妊娠中の運動のメリット・効果とは?おすすめの運動もご紹介【医師監修】
- 2024年4月6日
- 更新日: 2024年8月10日
- 医療コラム
妊娠中は体を動かすことに不安を感じることもあるでしょう。しかし、妊娠期の運動は、健やかなマタニティライフを送り、安心・安全な出産を迎えるためにとても大切です。
今回は妊娠中の運動のメリットや効果、運動不足が起こす影響などについてお伝えします。
妊娠中の運動のポイントやおすすめの運動についてもご紹介しています。
ぜひ参考されてください。
1.妊娠期の運動のメリットや効果
妊娠期の適度な運動は、日本を含む多くの国の産科婦人科学会から推奨されています1)。激しい運動は避けないといけませんが、適切な妊娠時期や運動量であれば胎児に悪影響はありません。逆に、適度な運動は健やかな妊娠生活をおくり、出産を迎えるためにもメリットが多くあります。
1)体重管理
妊娠前の体格が「肥満」または「体重増加が著しく多い」妊婦さんは、妊娠高血圧症候群,妊娠糖尿病,帝王切開分娩などのリスクが高まります1)。
適切な運動をすることで、体重コントロールがしやすくなります。
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2)便秘解消
妊娠中はホルモンの影響やお腹の赤ちゃんが臓器を圧迫することによって、便秘になりやすくなります。
妊娠中の運動は、ママの腸の動きを助け、血行を良くしてくれるため、便秘解消に効果的です。
3)体力維持
妊娠中は妊娠前に比べ、運動量が少なくなるため筋力低下・心肺機能の低下に陥る可能性があります
妊娠中の運動は、分娩や産後のために必要な体力の維持につながります。
4)ストレス発散
妊娠中は、ホルモンの影響や環境の変化などでさまざまなストレスを抱えやすくなります。また、心身ともに疲労がたまりやすくなります。
妊娠中の運動は、気分転換やストレス発散に効果的です。
2.妊娠中の運動不足の影響とは
妊娠中の運動不足は、体力低下や著しい体重増加、血糖値の上昇や高血圧などの健康リスクを増加させる可能性があります。
【妊娠中の運動不足による影響】
糖尿病、妊娠高血圧症候群、体力低下、血行不良、腰痛、メンタルの不調など
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3.妊娠中の運動はいつからいつまで?
一般的には安定期(妊娠中期、妊娠16週以降)に入ってから始めるとよいとされています。
しかし、体調には個人差があるため、運動を始める前には医師に相談しましょう。
妊娠初期は運動を全くしてはいけないというわけではありません。安静の指示などがなければ、無理のない程度にウォーキングなどの運動をすることで、つわりやストレスの軽減につながります。
また妊娠期間何も問題がない、医師に運動を止められることがなければ
運動は妊娠後期に入っても続け、出産直前まで行っても問題ありません。
スムーズなお産を目指すためにも、出産まで適度な運動をすることを心がけましょう。
4.妊娠中の運動で気をつけるポイント
流産・早産を起こさないためにも、妊娠中に運動をはじめる際は必ず医師に確認をしましょう。また、妊娠に気づかず運動をしてしまった場合も医師に相談をしましょう。
安全かつ効果的に運動を行うために、妊娠中の運動で気を付けるポイントは以下の通りです1)。
・有酸素運動がのぞましい
・転倒や落下,接触の危険がある競技的性格の強いスポーツは避ける
・仰臥位あるいは不動のまま立位を保持する姿勢は避ける
・熱中症を予防するために涼しい場所で行う
・脱水を避けるために適度に水分補給を行う
・運動後に十分な休息を取る
・運動中に異常を感じた場合はすぐに中止する(立ちくらみ、頭痛、お腹が強く張る、腹痛、出血、など)
・快適で体を動かしやすい服装と靴で行う
5.妊娠中におすすめの運動とは
妊娠中におすすめの運動は軽い有酸素運動です。
強度としては、運動中に負担を感じることなく会話ができる状態を1日30分~1時間行う程度になります。
普段の買い物やお掃除といった家事の中に、運動を取り入れることができるでしょう。また、妊娠期間中はお産の時に大切な「自らリラックスする方法」を習得することも大切です。
最新の産婦人科診療ガイドライン1)では、妊娠中のおすすめの運動として「ウォーキング」「水泳」「ヨガ」などをあげています。
1)ウォーキング
いつでも始められるウォーキングは、気分転換のためにもおすすめの運動です。ウォーキングをする際は、足元が安定する靴と場所を選びましょう。
2)ヨガ
マタニティヨガは、自宅・室内で行うことができる運動で、全身の血行を良くしリラックスするのに効果的です。ゆっくり呼吸しながらからだを動かすことで、心地よさを感じることができるでしょう。
お産は陣痛と陣痛の間にリラックスすることが大切です。ヨガの呼吸を通してリラックスすることができると、お産のときにも多いに役立つことが期待できます。
3)水泳
マタニティスイミングは、水の浮力を利用して行うため、お腹の重さをあまり感じず運動できます。マタニティスイミングを行っている施設も多くあるため、同じ妊婦さんと交流を図りながら行うとモチベーションがあがりますよ。
6.まとめ:ママと赤ちゃんのために運動をしましょう
妊娠中の運動は、健やかな妊娠生活をおくるために欠かせないものです。また、運動を続けることで、分娩や育児に必要な体力をつけることになります。無理に運動をはじめる必要はありません。できることから少しずつ取り入れて、習慣化していきましょう。
当院では
安心・安全に出産を迎えるために、個別栄養相談、助産師外来、母親学級、マタニティビクスなど多種多様なメニューを設けております。
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出典
1) 公益社団法人 日本産科婦人科学会 公益社団法人 日本産婦人科医会『産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020』
この記事の監修
牛丸敬祥 医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長
経歴
- 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
- 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
- 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
- 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
- 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
- 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
- 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。