切迫流産とは?流産の違いや原因・症状、赤ちゃんへの影響について【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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切迫流産とは?流産の違いや原因・症状、赤ちゃんへの影響について【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

切迫流産とは?流産の違いや原因・症状、赤ちゃんへの影響について【医師監修】

 

切迫流産ときいて、不安になる方もいるでしょう。

切迫流産は、お腹の赤ちゃんの命にすぐ危険が及ぶものではないため、心配しすぎることはありませんが、診断された後の過ごし方などには注意が必要です。

今回は、切迫流産について詳しく説明します。流産の違いやお腹の赤ちゃんへの影響についてもお伝えしていますので参考にしてください。

 

1.切迫流産とは?流産との違いや症状

 

「切迫流産」とは、流産の一歩手前であることを指し、胎児が子宮内に残っていて妊娠継続できる可能性がある状態こといいます1)

 

「流産」とは、妊娠の早い段階で、赤ちゃんが亡くなってしまうことです。定義としては、赤ちゃんがお母さんのお腹の外では生きていけない週数とされている妊娠22週までに、妊娠が終わることをいいます。

さらに、妊娠12週未満での流産を「早期流産」、妊娠12週~22週未満での流産を「後期流産」といいます2)

 

そのため、切迫流産と診断されたからといって、すべての人が流産になるというわけではありません。

 

1)症状

 

切迫流産の主な症状としては、出血や腹痛で、いつから起こるというものではなく、妊娠したらいつでも起こり得る可能性があります。

多くは少量の出血や軽い腰痛ですが、正常な経過をたどっている妊娠中でも同じ症状が起こる場合があるため、経過を見ながら状況を判断することが必要です。また、切迫流産のなかには自覚症状がない方もいます。

 

出血の原因

切迫流産における出血の原因としては、主に子宮内の胎盤の着床部分である絨毛や胎盤の一部が剥がれることが挙げられます。また、赤ちゃんを包む袋の一部が破れ、子宮内に血液が溜まる「絨毛膜下血腫」の場合もあります。

 

腰痛の原因

妊娠中はホルモンやお腹の負荷によって腰痛が起きやすくなりますが、切迫流産における腰痛は子宮が収縮するときなどに生じている可能性があります。

 

2)診断

日本の産婦人科診療ガイドラインから、切迫流産は以下の状態を加味して診断をされます3)

流産へ進行する可能性があると判断される臨床症状(性器出血,腹痛,子宮頸管長短縮などの 1つまたは複数) を呈する場合

 

お腹の張りや痛み、出血などを認め、経腟超音波検査や内診で子宮の入り口の開大や子宮頸管の短縮が認められると診断されます。切迫流産の予防や早期発見ができるためにも、決められた時期に妊婦健診を受けることはとても大切なのです。

 

 

2.切迫流産の原因とは

 

妊娠12週未満で起こる早期の流産の原因で最も多いのが赤ちゃん自体の染色体等の異常です。ママのせいではなく、妊娠初期の仕事や運動などが原因で流産することはほとんどないといわれています1)

 

また、妊娠12週〜22週で流産になった場合は、胎児の問題だけではなく、母体の出血や感染症、子宮の収縮などが原因で起こるとされています。これらの症状は、ママの体質や喫煙などの日常生活の影響している場合もあります。

 

切迫早産が起きる原因にもつながるため、以下の切迫早産の医療コラムで一緒に確認しましょう。

 

 

 

3.切迫流産の赤ちゃん(胎児)への影響

切迫流産と診断されたからといって、すべての人が、赤ちゃんにすぐ危険が及ぶわけではありません。切迫流産と診断せれても、赤ちゃんが元気であることも多いです。

指示された日に受診して、赤ちゃんの状態を確認しましょう。また、切迫流産を経た赤ちゃんに将来障害が残るというわけではありません。

 

4.切迫流産の治療法とは

 

切迫流産の治療は、基本的に安静にし経過観察になります。

とはいえ、切迫流産と診断されても、流産の進行具合や人によって対処・治療の方法が全く異なりなります。安静の程度や期間も異なるでしょう。まずは、自分の状態をしっかり医師と確認し、自分の家庭環境や仕事環境に応じて、必要な処置を考えていく必要があります。

 

また、妊娠12週までの早期の切迫流産に対しては、原因が赤ちゃんにあることが多いため、流産予防に有効な薬剤はないといわれているのが現状です。絨毛膜下血種が大きい切迫流産などでは、入院による安静管理を行うこともあります。

 

まとめ:妊娠が分かったら、周りの人を頼り無理のない生活を

妊娠初期は、からだや環境の変化に伴い心身共に体調をくずしやすい状態です。早期の切迫流産は、ほとんどがママのせいではないとはいえ、診断されると落ち込む方や、自分を攻めてしまう方もいます。

妊娠中はママだけのからだではありあません。ひとりですべて抱え込もうとはせず、できるだけ周りを頼って無理のない生活を心がけてほしいと思います。

 

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出典
1) 日本産科婦人科学会 「流産・切迫流産」
2) 国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 「妊娠中の出血!切迫流産っていったい何??」
3) 日本産科婦人科学会 日本産婦人科医会 「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020」

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。