赤ちゃんの体重が減るのはなぜ?新生児の生理的体重減少について【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

〒810-0033 福岡県福岡市中央区小笹5-15-21
TEL092-521-7500
ヘッダー画像

ブログ

赤ちゃんの体重が減るのはなぜ?新生児の生理的体重減少について【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

赤ちゃんの体重が減るのはなぜ?新生児の生理的体重減少について【医師監修】

 

生まれてすぐの赤ちゃん(新生児:生後28日未満)は、外の環境に適応し自分の力で生きるためにさまざまな変化が起きます。生まれてすぐの赤ちゃんの体重が自然に減っていくのも、生理現象のひとつです。しかし、体重が減ってしまうことを心配してしまう方もいるでしょう。

 

今回は赤ちゃんの生理的体重減少について、原因や注意しないといけないポイントと一緒にお伝えします。

 

1.赤ちゃんの生理的体重減少とは

赤ちゃんの生理的体重減少とは、出産して間もない赤ちゃんの体重が出生体重より減少していく現象のことをいいます。

一般的に、体重減少のピークは生後3~5日前後で、生後7~10日頃に出生時体重に戻り1)、ほぼすべての赤ちゃんでみられる現象です。

 

1)なぜ体重が減るの?生理的体重減少の原因

 

生まれたばかりの赤ちゃんは、胃が小さく、母乳やミルクの哺乳量が少ない状態です。そのため、出産後間もない赤ちゃんは、体内に入る水分量に対し、体から出ていく水分量が多いために一時的に体重が減少してしまいます。

 

失われる水分には、胎便おしっこ、汗、不感蒸泄(ふかんじょうせつ)などが含まれます。不感蒸泄(ふかんじょうせつ)とは、日常生活において自然に失われる水分のことで、皮膚や呼吸などから蒸発する水分のことです。新生児は不感蒸泄が多いのも特徴です。

 

2)どのくらい体重が減ってもいいの?

通常生後3~5日に体重減少のピークをむかえ、5~10%程度の体重減少率が正常です。

しかし、体重減少率が10%を超えると、脱水や低血糖などに陥る可能性があるため注意が必要になります。また、出生体重が2500gと4000g近くの赤ちゃんでは、同じ体重減少率でもリスクが異なるため、出生後しばらく(特に入院中)は、毎日体重測定をして赤ちゃんの状態を診ていきます。

 

【体重減少率 計算法】
体重減少率=[(生まれたときの体重―現在の体重)÷生まれたときの体重]✕100

 

3)体重が減った後はどうなる?いつ増える?

 

生後3~5日で体重減少のピークをむかえた後は、体重が少しずつ増加し、通常は生後7~10日頃には出生時体重に戻ります。これは、日数に応じて赤ちゃんの胃も大きくなり、母乳の出る量、飲む量も増えてくるからです。

体重増加に転じた赤ちゃんは、その後毎日体重が増えます。

個人差はありますが1か月ほどで出生体重から1㎏程度の増加をし、1歳を迎えるころには出生体重の3倍にまで成長します2)

 

2.注意しないといけない体重減少

生後しばらくしても体重の増加傾向がない場合は、母乳の分泌が遅れているか、赤ちゃんがうまく飲めていないなどの可能性があります。

生後1週間が経過しても体重が減り続ける場合は、何らかの病気が隠れている可能性があるため、出産した産院でフォロー、または小児科を受診して原因を確認することが重要です。

 

3.体重が減らないものも注意

 

多くの赤ちゃんは、生理的体重減少がみられるのが一般的ですが、なかには体重減少が見られない赤ちゃんもいます。

母乳・ミルクをよく飲み、しっかり排泄等があれば問題ありません。しかし、便や尿の排泄が少ない場合はなんらかのトラブルを抱えている可能性があるため注意が必要です。

 

 

 

まとめ:赤ちゃんの体重が減ることは心配しすぎなくても大丈夫

赤ちゃんの生理的体重減少はよくみられる現象です。しかし、産後のママのなかには、「自分のおっぱいが出ていないから」「自分のおっぱいでは赤ちゃんがうまく飲めない」など、自分を攻めてしまう方もいます。

生まれたばかりの赤ちゃんが少しずつ外の世界に適応するように、産後のママも少しずつ変化していきます。焦らず、心配しすぎず赤ちゃんの成長を見守っていきましょう。もちろん心配や不安なことがあれば、抱え込まず、遠慮なくかかりつけの医師や助産師に相談してくださいね。

 

安心・安全に出産を迎えるために、個別栄養相談、助産師外来、母親学級、マタニティビクスなど多種多様なメニューを設けております。

詳しくはこちら
ガーデンヒルズウィメンズクリニック 各種教室の案内

 

出典
1) 日本助産師会 「妊娠中の標準的な健康教育」
2) 平成23年度 厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業「乳幼児身体発育 評価マニュアル」

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。