赤ちゃんの肌や白目が黄色いのはなぜ?赤ちゃんの黄疸の原因や治療について【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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赤ちゃんの肌や白目が黄色いのはなぜ?赤ちゃんの黄疸の原因や治療について【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

赤ちゃんの肌や白目が黄色いのはなぜ?赤ちゃんの黄疸の原因や治療について【医師監修】

 

出生後数日たつと、赤ちゃんの肌や白目が黄色くなることがあります。ほとんどの赤ちゃんにみられ、多くは心配がないものですが、なかには症状が悪化する場合もあります。

今回は赤ちゃんの黄疸について詳しく説明します。メカニズムや治療法などについても詳しく説明していますので参考にしてください。

 

1.赤ちゃんの黄疸とは?症状や基準について

 

1)一般的な赤ちゃんの黄疸の症状・基準について

黄疸とは、目に見える皮膚の黄染のことをいいます。人種でも異なります、うまれたばかりの赤ちゃんは程度の差はあれ、この新生児生理的黄疸はほとんどの割合でみられます。

 

症状としては、生後2~3日頃から皮膚や白目の部分が黄色くなり始め、生後4~6日目にピークを迎えることが多く、その後自然に消失するのが一般的です。

 

黄疸の原因であるビリルビンは出生後徐々に上昇しますが、成熟児の場合は18mg/dLを超えることはありません。黄疸の基準値は、日齢と出生体重を考慮し判断をします。

 

 

 

2)病的黄疸:新生児黄疸(新生児高ビリルビン血症)とは

赤ちゃんの黄疸のなかには病的な新生児黄疸(新生児高ビリルビン血症)の場合があります。病的な新生児黄疸は早期発見が重要です。そのため、定期的に経皮的にビリルビン測定を行い、測定値が高い場合や施設できめられた日数で採血を行います。

 

赤ちゃんの血液中のビリルビン値が高くなりすぎると、ビリルビン毒性による神経障害をきたすことが報告されています。これをビリルビン脳症または核黄疸といいます。ビリルビン脳症(核黄疸)になると、筋緊張低下、嗜眠、哺乳力減弱、痙攣、難聴などがみられ、後遺症を残す場合もあるのです。

 

2.なぜ赤ちゃんは黄疸が起こるの?原因・メカニズム

 

1)生理的黄疸のメカニズム

新生児に生理的黄疸が起こる原因は主に3つ1)2)です。

ビリルビン産生増加

新生児はお腹のなかの生活に対応するために生理的に多血であり、その赤血球の寿命は短いのが特徴です。出生後、呼吸開始によりいらなくなった赤血球は破壊され、それによって産生したビリルビンが多くなってしまいます。

 

肝臓におけるビリルビン処理能力が未熟

ビリルビンを処理する肝臓機能が未熟なため、多く産生されたビリルビンの処理がおいつきません。また生まれたばかりの赤ちゃんは哺乳が十分確立していないため、胎便の排泄が遅延してしまいビリルビンをうまく排出できない状況です。

 

母乳哺育による黄疸

母乳の分泌が十分でない場合などに、新生児が十分な母乳を摂取できていない時に発生します。こうした新生児では排便回数が少なくなるため、ビリルビンの排泄量も減少します。しかし、母乳を飲み続けて摂取量が増えると、黄疸は自然に消えていきます。また、母乳中には肝臓から体外へのビリルビン排出を妨げる物質がありますが、ほとんどは問題ありません。

 

2)病的黄疸の原因

 

病的黄疸の原因として特に注意が必要なのは,新生児溶血性黄疸と先天性胆道閉鎖症です。

 

新生児溶血性黄疸

ママとお腹の赤ちゃんの血液型が異なる場合、ママの抗血液型抗体が新生児の赤血球を破壊し、重度の黄疸や貧血を引き起こす疾患のことです。特に、Rh式血液型の不適合によって生じることがよく知られています。

 

先天性胆道閉鎖症

胆管が先天的にあるいは生後すぐに完全に詰まってしまい、胆汁を腸管に排出できなくなる状態が胆道閉鎖症です。本来、肝臓で生成された胆汁は胆管を通って十二指腸に流れ、そこで食物と混ざり合って栄養素の吸収を助けます。胆道が閉鎖すると腸に胆汁が流れず、黄疸が進み、症状が進行すると肝硬変を起こしてしまうこともあるのです。

 

3.赤ちゃんの黄疸の治療法とは

 

生理的黄疸の場合は特別な治療を必要としません。しかし、ビリルビン値が高い場合には入院中に皮膚に光をあててビリルビンを分解させる光線療法を行う場合があります2)

 

光線療法は保育器で治療するタイプと、母児同室ができるベビーコット一体型のタイプがあり、施設によって使い分けることもあります。治療は、症状に合わせて24時間以上~数日かけて行うのが一般的です。

 

黄疸の治療が終わったあとも、退院後に黄疸が再発する可能性があります。白目の黄色みが急に強くなった、赤ちゃんの元気がないなどの症状があれば早めにかかりつけの医師に相談しましょう。

 

まとめ:赤ちゃんを毎日観察することの大切さ

赤ちゃんの黄疸は基本心配しすぎることはありません。しかし赤ちゃんは、自分の不調や状況を説明することができません。泣いて知らせていてもうまく伝わらないこともあるでしょう。肌の色や状況だけではなく、赤ちゃんの呼吸や表情、体温や過ごし方を普段から観察し、「いつもとなにか違う」と感じた場合は、はやめに相談をしてくださいね。

 

 

 

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出典
1) Medical Note「新生児生理的黄疸」
2) MSD マニュアル プロフェッショナル版 「新生児高ビリルビン血症」

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。