妊娠中のおなかの線「妊娠線」と「正中線」って何が違うの?原因と予防・ケアについて【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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妊娠中のおなかの線「妊娠線」と「正中線」って何が違うの?原因と予防・ケアについて【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

妊娠中のおなかの線「妊娠線」と「正中線」って何が違うの?原因と予防・ケアについて【医師監修】

 

妊娠すると気になる体の変化の一つに「妊娠線」があります。大きくなるおなかや変化する体に合わせてできる妊娠線は、ママがおなかの中で頑張って赤ちゃんを育てている証。ですが「妊娠線ができないようにしたい」「できてしまった妊娠線は産後になくなるの?」と心配になりますよね。

この記事では妊婦さんが気になる妊娠線について詳しく解説しています。妊娠線の予防方法や正中線との違い、いつから予防すればいいの?など、妊婦さんが気になることをまとめていますのでぜひ参考にしてください。

 

 

1. 妊娠中にあらわれる「妊娠線」と「正中線」とは?

 

1) 妊娠線とは?

妊娠線とは、急激に体重が増えることが原因で起こる肉割れ線のこと。正式名称は「線状皮膚萎縮症」で、別名ストレッチマークとも呼ばれています。妊娠中におなかなどの体型が変化した部分に、ピンク色や赤紫色にこまかくできる線が妊娠線です。

妊娠線は皮膚の一部である真皮(しんぴ)が裂けることによって発生します。そのため妊娠線ができる時に「皮膚がピリピリした感じがする」「おなかがかゆい」と感じる人も多いです。

 

「妊娠線ができても産後に消えることはないの?」と思う人もいるでしょう。妊娠線は産後に少しずつ薄くなっていきますが、一度裂けてしまった真皮は元に戻ることはありません。産後は妊娠線があった場所に、白っぽい線が残ってしまいます1)

妊娠線は完全に消えることはないため、痕を残したくない方は、できないようにするための予防が大切。予防方法は「妊娠線の予防・ケアについて」の項目でくわしく解説していきます。

 

2) 正中線とは?

正中線とはおへそを中心に縦に走る線のことです。正中線は男女に関わらず、実は生まれつき存在しています。普段は目立たない正中線ですが、妊娠をきっかけにホルモンバランスの変化、皮膚の伸びなどが原因で茶褐色に目立ってしまうことがあります。

しかし正中線は妊娠線とは違い、産後に自然と薄くなるためあまり心配しすぎなくて大丈夫。気になる正中線のケア方法については「正中線はいつからできる?予防できる?」の項目でくわしく解説していきます。

 

3) 妊娠線と正中線の見分け方

妊娠中に気になる妊娠線と正中線の違いはこちら。

 

 

原因

できる場所

妊娠中

産後

妊娠線

皮膚の裂け

お腹

太もも

お尻

二の腕

赤紫色の細かい線

白色で凹凸した質感

正中線

ホルモン

おへそから下

茶褐色の一直線

自然に消える

 

 

2. 妊娠線はいつから?どこにできる?

 

1) 妊娠線はいつからできる?

妊娠線が目立ち始めるのは、おなかが大きくなる妊娠5~7カ月頃から。この時期に薄くでき始めた妊娠線は、赤ちゃんの成長が加速する妊娠後期になるとどんどん濃くなっていきます。妊娠線が目立つピークは、おなかが一番大きくなる出産直前です。

 

 

 

2) 妊娠線ができやすい人の特徴

妊娠線ができやすいといわれている人の特徴をそれぞれ紹介していきます。

乾燥肌の人

肌が乾燥していると柔軟性が低くなってしまいます。そのため体重が増加した時に皮膚が裂けやすく、妊娠線ができやすいのです。

 

 皮膚が薄い人

皮膚が薄い人は元々の皮膚の柔軟性が低くといわれています。そのため妊娠中も皮膚が伸びにくく、妊娠線ができやすいのです。

 

小柄な人

小柄な人や痩せている人は妊娠するとおなかが急激に大きくなることが多く、急な皮膚の伸びによって妊娠線ができやすいといわれています。

 

双子以上の多胎妊娠

双子以上の赤ちゃんを妊娠すると、赤ちゃんが一人よりもおなかが大きくなります。そのため皮膚の伸びも大きくなり、妊娠線ができやすいのです。

 

高齢出産

年齢を重ねると皮膚の弾力は低下します。そのため高齢出産では妊娠線ができやすいといわれています。

 

 経産婦

初産婦に比べて経産婦の方はおなかが急激に大きくなりやすく、妊娠線ができやすいといわれています。

 

 急激に体重が増加した人

急激な体重変化によって皮膚の伸びがついていかないことが原因で、妊娠線ができやすい。

 

運動不足の人

妊娠中に運動不足だと体重が増加しやすく、また血行不良による肌の乾燥を招きやすいといわれています。妊娠中の適度な運動は妊娠線予防には大切です。

 

栄養バランスが偏っている人

栄養バランスが偏っていると体重増加を招きやすいでしょう。また「肌は腸の鏡」ともいわれており、偏った食事で腸内環境が悪くなると、肌の健康も悪化してしまい妊娠線ができやすくなります。

 

3) 妊娠線ができやすい場所

妊娠線ができる場所というと「おなか」を思い浮かべる人が多いでしょう。おなかは妊娠中の変化が特に大きい場所なので、妊娠線ができやすい場所だといえます。

おなか以外にも産後の母乳育児に備えて大きくなる胸や、胸の近くのわきも妊娠線ができやすい場所です。ほかにもおしりや太もも、二の腕にも脂肪がつきやすく、妊娠線ができることがあります。

 

 

3. 妊娠線の予防・ケアについて

 

1)妊娠線を予防するためにできること

妊娠線を予防するために大切なことは2つです。1つめは早い時期からの保湿ケア、2つめは体重管理をしっかりとすることです。

 

妊娠線ができやすいのは妊娠中期以降ですが、体の変化は妊娠初期から始まっています。早い段階から妊娠線の原因である乾燥をケアしていきましょう。

乾燥ケアは、保湿剤を使っての保湿がおすすめです。肌の乾燥が強いなと感じたらオイルやクリームタイプの保湿剤を選びましょう。乾燥がそこまで強くなかったり、ベタベタするのが好きじゃないという人はローションタイプを使うのがよいでしょう。どんな保湿剤を選べばいいか分からないと思ったら、妊娠中の敏感な肌にも使える妊娠線に特化した「妊娠線予防クリーム」を選ぶとよいですよ。

保湿ケアのタイミングはお風呂上りがおすすめ。入浴で柔らかくなった肌に優しくマッサージするように塗り込むと、より効果を発揮してくれますよ。

 

妊娠線予防のためのケアだけでなく、急激な体重増加を避けるため体重管理も大切です。妊娠中の体重増加は赤ちゃんの成長とともに仕方がないことですが、体重の増加をなるべく緩やかにすることで妊娠線の予防ができます。適度な運動とバランスのとれた食事に気を付けていきましょう。

 

 

 

2)妊娠線ができてしまったら

妊娠線は一度できてしまうと産後に薄く白っぽい線が残ってしまい、完全に消すことはできません。できてしまった妊娠線に対しては産後も保湿ケアを続けていきましょう。産後のケアと肌のターンオーバーで、妊娠線が薄くなり目立ちにくくなります。

 

 

3. 正中線はいつからできる?予防できる?

 

1) 正中線はいつからできる?

正中線は妊娠前から男女問わずにある線です。妊娠を期にホルモンが変化した影響から、メラニン色素が沈着して目立つようになります。

正中線が目立ってくるのは、おなかが大きくなる妊娠中期頃から。徐々に色が濃くなっていき、妊娠後期になるとはっきりと線が出てくるでしょう。

 

 

 

2) 正中線を予防するには

正中線の予防には、肌の乾燥対策が大切といわれています。妊娠線同様しっかりと保湿をしましょう。またバランスのとれた食事と適度な運動で、体の中から乾燥対策をするのもおすすめです。

妊娠中に気になる正中線ですが、産後には自然に目立たなくなります。あまり気にしすぎず、妊娠線のケアの延長線上で正中線のケアをおこなっていきましょう。

 

3) 正中線はどれぐらいで消える?

原因であるホルモンバランスが産後に安定すると、正中線は徐々に薄くなっていきます。産後のホルモンが安定するには、半年から1年ほどかかります。ずっと残るものではないため、産後も乾燥ケアを継続して目立たなくなるのを待ちましょう。

 

 

まとめ:妊娠線のケアは早期に始めるのがポイント

妊娠線はおなかや胸などに赤紫色の細かい線ができるため、見た目が気になる妊婦さんは多いでしょう。そんな気になる妊娠線のケアは早期に始めるのがポイントです。目に見えて体が変化してくる妊娠中期には、すでに妊娠線が出てきてしまうこともあります。妊娠が分かった時点から乾燥ケアを始めていきましょう。

もう一つの妊娠線の予防のある体重管理のための適度な運動やバランスのとれた食事は、健やかな赤ちゃんの成長とママの健康にもつながります。妊娠線と合わせて妊娠中の自身の体と赤ちゃんのケアをしていきましょう。

 

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参考文献・参考サイト
1)仙台赤十字病院 妊娠線について

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。