赤ちゃんの「げっぷ」はいつまで必要?でないときの対処法とは【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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赤ちゃんの「げっぷ」はいつまで必要?でないときの対処法とは【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

赤ちゃんの「げっぷ」はいつまで必要?でないときの対処法とは【医師監修】

 

赤ちゃんとの生活は初めての事ばかりで「これでいいのかな?」と思うことが多いでしょう。
赤ちゃんの「げっぷ」も、ママが心配になることの1つです。
「げっぷを出す方法は合っているかな?」「きちんとげっぷが出ているかな?」と不安になったり、「げっぷはいつまで必要なの?」と疑問に思ったりしますよね。

この記事では「赤ちゃんはどうしてげっぷをしないといけないのか?」「いつまで必要なのか?」というママの疑問に回答し、げっぷの出し方のコツについても紹介します。げっぷが出なかった時の対応と注意してほしいポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

1. なぜ赤ちゃんは「げっぷ」をさせないといけないのか?

 

赤ちゃんが授乳後にげっぷが必要だということを、出産して初めて知る人もいるでしょう。生まれたばかりの赤ちゃんは体の構造が未熟なため、自分でうまくげっぷを出すことができません。成長とともに内臓が発達してげっぷをする必要がなくなりますが、それまでは大人の手助けが必要です。

ここからは赤ちゃんにとって「げっぷ」はどのような意味をもつのか、げっぷはいつまでさせるのかについて詳しく解説していきます。

 

1) 赤ちゃんの「げっぷ」とは

生まれてすぐの赤ちゃんは、母乳やミルクを飲むのが上手ではありません。そのため、母乳やミルクと一緒に空気も飲み込んでしまいます。

お腹の中に空気が溜まってしまうとお腹が張って苦しくなってしまうことから、げっぷを促してあげることで、体の外に空気を出してあげるのです。

 

げっぷさせるもう一つの理由は、赤ちゃんの胃の構造が関係しています。
大人の胃はアルファベットの「J」のような形をしていて、胃の下の部分に食べ物を溜めることができます。しかし、生まれたばかりの赤ちゃんの胃はくびれがなくほぼまっすぐな状態のため、ミルクを胃の中に溜めておくことができません。

胃に母乳・ミルクと一緒に空気が大量に入ってしまうと、赤ちゃんは少しの刺激で吐き戻してしまうため、げっぷをさせることでそれらを防ぐのです。

 

これら2つの理由から、授乳後はげっぷをして胃の中の空気を外に出してあげましょう。実は、母乳よりも哺乳瓶を使っている赤ちゃんの方が、胃に空気が入りやすいといわれています。その理由は、哺乳瓶は空気が入らないとミルクが出てこない構造になっているからです。哺乳瓶で飲んだ後は特に、げっぷを促してあげましょう。

また、げっぷ後むせることがあり心配になるかもしれませんが、成長とともにむせる回数は減ってくるので、心配しすぎなくて大丈夫。むせてしまったら、赤ちゃんの体を縦にして背中をやさしく叩いてあげましょう。

 

2) いつまで「げっぷ」をさせる?

げっぷをやめる目安は生後4~5か月といわれていますが、実は明確な時期は決まっていません。
その理由は、赤ちゃんの成長が個々に違うからです。

生後3か月を過ぎると、赤ちゃんは上手にミルクを飲めるようになってきます。さらに生後5か月を過ぎると寝返りができる赤ちゃんが増えてきて、自分で体勢を変えたりうつ伏せになったりしたときに自然とげっぷやおならが出るようになります。このような状態になればげっぷをさせなくても大丈夫なので、赤ちゃんの成長に合わせて判断していきましょう。

 

 

2. 赤ちゃんの「げっぷ」の出し方・コツ

 

ここからは、赤ちゃんのげっぷの出し方とコツについて解説していきます。

新生児の頃は体がフニャフニャとしていて安定しないため、げっぷを出すのが難しいかもしれません。げっぷを出すときの姿勢と叩き方を確認して、安全にげっぷをしていきましょう。

 

1) 排気姿勢

排気姿勢には「縦抱きに肩にのせる方法」と「膝に座らせながらの方法」の2つがあります。
どちらの方法もげっぷをした時に吐き戻すことがあるので、赤ちゃんの口の近くにガーゼやタオルを準備しておきましょう。

げっぷを上手に出すコツは、できるだけ赤ちゃんの背中を伸ばしてあげることです。
胃の中の空気が口から出るようなイメージをして、赤ちゃんの姿勢を整えていきましょう。

 

縦抱きに肩にのせる方法

 

①赤ちゃんの頭を大人の肩にのせるように、縦抱きにする
首が座っていない赤ちゃんを縦抱きにするのは少し怖いかもしれませんが、頭を肩に乗せることで安定するので大丈夫です。

 

②片手で赤ちゃんのお尻を支えて、空いている方の手で背中を優しくトントンと叩く
この時、赤ちゃんの背中をまっすぐにするのがポイントです。
叩いてもなかなかげっぷが出ないときは、背中を下から上に向かってさすりましょう。

 

膝に座らせながらの方法

 

赤ちゃんを大人の膝や太ももに座らせて、片方の腕で赤ちゃんの首と背中を支える
支えている腕の親指と他の4本の指で赤ちゃんの腕を固定することで首が安定しやすくなります。

 

空いている手で、赤ちゃんの背中を下から上に背中を優しくトントンと叩きます
この時、赤ちゃんのあごが少し上を向いているとげっぷが出やすくなります。

膝に座らせる方法は赤ちゃんの扱いに不慣れな初産婦さんにおすすめ。また、首が座る時期までは「縦抱きに肩にのせる方法」の方が簡単や安定していると感じる人が多いかもしれません。

注意点として、座らせた状態にした時に、いきなり赤ちゃんがのけぞることがあるので気を付けましょう。もし赤ちゃんを座らせるのが不安だと思ったら、太ももの上にうつ伏せにした状態で背中をさするのも効果的です。

 

2)叩き方

優しくリズミカルにトントンと叩くのがうまくげっぷがでるコツです。強く叩いてしまうのは絶対にしないでください。赤ちゃんが骨折してしまう可能性もあります。
柔らかいボールを持つようなイメージで、指を軽く丸めた状態で軽く叩くのもよいでしょう。

 

 

3.げっぷがでないときの対処法

 

げっぷを出すために背中を叩く時間の目安は3~5分です。
それ以上の時間をかけると赤ちゃんの体に負担になってしまう事があります。時間をかけてもげっぷが出ない時は、これから紹介する方法を試してみましょう。

 

1) 体勢をかえて「げっぷ」をさせてみる

なかなかげっぷが出ない時は、体勢を変えてみましょう。体勢を変えることで胃の中の空気が動いて、げっぷが出やすくなることがあります。

座った状態でげっぷが出ない時縦抱きにしてみたり、縦抱きから座った姿勢やうつ伏せにしてみたりしましょう。体勢を変えると自然にげっぷが出ることがありますが、それでも出ない時は背中をトントンと優しく叩きます。

 

2) 横向きに寝かせる

背中をトントンしても体勢を変えてもげっぷが出なかったら、横向きに寝かせて様子をみましょう。
枕やタオルなどを使って赤ちゃんの体を全体的に横向きにするか、むずかしい時は首だけ向きを変えます。仰向けで寝かせてしまうと、吐いたものが詰まって窒息してしまう危険があるので避けましょう。

 

3) 無理に出さなくてもよい

背中をトントンししてもげっぷが出なかった場合、機嫌が良ければ無理にげっぷを出さなくても大丈夫です。

赤ちゃんは月齢が上がると、飲み方が上手になって飲み込む空気の量が少なくなったり、大人が介助しなくても実は自分でげっぷを出していたりすることもあります。また、授乳している間に赤ちゃんが眠ってしまったら無理にげっぷをさせなくても大丈夫。吐き戻しによる窒息を防ぐために、横向きにして寝かせます。

 

4) おならとして排出することも

お腹の中の空気はげっぷだけでなく、おならやしゃっくりで体の外に排出されます。赤ちゃんは成長すると自分で寝返りをしておならやげっぷを出したり、音が聞こえないけど実はげっぷやおならをしていたということもあるです。げっぷがでないからといって、心配しすぎなくても大丈夫です。

 

 

4.注意が必要な赤ちゃんの症状

 

1) げっぷと同時に大量の吐き戻しが頻回にある

赤ちゃんが授乳後に母乳やミルクを少量吐き出すことを「溢乳(いつにゅう)」といいます。吐き戻しの量や回数が少ない場合は、赤ちゃんの生理的な現象なので問題はありません。一回の授乳量を減らして様子をみましょう。

 

しかし、げっぷと同時に大量に吐くことが頻回に繰り返される場合は「肥厚性幽門狭窄症」という病気の可能性などがあるため病院に相談しましょう1)

幽門は、胃から腸への出口の部分です。肥厚性幽門狭窄症は幽門が狭くなってしまう病気で、本当なら胃から腸へと進む母乳・ミルクが幽門で引っ掛かり、行き場がなくなって口から出てしまいます。胃の中のものを出し切ると嘔吐がおさまり、嘔吐以外の時間は機嫌が良いことが多いため病気に気付きにくいといわれています。

 

2) げっぷがなかなか出ず、お腹にガスが貯まっている

げっぷがなかなか出ずにお腹にガスが貯まっている状態は「胃軸捻転症」の可能性があります。
胃軸捻転症は胃が捻じれてしまった状態のことです。

赤ちゃんの頃の胃軸捻転症は、成長とともに自然に治ることが多いといわれています。うつ伏せや右を下にして寝かせることで改善することもありますが、浣腸が必要な場合もあるためお腹のがガスが気になるときは病院に相談しましょう。

 

3) 赤ちゃんの機嫌が悪い、ぐったりしている

赤ちゃんの機嫌が悪かったりぐったりしている場合は「腸重積」などの可能性があります2)。腸重積とは一部の腸が隣り合う部分に入り込んでしまい、腸が詰まってしまう病気です。腸が動くことで痛みが出るため、急に激しく泣いたり、不機嫌になるのが特徴です。そのほかに、嘔吐や血便が出ることがあるため注意してみましょう。

腸重積の治療は早期であれば「高圧浣腸」といわれる通常とは違う浣腸で腸を性状な状態に戻すことができます。しかし発症してから時間が経ってしまうと、腸の損傷が激しく手術の必要がある場合もあります。げっぷが出なくて赤ちゃんの機嫌が悪い、ぐったりしているという時は早めに病院に相談しましょう。

 

 

まとめ:赤ちゃんのげっぷは生後4~5か月までを目安に

生まれたばかりの赤ちゃんは胃が未熟な状態なため、大人の介助によってげっぷが必要です。成長するにつれて自分でげっぷを出すことが出来るようになるため、寝返りをする生後4~5か月くらいまではげっぷを続けましょう。

赤ちゃんは自分の体の状態を言葉で伝えることができません。げっぷがきちんと出ているか、機嫌が悪くないか、吐き戻しの量や回数、お腹の張りなどをチェックして、赤ちゃんの異変を見逃さないようにしましょう。

 

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参考文献・参考サイト
1)MSDマニュアル プロフェッショナル版 肥厚性幽門狭窄症
2)福岡大学医学部外科学講座 腸重積

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。