月経不順とは?原因やホルモンの関係、放置すると妊娠しにくいって本当?【医師監修】
- 2026年10月24日
- 更新日: 2026年10月19日
- 医療コラム

月経不順は多くの方が一度は経験する身近な症状ですが、原因や対処法はさまざまです。
この記事では、月経不順の定義から原因・ホルモンとの関係、漢方やピルなどの治療法まで、わかりやすく解説します。
1. 月経不順とは?まずは定義を知ろう

「月経不順」という言葉はよく耳にするものの、どこからが「不順」にあたるのか、正確な基準を知っている方は意外と少ないかもしれません。まずは月経不順の定義と、正常な生理周期の目安について整理しておきましょう。
1) 月経不順の定義とは
一般的に、生理(月経)の周期は25〜38日程度が正常の目安とされています1)。つまり、前回の生理が始まった日から次の生理が始まるまでの日数が、この範囲内に収まっていれば、基本的には正常の範囲と考えられます。
月経不順とは、この範囲から大きく外れた状態や、毎回の周期が大幅にばらつく状態を指します。たとえば、周期が24日以下になる「頻発月経」や、39日以上あく「稀発月経」、さらに3カ月以上生理がこない「無月経」なども月経不順の一つです。「先月は28日周期だったのに今月は45日だった」というように、周期が安定しない状態も月経不順に含まれます。
2) 生理の量や期間の変化も月経不順のサイン
月経不順は、周期の乱れだけを指すわけではありません。経血の量や生理が続く期間の変化も、月経不順のサインとして見逃せないポイントです。
正常な生理期間は3〜7日程度とされていますが、2日以内で終わってしまう「過短月経」や、8日以上続く「過長月経」もあります。また、経血量が極端に少ない「過少月経」や、レバー状の塊が何度も出るほど量が多い「過多月経」なども、体の異変を示すサインである可能性があります。
「生理の量が急に変わった」「いつもより長引いている」と感じたときは、注意して経過を観察することが大切です。
2. 月経不順の原因は?ホルモンとの深い関係

月経不順にはさまざまな原因が考えられますが、多くの場合ホルモンバランスの乱れが関係しています。ここでは代表的な原因について、日常生活とのつながりも含めて紹介します。
1)ホルモンバランスの乱れによる原因
生理は、脳と卵巣が連携して成り立っています。脳の中の「視床下部」と「脳下垂体」と呼ばれる部分が卵巣に指令を送り、卵巣がエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌することで、排卵や月経のリズムが生まれます2)。
この脳から卵巣への指令がうまく伝わらなくなると、排卵のタイミングがずれたり、排卵が起こらなかったりすることがあります。その結果として、生理周期が乱れるのです。ホルモンの指令系統はとても繊細で、ちょっとしたバランスの乱れが周期に影響することもあります。
2)ストレスや生活習慣による原因
過度なストレスは、脳の視床下部の働きを乱すことが知られています。視床下部はホルモンの司令塔でもあるため、ストレスが続くと生理周期に影響が出やすくなるのです。
また、睡眠不足や不規則な生活リズム、急激な体重の増加・減少なども月経不順の引き金になることがあります。特にダイエットによる急激な体重減少は、体が「エネルギー不足」と判断してホルモンの分泌を抑えることがあり、生理が止まってしまうケースも少なくありません。日々の食事や睡眠、体重管理が、生理の安定にも深くかかわっているのです。
3)激しい運動による月経不順(陸上部など)
陸上部や体操、バレエなど、日常的に激しい運動をしている方では、月経不順が起こりやすいことがわかっています。体脂肪が極端に少なくなると、女性ホルモンの分泌が低下し、生理が不規則になったり止まったりすることがあります。
特に成長期の中高生は、体がまだ発達途上にあるため、過度なトレーニングによる影響を受けやすい時期です。「運動しているから健康なはず」と思いがちですが、月経不順が続く場合は体のサインとして受け止め、早めに相談することが大切です。運動量の調整や栄養面でのサポートが、症状の改善につながることもあります。
4)原因不明の場合もある
検査を行っても、明確な原因が特定できない「原因不明」の月経不順も存在します。「異常が見つからないから安心」と思う反面、「なぜ不順なのかわからない」という不安を感じる方もいるかもしれません。
しかし、原因不明の月経不順であっても、経過を観察しながら生活習慣の改善や漢方・ピルなどの治療を組み合わせることで、症状が落ち着いてくるケースは多くあります。
3. 月経不順を放っておくと妊娠しにくい?

「月経不順があると妊娠しにくくなるの?」という不安を抱く方は少なくありません。ここでは月経不順と妊娠の関係について、正しい知識を紹介します。
1)排卵と月経不順の関係
妊娠するためには、まず排卵が正常に行われていることが必要です。月経周期が乱れている場合、排卵のタイミングが不規則になっていたり、場合によっては排卵が起こっていなかったりすることがあります。
月経不順が長期間続いている場合は、排卵に何らかの問題が生じている可能性があり、それが妊娠のしにくさにつながることがあります。ただし、月経不順があるすべての方が妊娠しにくいわけではありません。周期が少し不規則であっても排卵は起きていることも多く、まずは正確な状態を把握することが大切です。
2)不安なときこそ早めの相談を
「もしかしたら妊娠しにくいかも……」と自己判断で悩み続けるよりも、早めに婦人科を受診することが、安心への第一歩になります。受診することで、実際に排卵が起きているかどうか、ホルモンの状態はどうかなど、体の中の状況を客観的に確認することができます。
原因が特定できれば、それに合った対処法を選ぶことができます。将来的に妊娠を希望しているかどうかによっても、治療の選択肢や進め方は変わってきますので、現在の状況や希望を含めて医師に相談してみてください。
4.月経不順は病気の可能性もある?

月経不順の背景には、生活習慣だけでなく、何らかの病気が隠れているケースもあります3)。ここでは病院での検査を検討したいサインについて紹介します。
1)月経不順の裏に隠れやすい病気
月経不順の原因として、以下のような病気が背景にある場合があります。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):排卵がうまく起こらず、生理が不規則になりやすい。肥満や体毛の増加などを伴うこともある
甲状腺機能の異常:甲状腺ホルモンの過不足が月経周期を乱すことがある。疲れやすさ・体重変化を伴うこともある
高プロラクチン血症:授乳に関わるホルモン(プロラクチン)が過剰に分泌され、排卵が抑制されることがある
子宮や卵巣の疾患:子宮筋腫や卵巣嚢腫なども、月経の乱れや経血量の変化につながる場合がある
2)病院を受診する目安
次のような状態が続いている場合は、婦人科への受診を検討してみてください。
・生理が3カ月以上来ない(無月経)
・生理周期が毎回大きく変動し、3カ月以上改善しない
・経血量が急に増えた、または極端に少なくなった
・生理痛が以前より強くなった、または日常生活に支障が出るほどつらい
・生理以外のタイミングで出血がある
「様子を見ようかな」と思いがちですが、早めに相談することで体への負担を減らすことにつながります。
5. 月経不順の治療法(漢方・ピル・薬)

月経不順は、原因や症状の程度に応じてさまざまな治療の選択肢があります。ここでは病院でよく用いられる代表的な治療法を紹介します。
1)漢方による体質からのアプローチ
漢方薬は、体全体のバランスを整えるという考え方に基づいた治療法です。即効性よりも体の根本的なバランスを整えることを目指すため、継続して服用することで体質改善が期待できる場合があります。
副作用が比較的少ないことから、長期的に使いやすいという点も特徴の一つです。「薬に頼りたくない」「まずは体質から整えたい」という方に選ばれることも多い治療法です。
2)ピルによるホルモンの調整
低用量ピル(経口避妊薬)は、避妊のためだけでなく、月経不順や月経痛の治療を目的として処方されることがあります。
「ピル=避妊薬」というイメージを持つ方も多いですが、月経不順の治療薬としても広く活用されています。月経困難症や子宮内膜症の治療にも使われており、婦人科領域では非常に重要な薬の一つです。服用を続けることで周期が安定し、生理に関連した不快症状が軽減されるケースも多くあります。
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3)症状に応じたその他の薬による治療
将来的に妊娠を希望する場合は、排卵を促す「排卵誘発剤」が選択肢に入ることがあります。一方、今すぐ妊娠を希望しない場合は、周期を整えることを優先した薬の使い方になります。このように、同じ月経不順でも、妊娠の希望があるかどうかによって選ばれる治療の方向性が変わることがあります。
どの治療法が自分に合っているかは、原因や体の状態、ライフプランなどによって異なります。医師とよく相談しながら、自分にとって最適な方法を医師と一緒に選んでいきましょう。
まとめ:原因を知り適切に向き合うことで、安心につなげることができる
月経不順の原因は、ホルモンバランスの乱れやストレス、生活習慣、激しい運動など多岐にわたり、なかには原因不明のケースや病気が隠れているケースもあります。
「妊娠しにくいのでは」と不安なときほど、自己判断で悩み続けるのではなく、早めに婦人科へ相談することが大切です。気になる変化があれば一人で抱え込まず、まず専門家に相談してみましょう。
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参考文献・参考サイト
1)一般社団法人日本女性心身医学会:女性の病気について「月経不順」
2)MSDマニュアル家庭版:月経周期の異常の概要
3)MSDマニュアルプロフェッショナル版:無月経の病因
この記事の監修
牛丸敬祥 医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

経歴
- 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
- 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
- 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
- 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
- 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
- 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
- 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。
