初乳はいつから出る?いつまで飲ませたほうがいい?赤ちゃんへのメリットについて【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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初乳はいつから出る?いつまで飲ませたほうがいい?赤ちゃんへのメリットについて【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

初乳はいつから出る?いつまで飲ませたほうがいい?赤ちゃんへのメリットについて【医師監修】

 

「初乳ってどんなお乳なの?」「妊娠中から気にしておくべきことはある?」——出産を控えたママや、それを支えるご家族の中には、そんな疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。初乳は出産直後のわずかな期間だけ分泌される特別なお乳で、赤ちゃんに必要な栄養がぎゅっと詰まっています。

この記事では初乳の基礎知識・赤ちゃんへのメリット・飲ませる際のポイントまでをわかりやすく解説します。

 

 

1. 初乳とは?妊娠中から知っておきたい基礎知識

 

出産後すぐに出るお乳を「初乳」と呼びますが、実は妊娠中からすでに分泌の準備が始まっています。とろみがあり黄色みを帯びているのが特徴で、量は少なくても赤ちゃんにとってかけがえのない役割を持つ特別なお乳です。
まずは初乳がいつ頃から作られ始めるのか、通常の母乳とどう違うのかを見ていきましょう。

 

1) 初乳はいつから出るの?

初乳の分泌準備は、妊娠中期(16〜20週頃)から乳腺の発達とともに体内で始まっています。この時期から乳房が張り感を感じるようになったり、乳頭から少量の黄色っぽい液体がにじんでくることがあります。「妊娠中なのにお乳が出てきた!」と驚く方もいますが、これは初乳の準備が整ってきているサインであり、心配のいることではありません。

出産が起こると、それまで分泌を抑えていたプロゲステロンが急激に低下し、プロラクチンというホルモンが優位になります。この変化によって、出産直後から実際に初乳が分泌されるようになります。「産んですぐ出るの?」と驚く方もいますが、赤ちゃんが生まれてすぐ吸ってくれることで、この仕組みがスムーズに働き始めます。

 

2) 通常の母乳との違いは?

初乳とその後の母乳は、色・粘度・成分の面で大きく異なります。次の表で、初乳・移行乳・成乳の違いを確認してみましょう。

 

 

初乳

(0〜3日頃)

移行乳

(4〜14日頃)

成乳

(2週間以降)

色

黄色〜

オレンジがかった色

黄白色

白〜乳白色

粘度

とろみがある

少しずつサラサラに

サラッとしている

量

少量

(数ml〜10ml程度)

徐々に増える

安定して分泌

たんぱく質

非常に多い

やや多い

少なくなる

免疫グロブリン(IgA)

非常に豊富

減少していく

少量

脂肪・糖質

少なめ

増えていく

多い

 

初乳は量が非常に少なく、最初は数mlしか出ないことも多いため「足りていないのでは?」と不安になりやすいものです。しかしこれは自然な経過であり、生まれたばかりの赤ちゃんの胃の大きさに合わせた量になっています。産後3〜5日頃から母乳の量が増え始め、色も白っぽく変わっていくのが一般的です。

 

 

 

2. 初乳が赤ちゃんにもたらす栄養とメリット

 

初乳は「命のワクチン」とも呼ばれるほど、赤ちゃんの健やかな成長に欠かせない栄養と成分が凝縮されています。量は少なくても、生まれたばかりの赤ちゃんの体を守るために必要な量がきちんと満たされるようにできています。ここでは初乳に含まれる栄養素と、赤ちゃん・ママそれぞれへのメリットを解説します。

 

1)初乳に含まれる栄養素とは

初乳には、成乳と比べてたんぱく質や免疫に関わる成分が非常に豊富に含まれています。免疫グロブリンA(IgA)は初乳に最も多く含まれる免疫成分で、消化管の粘膜を病原体から守るはたらきがあります。また、ラクトフェリンという成分も豊富に含まれており、細菌やウイルスの増殖を抑える効果が期待されています。

さらに初乳には白血球(免疫細胞)も含まれており、感染症から赤ちゃんの体を守る多重の防御ラインが備わっています1)。脂肪や糖質は少なめで、消化器官が未熟な新生児にも負担が少ない組成になっているのも特徴のひとつです。

 

2)赤ちゃんの免疫力を育むはたらき

生まれたばかりの赤ちゃんは、ママのお腹の中とは全く異なる環境に突然さらされます。外の世界には、細菌やウイルスなどさまざまな刺激があふれており、赤ちゃんの未熟な免疫システムだけでは対応しきれないこともあります。

初乳に含まれる免疫成分は、腸の粘膜を覆うようにはたらき、外敵の侵入を防ぐバリアを作る役割を担っています。また、腸内に善玉菌が定着するのを助けることで、赤ちゃんの腸内環境を整える土台づくりにも貢献します。生後まもない時期の腸内環境は、その後の免疫力や健康に大きく影響するとされており、初乳の役割はとても大きいといえます。

 

3)ママにとってのメリットも

初乳を飲ませることは、赤ちゃんだけでなくママにとってもメリットがあります。赤ちゃんが乳頭を吸うことで、オキシトシンというホルモンが分泌されます。このホルモンには子宮を収縮させるはたらきがあり、産後の子宮の回復を助ける効果が期待できます。

また、出産直後から早期に授乳を始めることで、母乳分泌のリズムが整いやすくなります。「最初から頻繁に吸ってもらうことが、その後の母乳量につながる」のです。さらに、産後早期の授乳は、母子の絆を深めるスキンシップの時間にもなります。

 

 

3. 初乳はいつまで飲ませたほうがいい?

 

「初乳はどのくらいの期間続くの?」「いつまで意識して飲ませたほうがいいの?」というご質問はとても多く寄せられます。初乳が出る期間の目安と、その後どのように母乳が変化していくのかをご紹介します。

 

1)初乳が出る期間の目安

初乳は、一般的に産後3〜5日間ほど続きます2)。ただし個人差があり、2日程度で移行する方もいれば、1週間近く初乳に近い状態が続く方もいます。
産後4日目前後から「乳房が急に張ってきた」「お乳の量が増えた」と感じる方が多く、これが移行乳への変化のサインです。その後、産後2週間頃を目安に成乳へと移行していきます。色が少しずつ白くなり、粘度も下がっていくのが目に見えてわかるようになります。

 

2)なぜ積極的に飲ませたほうがいいのか

初乳の期間中は、量が少なくても頻繁に赤ちゃんに吸ってもらうことが大切です。吸ってもらうことで乳腺への刺激が増え、その後の母乳分泌量が安定しやすくなります。また、赤ちゃんが初乳を飲むほど、免疫成分を多く取り込むことができます。

「量を増やそう」と焦るよりも、赤ちゃんが欲しがるタイミングに合わせてこまめに飲ませることの方が良いのです。新生児は胃が小さいため、1〜2時間おきに飲みたがることも多く、これは自然なこと。授乳のたびにわずかでも飲んでいれば、初乳の栄養はしっかり届いています。

 

 

4.初乳が出ない・少ないときは何がいい?

 

「うちはあまり初乳が出ていない気がする…」と不安になるママも少なくありません。しかし出る量には個人差があり、少量だからといって母乳育児がうまくいかないと決まるわけではありません。不安なときの考え方と、できる工夫をご紹介します。

 

1)量が少なくてもあせらなくて大丈夫な理由

生まれたばかりの赤ちゃんの胃の大きさは、ビー玉ほど(約5〜7ml)しかありません。産後1〜2日目はこれくらいの量があれば十分に満たされるため、初乳が少量しか出ていなくても、赤ちゃんにとっては必要な量が確保されていることがほとんどです。

「全然出ていない」と感じても、乳頭を触ると少量にじんでいたり、赤ちゃんあごをしっかり動かして吸い付いていれば、初乳が届いているサインです。体重の変化や授乳後の赤ちゃんの様子(満足そうにしているか、おしっこが出ているかなど)を観察することも、足りているかどうかの目安を知ることができます。

 

2)分泌を助けるためにできる工夫

初乳・母乳の分泌を助けるために、まず大切なのは頻繁に赤ちゃんに吸ってもらうことです。吸ってもらう刺激が乳腺に伝わることで、ホルモンが分泌され、母乳が作られます。

 

正しい抱き方・くわえさせ方(ラッチオン)を意識する

浅くくわえさせると乳首が痛くなり、授乳自体が辛くなることがあります。3)。助産師に確認してもらうのが一番の近道です。産後の入院中に、頻繁に質問して、自宅に帰るまで習得するしていきましょう。

 

水分・栄養をしっかり補給する

授乳中は水分が失われやすいため、こまめに水分を摂ることも母乳分泌の助けになります。産後のどが渇きやすいなというのは決して気のせいではありません。しかし、産後の足のむくみや、排尿痛が気になり、水分を控えることもいます。必ず1日2リットル以上の水分を摂ることを意識しましょう。

 

できるだけリラックスできる環境を整える

緊張や疲労はホルモン分泌を妨げることがあります。それでも不安が続く場合や、赤ちゃんの体重が増えないといった気になることがあれば、一人で抱え込まずに早めに助産師や産院に相談してください。専門家のサポートで解決できることはたくさんあります。

 

 

まとめ:初乳は、赤ちゃんが生まれて初めて出会う”特別な栄養”

妊娠中期から準備が始まる初乳は、出産後わずか数日間しか出ないお乳ですが、免疫グロブリン・ラクトフェリン・白血球などが豊富に含まれ、赤ちゃんの免疫力を育み、消化器官にも優しい特別な組成を持っています。

量が少なくても心配しすぎる必要はなく、赤ちゃんが欲しがるタイミングに合わせてこまめに飲ませることが、その後の母乳分泌にもつながります。「いつから」「いつまで」「何がいいのか」に不安を感じたときは、ひとりで抱え込まず、ぜひ助産師や産院に気軽に相談してみてくださいね。

 

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参考文献・参考サイト
1)WHO「Breastfeeding」
2)看護roo!:母乳
3)慶應義塾大学病院:母乳栄養

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。