にも効果が期待できます。
症状の程度や原因によって最適な薬は異なるため、市販薬だけに頼らず、医師に相談したうえで適切な薬を選ぶことが大切です。
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2) 漢方による治療
「ピルや手術には少し抵抗がある…」という方にも選ばれやすい治療法として、漢方薬があります。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが代表的で、体質や症状に合わせた処方が行われます。血行を改善したり、ホルモンバランスを整える働きが期待されており、体全体のバランスを整えながら症状を改善するアプローチです。
ただし、漢方は即効性があるものではなく、効果が出るまでに数週間〜数ヶ月かかることがほとんどです。焦らず継続することが大切で、産婦人科や漢方専門医に相談しながら進めることをおすすめします。
3) 子宮筋腫など原因疾患への治療
子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜ポリープなど、原因となる疾患が見つかった場合は、その疾患自体を治療することで月経過多が改善することがあります。
治療法は、薬物療法(ホルモン剤など)と手術療法(筋腫核出術、子宮内膜ポリープ切除術など)に大きく分けられます。治療の方針は、年齢・妊娠希望の有無・筋腫の大きさや位置などによって異なります。「手術しかない」と思い込まず、まずは医師とじっくり相談しながら、自分に合った方法を選んでいきましょう。
4) 貧血の治療・管理も並行して
月経過多によって貧血が進行している場合は、鉄剤の服用など、貧血そのものへの対処も重要です。経血量を減らすための治療と並行して行うことで、身体の回復を早めることができます。
貧血を放置すると、だるさや疲れやすさ、集中力の低下など、日常生活の質が著しく落ちてしまいます。
5.こんな生理のサインがあったら受診を

「このくらいなら大丈夫かな」「忙しいし、また今度でいいか」と、つい先延ばしにしてしまうことはありませんか?次のようなサインがある場合は、早めに産婦人科を受診することをおすすめします。
・ナプキンを1〜2時間おきに替えなければならない
・夜用ナプキンを使っても夜間に漏れてしまう
・レバー状・塊状の血の塊が頻繁に出る
・生理が7日以上続く
・生理のたびにめまい・だるさ・息切れなどの貧血症状が出る
・生理中に仕事や家事・育児に支障が出ている
月経過多は「体質だから仕方ない」と諦める必要はありません。適切な治療によって、多くの方が症状を改善できています。つらい思いをひとりで抱え込まず、まずは産婦人科に相談してみてください
まとめ:経血が多いと感じたら、ひとりで悩まず産婦人科へ
月経過多は決して珍しい悩みではなく、子宮の病気やホルモンバランスの乱れ、帝王切開の影響などさまざまな原因が考えられます。経血量が多い状態を放置すると貧血が進行し、日常生活の質にも大きく影響します。
治療法は、ピルによるホルモン療法・漢方・原因疾患への治療・貧血管理など、原因や体質に合わせて選ぶことができます。「これくらい普通かな」と我慢せず、気になるサインがあれば、早めに産婦人科を受診してください。適切なサポートを受けることで、毎月の生理をもっとラクに過ごせるようになるでしょう。
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参考文献・参考サイト
1)公益財団法人日本産婦人科医会:女性の健康Q&A
2)公益財団法人日本産婦人科腫瘍学会:子宮筋腫
3)産業医科大学産婦人科学:過多月経とは
この記事の監修
牛丸敬祥 医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

経歴
- 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
- 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
- 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
- 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
- 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
- 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
- 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。
この記事の監修
医師 ●● ●●
