胎便(たいべん)とは?新生児のはじめてのうんちはいつから?【医師監修】
- 2024年8月24日
- 更新日: 2024年9月27日
- 医療コラム
生まれたての赤ちゃんは、外の生活に適応するために出生後からさまざまな変化が起きます。胎便(たいべん)もそのなかのひとつで、生まれてわずかな時期しかみられない便です。
今回は、赤ちゃんのはじめてのうんち、胎便について詳しくお伝えします。お腹のなかで便をしていなかった赤ちゃんが、いつ頃から便を出すようになるのか、その成分や性状、気をつけるべきことについてもお伝えしますのでぜひ参考にしてください。
1.胎便とは?いつから?
胎便とは、赤ちゃんが生まれてはじめて出すうんちのことをいい、出生後24時間以内に排出することがほとんどです。
胎便の性状は、ネバネバした粘り気があり、黒っぽい(黒緑)色をしています。生後3日頃までみられたあと、母乳やミルクを飲むことで黄色みが出てくる移行便に変化し、生後5日頃には、黄色く泥状の普通便になります。
2.胎便はなぜ黒い?胎便はなにからできている?
胎便は、粘性がある岩海苔みたいな便です。はじめてみる便に、ママたちはびっくりされるでしょう。
胎便は通常の便とは違い、お腹の中にいた際に腸に貯まったものを排泄しています。
赤ちゃんが胎内にいるときは、口から栄養を摂取しているわけではありませんが、羊水は飲んでいるのです。
胎便の内容は、胃腸分泌物・胆汁・膵液・血液・産毛・胎脂などを含んでおり、80%程は水分です。羊水には、産毛・胎脂が含まれているため、それらと消化液等など固まり蓄積することで胎便となります。この特有の色調は胆汁色素に由来しており、無臭です。
3.胎便が出たらどうする?拭き方のコツとは
胎便は粘稠性が高いため、おしりが拭きにくいと感じるでしょう。胎便がでたら、水分をたっぷり含んだおしりふきなどでやさしく拭き上げることが大切です。
特に生まれたての新生児の赤ちゃんは、肌が薄くとてもナイーブ。おしりや陰部に、胎便がべったり付着してしまうと、思わずおしりふきでゴシゴシ拭いてしまいたくなります。しかし、赤ちゃんの肌を傷つけてしまうため、力任せで拭くことは避けましょう。
コツは、おしりふきにぬるま湯を含ませる、お尻にぬるま湯を吹きかけて便をふやかすことです。便に水分を含ませることで、赤ちゃんの肌を傷つけずに、拭き取ることがます。
胎便の付着範囲が広い場合や、時間が経って胎便が固ってなかなか取れにくい場合などは、おしり拭きで対処するのではなく、お尻をお湯でしっかり洗いあげる(座浴)をすることもおすすめです。
多くのママは、胎便が出る時期に出産して入院していることがほとんど。そのため、わからない場合・不安なことなどは、遠慮せず出産施設のスタッフに聞いてくださいね。
4.気をつけるべきポイント
胎便は、通常24時間以内に、ほとんどの場合でも36時間以内に排泄がみられるのが正常です。
胎便がなかなか見られず、小腸や大腸につまり,腸が閉塞した状態になる病態を胎便関連性腸閉塞といいます1)。多くは、出生体重が小さい赤ちゃんに起こりやすく、低出生体重児の場合は、より注意して初回排便をみていく必要があります。
胎便吸引症候群
お腹の中の赤ちゃんが胎便を吸い込んでしまい、呼吸障害を起こすことで病態のことです2)。
何らかの原因によって胎児が低酸素状態になると、羊水中に胎便が出てしまい、赤ちゃんがそれを吸い込んでしまう場合があります。出産時、その胎便が赤ちゃんの気道を塞いで呼吸困難となったり、胎便が肺に入ることによって肺炎を起こしたりするのです。
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まとめ:胎便はわずかな時期にしかみられない貴重な便
胎便は、生まれたばかりの赤ちゃんにみられる生理的変化のひとつで、わずかな時に気しかみられない便です。出産後の入院中にみることができる場合が多く、記念といって写真におさめる家族もいます。赤ちゃんがお腹のなかにいた名残ともいえる便といえるでしょう。胎便は、拭きにくいため今回ご紹介したコツを参考にしっかりとふきとってあげてくださいね。
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出典
1) 日本小児外科学会:胎便閉塞性疾患
2)Medical Note:胎便吸引症候群とはどのような病気?
この記事の監修
牛丸敬祥 医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長
経歴
- 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
- 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
- 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
- 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
- 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
- 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
- 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。