くしゃみや咳で漏れる…妊娠中の尿漏れが気になるママへ|時期・原因・対策まとめ【医師監修】
- 2026年6月20日
- 更新日: 2026年6月8日
- 医療コラム

「くしゃみをしたとき、少し漏れてしまった…」「気づいたら下着が濡れていた」そんな経験をしたことはありませんか?妊娠中の尿漏れは、実は多くのママが経験している自然な身体の変化のひとつです。恥ずかしくて誰にも言えずにいる方も多いですが、ひとりで抱え込む必要はありません。
この記事では、尿漏れが起こる時期や原因、破水・おりものとの見分け方、今日からできる対策まで詳しく解説します。
1. 妊娠中の尿漏れはいつから起こる?時期と原因について

「妊娠中の尿漏れはお腹が大きくなってから」と思っている方も多いかもしれません。でも実際には、もっと早い段階から始まることがあります。いつから尿漏れが起きるのか、その背景にある理由を知っておくと、いざというときに慌てずに済みます。
1) 妊娠初期でも起こる!ホルモン変化が引き金に
「まだ妊娠初期なのに、どうして?」と驚く方もいますが、尿漏れは妊娠初期から起こることがあります。
妊娠するとリラキシンと呼ばれるホルモンが分泌され、骨盤周囲の靭帯や筋肉を緩める作用が生じます。これは出産に向けて骨盤を広げるための自然な変化ですが、同時に尿道を支える骨盤底筋も緩みやすくなるため、尿を保持する力が弱まることがあるのです。
また、妊娠初期から子宮が少しずつ大きくなり始め、膀胱が圧迫されることで頻尿になったり、わずかな刺激でも尿が漏れやすくなったりします。
2) お腹が大きくなるほど悪化しやすい、その理由とは
妊娠中期〜後期にかけて子宮がさらに大きくなると、膀胱への圧迫が増し、尿漏れの症状が強くなる傾向があります。くしゃみや咳、笑ったとき、急に立ち上がったときなど、お腹に力が入る瞬間に尿が漏れやすくなるのは、この腹圧の影響によるものです1)。
また、2人目以降の妊娠では、前回の出産で骨盤底筋がすでに弱まっている場合があり、初産の方よりも早い時期から、あるいはより強い症状が出やすい傾向にあります。「2人目なのに初期からひどい」と感じる場合も、珍しいことではありません。
2. これって尿漏れ?破水?おりもの?見分け方を知っておこう

妊娠中に下着が濡れていると気づいたとき、「これは尿漏れ?それとも破水?おりもの?」と不安になる方は多いです。見分けにくい場合もありますが、色・におい・量・タイミングをチェックすることである程度の判断が可能です。次の表を参考にしてみてください。
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尿漏れ |
破水 |
おりもの |
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色・見た目 |
ほぼ無色〜薄黄色 |
無色透明〜薄ピンク色 |
白〜クリーム色、透明 |
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におい |
アンモニア臭(尿臭) |
ほぼ無臭〜甘い香り |
やや酸味のある独特の臭い |
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量・タイミング |
くしゃみ・咳・笑いなど腹圧がかかった瞬間に少量 |
一度に多量、または少量でも止まらない |
少量〜中程度。じわっと続く |
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対処法 |
尿漏れ用パッドで対応 |
すぐに産婦人科へ連絡・受診 |
おりものシートで対応。異常があれば受診 |
特に注意が必要なのは破水です。破水は無色透明〜薄ピンク色で、アンモニア臭がなく、自分では止めることができません。少量でも「じわじわと続く」「横になっても止まらない」という場合は、破水の可能性があります。
破水を放置すると感染リスクが高まり、赤ちゃんや母体に影響を及ぼすことがあります。「尿漏れかな?」と思っても判断に迷ったら、自己判断せず必ず産婦人科に連絡してください。
3. 妊娠中の尿漏れ、日常生活でできる対策

尿漏れは、日常生活のちょっとした工夫とトレーニングで、症状を和らげることが十分期待できます。今日からできることを始めてみましょう。
1) 今日から始めよう!骨盤底筋トレーニング(キーゲル体操)のやり方
骨盤底筋トレーニング(キーゲル体操)は、尿漏れの改善・予防に最も効果的とされる方法です2)。妊娠中でも安全に行えるため、多くの産婦人科でも推奨されています。
やり方はシンプルで、「おしっこを途中で止めるときに使う筋肉」を意識して締めるだけです。
具体的には、膣・尿道・肛門をすべて内側に引き上げるように力を入れ、3〜5秒キープしたら力を抜きます。これを10回1セットとして、1日3セットを目安に行いましょう。
慣れてきたら、秒数を少しずつ延ばしていくと効果的です。座ったままでも、横になりながらでも行えるため、テレビを見るときや就寝前のルーティンに組み込むのがおすすめ。継続することが何より大切です。
2) 水分・便秘・姿勢…実は尿漏れに影響する生活習慣
「水分を控えれば尿漏れが減るのでは?」と思いがちですが、これは逆効果です。水分が不足すると尿が濃くなり、膀胱が刺激されやすくなるうえ、膀胱炎のリスクも高まります。1日1.5〜2リットルを目安に、こまめに水分を摂ることが大切です。
また、妊娠中は便秘になりやすいですが、便秘は骨盤底筋への負担を増やす原因のひとつです。いきむときに骨盤底に大きな圧力がかかるため、食物繊維や水分をしっかり摂って便秘を防ぐことが尿漏れ対策にもつながります。
姿勢も影響します。猫背になると腹圧が骨盤底にかかりやすくなるため、背筋をまっすぐ伸ばした姿勢を意識してみてください。また、重いものを持ったり急に立ち上がったりする際は、腹圧をかけないよう少し意識するだけでも違います。
3) パッド・おりものシート・おむつ、どれを選べばいい?
尿漏れ対策のグッズ選びも大切なポイントです。それぞれの特徴を理解して、症状に合ったものを選びましょう。
尿漏れ用パッド
尿の吸収を前提に設計されており、においを閉じ込める機能も備えています。軽度〜中程度の尿漏れに適しています。
おりものシート
吸収量が少なく、尿漏れには対応が難しい場合があります。おりものや本当にごく少量の漏れには使えますが、尿漏れが気になる場合はパッドの使用をおすすめします。
軽失禁用おむつ(パンツタイプ)
量が多め・動き回ることが多い場合などに向いています。外出先での安心感が大きい選択肢です。
生理用ナプキン
経血用に作られているため、尿の吸収力や消臭機能が尿漏れには不十分です。尿漏れには専用のパッドを使うと、より快適に過ごすことができます。
4. こんな場合は受診を!放置しないほうがいいサインとは

妊娠中の尿漏れのほとんどは、妊娠による自然な変化によるものです。しかし、次のようなサインがある場合は、別の原因が隠れている可能性があるため、早めに産婦人科を受診することをおすすめします。
・尿漏れがひどく、日常生活に大きな支障が出ている
・排尿時に痛みや灼熱感がある(膀胱炎の可能性)
・尿が出にくい・残尿感が強い
・漏れる液体が無色透明で、アンモニア臭がなく、止まらない(破水の疑い)
・においや色が普段と明らかに違う
・発熱・腰痛・下腹部の痛みを伴う
これらは、膀胱炎・腎盂腎炎・骨盤臓器脱・破水などが関係している可能性があります3)。「恥ずかしいから」「大げさかな」と思わずに、気になることがあれば気軽にクリニックへ相談してください。正確な診断を受けることが、ママと赤ちゃん両方の安心につながります。
5. 産後も続く?尿漏れと産後ケアについて

「出産したら尿漏れは治る」と思っていたのに、産後も続いている…というケースは少なくありません。出産によって骨盤底筋はさらに伸び、回復には時間がかかります。また、2人目・3人目の出産を経るごとに骨盤底筋の回復力は低下しやすく、産後の症状が以前よりひどくなると感じる方もいます。
産後は、育児の忙しさから自分のケアが後回しになりがちですが、骨盤底筋トレーニングは産後早期(医師が許可した時点)からできるものです。産後6〜8週以降を目安に、無理のない範囲でキーゲル体操を続けましょう。症状が強い場合や長引く場合は、産後の骨盤底リハビリを行う専門の理学療法士や助産師に相談するのもおすすめです。
まとめ:尿漏れと上手に付き合いながら妊娠生活を楽しもう
妊娠中の尿漏れは、ホルモン変化や子宮の成長によって多くのママが経験する自然な変化です。初期から始まることもあり、特に2人目以降の妊娠では出やすい傾向があります。まずは「自分だけじゃない」と知ることが大切な第一歩です。
骨盤底筋トレーニングや生活習慣の見直し、適切なパッドの活用で、症状を和らげながら快適に過ごすことができます。破水との見分け方も覚えておくと、いざというときに冷静に対処できるでしょう。それでも気になること、「なんかいつもと違う」と感じることがあれば、ひとりで抱え込まずにクリニックへ相談してください。妊娠中の小さな不安も、専門家に聞けば安心に変わりますよ。
安心・安全に出産を迎えるために、個別栄養相談、助産師外来、母親学級、マタニティビクスなど多種多様なメニューを設けております。

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参考文献・参考サイト
1) 日本産婦人科医会:女性の健康Q&A「尿失禁について教えてください」
2) 看護roo!:尿失禁、恥骨痛・腰痛
3) MSDマニュアル:妊娠中の尿路感染症
この記事の監修
牛丸敬祥 医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

経歴
- 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
- 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
- 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
- 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
- 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
- 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
- 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。
