妊娠中の恥骨痛はいつから?原因と激痛・歩けないときの対処法を解説【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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妊娠中の恥骨痛はいつから?原因と激痛・歩けないときの対処法を解説【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

妊娠中の恥骨痛はいつから?原因と激痛・歩けないときの対処法を解説【医師監修】

 

お腹が大きくなるにつれて「恥骨のあたりが痛い」「歩くと股関節がズキッとする」といった症状を感じるママは少なくありません。中には痛みが強く歩けないほどつらくなる方もおり、不安になる方もいらっしゃいます。

この記事では、妊娠中の恥骨痛について、いつから起こりやすいのか・なぜ痛みが出るのか・自宅でできる和らげる方法までわかりやすく解説します。

 

 

1. 妊娠中の恥骨痛とは?どこがどんな痛みになるの?

 

「恥骨痛」と聞いても、具体的にどこが痛むのかイメージしづらい方も多いのではないでしょうか。実は妊娠中の恥骨痛は、痛む場所や痛み方に特徴があり、他の症状と見分けるヒントにもなります。まずは恥骨の場所と、どのような痛みが起こりやすいのかを確認していきましょう。

 

1) 恥骨はどこにある?痛みが出やすい場所

恥骨は、骨盤の前方中央・下腹部のいちばん下あたりに位置する骨です。左右の恥骨が中央でつながっている部分を「恥骨結合」といい、妊娠中に痛みが出やすい場所はまさにここです。

痛みは恥骨そのものにとどまらず、股関節の付け根・太ももの内側・腰周辺にまで広がるケースもあります。「足の付け根が痛い」「立ち上がるときに腰が抜けそう」という感覚も、恥骨痛によるものである場合があります。

 

2) どんな痛み?よくある症状の特徴

恥骨痛の感じ方には個人差がありますが、特に次のような動作のときに痛みが出やすい傾向があります1)。

・歩き始めの最初の一歩でズキッとした痛みが走る
・寝返りをうつときや、布団から起き上がる際に痛む
・階段の上り下りで痛みが増す
・足を開く動作(車の乗り降り・ズボンの着脱など)で痛みが出る

痛みのタイプも、「鈍い痛みがじんわり続く」タイプと「動いた瞬間に走る鋭い痛み」タイプに大きく分かれます。どちらのタイプであっても、無理な動作を続けることで悪化する場合があるため、痛みのサインを見逃さないようにすることが大切です。

 

 

2. 妊娠中の恥骨痛はいつから起こる?時期ごとの特徴

 

恥骨の痛みは、妊娠のどの時期にも起こる可能性がありますが、時期によって原因や痛みの出方に違いがあります。初期・中期・後期に分けて、それぞれ起こりやすい特徴を見ていきましょう。

 

1)妊娠初期に感じる違和感

まだお腹がほとんど大きくなっていない妊娠初期でも、リラキシンというホルモンの分泌が始まることで、骨盤周辺の靭帯や関節が少しずつゆるみ始めます。この段階では激しい痛みは少なく、「なんとなく骨盤のあたりが張る気がする」「違和感がある」程度に感じる方が多いです。
痛みがひどくない場合は、無理な動作を避けながら様子を見て問題ありません。

 

2)妊娠中期以降に増える痛み

妊娠5〜7ヶ月ごろになるとお腹が目立って大きくなり、体重も増加します。骨盤にかかる負担が増すことで、恥骨付近の痛みを感じ始める方が多くなるのがこの時期です。
日常生活での活動量や姿勢によって痛みの出方に差が出やすく、「座りっぱなしのあとに立ち上がると痛む」「長時間歩いた後が特につらい」という声がよく聞かれます。

 

3)妊娠後期に強くなりやすい理由

妊娠後期(8〜10ヶ月ごろ)は、出産に向けて骨盤周辺がさらにゆるんでいく時期です。赤ちゃんが骨盤内に下降してくることで、恥骨結合への直接的な圧迫も増え、それまで我慢できていた痛みが急に強くなったと感じる方もいます。
「歩くたびに痛い」「夜中に寝返りができない」という状態になる方もおり、後期に恥骨痛がピークを迎えるケースは少なくありません。

 

 

3. なぜ恥骨が痛くなるの?痛みの原因

 

「なぜこんなに痛むの?」と疑問に思う方も多い恥骨痛ですが、実は妊娠中の体に起こる自然な変化が深く関係しています。体の仕組みとあわせて、その原因をわかりやすく説明します。

 

1)ホルモンによる骨盤のゆるみ

妊娠中は、リラキシンやプロゲステロンといったホルモンの分泌が増加します。これらのホルモンは、出産時に赤ちゃんが産道を通りやすくなるよう、骨盤の関節や靭帯をやわらかく・ゆるやかにする作用を持っています2)。

しかし、骨盤がゆるむということは、恥骨を含む骨盤全体の安定性が低下するということでもあります。通常は筋肉や靭帯でしっかり支えられている恥骨結合が不安定になることで、体重をかけるたびに摩擦や負荷が生じ、炎症に似た痛みが起こりやすくなります。

 

2)体重増加や姿勢の変化による負担

妊娠が進んでお腹が大きくなると、体の重心が前方に移動し、バランスを保つために姿勢や歩き方が変化します。その結果、骨盤にかかる負担が増え、骨盤の前方にある恥骨結合部にも圧力がかかりやすくなってしまうのです。

特に、反り腰になったり、片足に体重をかけるクセがあったりすると、骨盤周辺に負担が偏り、恥骨の痛みにつながることがあります。また、歩幅を大きくして歩く、階段の上り下りを繰り返すなどの動作も、痛みを強める要因となります。痛みがあるときは無理をせず、動作をゆっくり行い、左右均等に体重をかけることを意識しましょう。

 

 

 

4.激痛で歩けないときはどうする?骨折との違い

 

中には「痛くて歩けない」「立ち上がるのもつらい」というほど強い痛みを感じる方もいます。あまりの激痛に「骨が折れているのでは?」と不安になる方もいますが、まずは正しい知識を持つことが安心につながります。

 

1)激痛・歩けないほどの痛みが出る理由

骨盤のゆるみが特に大きい場合や、体重増加・姿勢の負担が集中している場合、恥骨結合部に炎症のような状態が起こることがあります。これを「恥骨結合離開(ちこつけつごうりかい)」と呼ぶこともあり、左右の恥骨をつなぐ部分が通常よりも大きく広がった状態です。

歩行時に「ガクガクする感覚」や「足に体重がかけられない」という強い症状が出た場合は、この状態が疑われます。安静が必要なケースもあるため、激しい痛みや歩けないほどの症状が出たときは、我慢せずに産院や助産師に相談することを優先してください。

 

2)骨折とは違うの?見分けるポイント

「骨が折れているのでは?」という心配は理解できますが、妊娠中の恥骨痛のほとんどはホルモンや体重による影響であり、骨折とは異なるものです。骨折の場合は、転倒や強い衝撃などのはっきりとしたきっかけがあることがほとんどで、安静にしていても激しく痛み続けるのが特徴です。

ただし、痛みが急激に悪化した・転倒したあとから痛みが出た・安静にしても痛みが引かないといった場合は、自己判断せず速やかに産院や医師に相談してください。X線による診断が必要なケースもあります(妊娠中は医師の判断のもと行われます)。

 

 

5.  恥骨痛を和らげる方法・おすすめストレッチ

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恥骨痛を完全になくすことが難しい場合もありますが、日常生活の工夫やストレッチによって痛みをやわらげられることがあります。ここでは、自宅で取り入れやすいセルフケアの方法を紹介します。

 

1)日常生活でできる工夫

恥骨への負担を減らすために、日常動作のちょっとしたポイントを意識してみましょう。

・車の乗り降りは、両足をそろえてシートに座り、体ごと回転させるようにする(足を開いたまま乗り込まない)
・階段はなるべく手すりを使い、一段ずつゆっくり昇降する
・立ちっぱなしや座りっぱなしを避け、定期的に体勢を変える
・片足重心で立たない・大股歩きを避けるなど、骨盤が左右にぶれないよう意識する
・寝るときはシムス位(横向きで上の膝を曲げて前に出す姿勢)や、膝の間にクッションを挟む方法が楽な場合がある

 

2)痛みを和らげるストレッチの取り入れ方

骨盤まわりの筋肉の緊張をほぐすことで、恥骨への負担を軽減できる場合があります。妊娠中に行いやすいストレッチとして、以下のような方法があります。痛みが強いときや、ストレッチ中に症状が悪化する場合は無理せず中止してください。

骨盤底筋・内ももの軽いストレッチ

あぐらに近い座り方で両足の裏を合わせ、ゆっくり深呼吸しながら内ももをやさしく伸ばします。痛みが出る場合はすぐに中止してください。

 

四つん這いでの骨盤ゆらし

手と膝をついた四つん這いの姿勢で、骨盤をゆっくり前後左右に動かします。腰への負担を軽減しながら骨盤まわりをほぐす効果が期待できます。

 

3)骨盤ベルトのサポートについて

骨盤ベルトは、骨盤を外側からしっかり支えることで安定感を高め、歩行時や日常動作での恥骨への負担を軽減する効果が期待できます。正しい位置(恥骨よりやや上・坐骨のあたり)に装着することが重要で、きつく締めすぎると血行に影響することがあるため、適切な強さに調整しましょう。

産院によっては骨盤ベルトの装着指導を行っているところもあります。「自分に合った使い方がわからない」という場合は、助産師に確認してもらうことをおすすめします。

 

 

まとめ:妊娠中の恥骨痛は多くの妊婦さんに起こりうる自然な体の変化

妊娠中の恥骨痛は、ホルモンの影響による骨盤のゆるみや体重増加による負担が主な原因であり、初期から後期にかけて時期ごとに感じ方が変化していきます。歩けないほどの激痛は辛いですが、多くの場合は骨折ではなく、ホルモンや骨盤への負荷によるものです。

ただし、痛みが急激に悪化した場合や、歩行が極端に困難な場合には自己判断せず、早めに産院へ相談することが大切です。日常生活の工夫・骨盤ベルトの活用・無理のないストレッチを取り入れながら、つらいときは一人で我慢せず、医師や助産師に相談してください。

 

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参考文献・参考サイト
1)AR-Ex Medical Group :恥骨結合炎
2)公益社団法人 日本理学療法士協会:産前産後のからだ

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。