新生児の低血糖とは?症状・原因から対処法までわかりやすく解説【医師監修】
- 2026年2月7日
- 更新日: 2026年1月21日
- 医療コラム

新生児期の赤ちゃんは、低血糖を起こしやすいといわれています。では、自分では不調を訴えられない赤ちゃんの異変に気付くためには、どのようなことに気をつけなければいけないのでしょうか?
この記事では新生児の低血糖の原因と症状、対処法についてくわしく解説しています。低血糖状態が続くことで、赤ちゃんの命も危険になることもあります。ぜひ参考にして、予防と早期発見をしていきましょう。
1. 新生児低血糖の基礎知識

新生児低血糖とはどのようなものなのか、期間注意が必要な期間について解説していきます。
1) 新生児低血糖とは?
低血糖とは、血液中のブドウ糖の量が少ない状態になることです。大人が低血糖になると「脈が速くなる」「手や指が震える」といった「低血糖症状」が出ることで、異常に気付くことができます。しかし、赤ちゃんは症状を訴えることができないため、赤ちゃんの様子を観察して「おかしいな」と早めに気づくことが大切です1)。
実は産まれてすぐの新生児は、低血糖が起こりやすい状態。その理由は、へその緒を通じてママから糖が送られていた糖の供給が、出生後になくなってしまい、一時的に血液中の糖分が少なくなってしまうからです。低血糖状態が続くと、赤ちゃんの元気がなくなり、呼吸に異常が出たり、命が危険な状態になってしまうこともあります。
2) いつまで注意が必要?
特に新生児が低血糖を起こしやすいのは、出生直後から数時間です。この時間は血糖値が低下しやすいため、低血糖症状があらわれたらすぐに対処しなければいけません。時間の経過とともに徐々に安定しますが、生後2~3日くらいまでは血糖値が不安定になりやすいため注意が必要です。
新生児期である生後28日未満は、低血糖に注意していきましょう。生後1ヶ月をすぎると胃の容量が増えて、授乳量が安定することから、低血糖のリスクが少なくなることが多いです。
2. 低血糖の主な症状、サインとは?

赤ちゃんに以下のような症状がある場合は低血糖のサインかもしれません。
● 元気がない、ぐったりしている
● 長時間寝ている
● 体が震える、けいれん
● 無呼吸や呼吸の回数が多いなどの呼吸の異常がある
● 甲高い泣き声
● 母乳やミルクの飲みが悪い
● 皮膚の色が青みがかっている
低血糖症状かどうかは、実際に血糖を測定しないと分かりません。しかし「いつもと違うな?」「おかしいな」という気付きを大切にして、まずは赤ちゃんの変化に気づくことが大切です。この後に紹介する低血糖のリスクのある赤ちゃんは、特に注意していきましょう。
3. 新生児低血糖の原因

新生児低血糖の原因には、大きく分けて3つあります。
1つめは、妊娠中のママに糖尿病があること。ママに糖尿病の持病や妊娠糖尿病があると、赤ちゃんが高血糖になりやすいといわれています。高血糖状態を改善するために、赤ちゃんの体はインスリンを一生懸命分泌します。インスリンが過剰に分泌された状態で産まれた赤ちゃんは、急激に血糖値が下がることで低血糖になってしまうのです。
2つめは、早産や低出生体重児です。血糖値を上げるためのホルモンの分泌が少ないことが原因で、出生後に低血糖になりやすいといわれています。
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3つめは、赤ちゃんの授乳環境です。新生児期の赤ちゃんは、1日を通して起きている時間が少なく、授乳間隔が長くなってしまうこともあるでしょう。そのことが原因で、低血糖症状が出ることがあります。赤ちゃんを起こして授乳するのがかわいそうに感じるかもしれませんが、血糖値が不安定な新生児期は2~3時間おきを目安に授乳をしていきましょう2)。
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4.新生児の低血糖がもたらす影響とリスク

赤ちゃんの低血糖が続くと、発達の遅れや脳にダメージを与えてしまう可能性があります。さらに重症化すると、脳性麻痺やてんかんのリスクが高くなり、赤ちゃんが死亡するケースもあります。
低血糖は早期発見が重要となります。普段と違う様子があったり、「おかしいな」と感じたら、すぐに医療機関に相談しましょう。
5. 低血糖の対処法と医療機関での治療

新生児の低血糖について、実は明確な基準が決められていません。低血糖のリスクの高い赤ちゃんに対しては、数時間ごとの血糖測定で経過を観察し、予防的に治療をおこなうこともあります。
もし、赤ちゃんに低血糖症状があらわれたり、血糖値が50mg/dlを下回ってしまった場合は、まずは授乳をして様子をみます。それでも改善しないときは、医師の判断の元ブドウ糖の投与などの医療的処置がおこなわれることもあります3)4)。
6. 予防のために大切なこと

低血糖が起こりやすい生後数日~1カ月の間は、赤ちゃんに異常がないか注意して、低血糖のサインに早く気づくことが大切です。
特に低血糖が起こりやすい出生後すぐは、授乳間隔が長くならないように頻回の授乳で十分な栄養を与えることで、低血糖を予防していきます。寝ているときも「グッタリしていないかな」「呼吸がおかしくないかな」と確認しましょう。
また、低体温も低血糖の原因となります。新生児期の赤ちゃんは体温調節が苦手なため、保温に注意していくことも大切です。
まとめ:赤ちゃんの低血糖は、周囲が早期に気付くことが大切
低血糖が起こりやすい生後すぐの赤ちゃんは、自分で体の異変を訴えることができません。そのため、周囲の大人が「おかしいな」と気付くことが早期発見のために大切です。初産のママは赤ちゃんの異変に気付くことがむずかしいかもしれませんが、保温をしっかりする、授乳間隔を守ることで低血糖が予防できます。
赤ちゃんの低血糖に注意する期間はおおよそ生後1カ月まで。その期間は退院して自宅で過ごす時間の方が長くなります。医療者のいないタイミングで低血糖症状を起こす可能性もあるため、赤ちゃんの様子が変だと感じたらすぐに医療機関に相談しましょう。
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参考文献・参考サイト
1)国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター 低血糖
2)MSDマニュアル 新生児低血糖
3)MSDマニュアル 新生児低血糖
4)産科医療LABO 赤ちゃんのトラブル
この記事の監修
牛丸敬祥 医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

経歴
- 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
- 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
- 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
- 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
- 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
- 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
- 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。
