胎動カウントはいつから始める?正しい方法は、判断のポイント【医師監修】
- 2025年9月27日
- 更新日: 2025年9月15日
- 医療コラム
妊娠中期を過ぎると感じ始める「胎動」。お腹の赤ちゃんを身近に感じられ、幸せな気持ちで満たされるという妊婦さんも多いと思います。胎動がはっきりと感じられるようになったら、取り入れたいのが「胎動カウント」です。健康のバロメーターである胎動を測定することで、赤ちゃんの健康状態をチェックすることができます。
この記事では胎動カウントに対する妊婦さんの疑問にお答えし、正しい測定方法について解説しています。ぜひ参考にし、日課として取り入れてみてください。
1. 胎動カウントとは?
胎動カウントは胎動を数えることで、赤ちゃんが元気かどうかをチェックする方法です。続けることで普段の赤ちゃんの様子が分かり、もし赤ちゃんに異変があったときに「いつもと違う」に気づくことができます。赤ちゃんの健康を守るために、34週頃からぜひ取り入れていきましょう1)。
胎動カウントの詳しいやり方は「4.胎動カウントの正しい方法と時間の目安」で解説します。
2. なぜ「胎動カウント」をやった方がいいの?
赤ちゃんの様子をしっかりと知ることができる妊婦健診以外で、赤ちゃんの健康チェックができるのが胎動カウントです。赤ちゃんの異常の早期発見にもつながるため、妊娠後期になったらぜひ取り入れていきましょう。
赤ちゃんの健康を守るだけでなく、胎動カウントはママと赤ちゃんと向き合う大切な時間でもあります。目には見えない赤ちゃんがどのようなリズムで活動しているのか、おなかの中での過ごし方を知ることができますよ。
胎動を感じられる期間は限られています。おなかの赤ちゃんとコミュニケーションをとる気持ちで、かけがえのない時間を赤ちゃんと一緒に楽しみましょう。
3. 胎動カウントはいつからはじめる?
胎動カウントは妊娠34週頃を目安にはじめましょう。この時期になると赤ちゃんの動きがしっかりと感じられるようになるからです。産院から開始時期を指示されることもあります。「何週から始めよう?」と迷ったら、産院に確認してみましょう。
4.胎動カウントの正しい方法と時間の目安
1)準備とおすすめの「体勢」
準備するものはタイマーなどの時間が測れるものです。スマホのタイマー機能や、胎動を測るアプリを使うのもおすすめです。胎動を感じやすいのは体の左側を下にして寝た状態です。しかし胎動カウントには10分以上の時間がかかるため、ソファに座ったりベッドに横になるなどママがリラックスできて楽だと思う体勢をとりましょう。
2)計測のステップ(10カウント法)
ママがリラックスできる体勢をとったら計測を開始しましょう。赤ちゃんが「ポコッ」とおなかを蹴ったり、「グニー」と赤ちゃんが回転する動きをそれぞれ1回とカウントし、が10回動くまでの時間を測ります。
測定する時間は毎日同じ時間に固定するのがおすすめです。1日1回のペースでカウントしましょう。
3)時間の見方と判断のポイント
胎動カウントにかかる時間はおおよそ10~30分程度です。個人差があるため10分以内に終わる人もいれば40分かかるという人もいますが、大切なのはかかった時間よりも「いつもと同じかどうか」というのも大切なポイントです。
胎動カウントを毎日続けると赤ちゃんの普段の様子と活動リズムを知ることができるため、異常の早期発見につながります。
もし測定に30分以上かかってしまったら、赤ちゃんが寝ている可能性があるため少し時間をずらして測定しましょう。測定をし直しても胎動カウントに1時間以上かかる、胎動が少ない、胎動が感じられないというときは、赤ちゃんが元気がない状態かもしれません。「いつもと違う」「おかしい」と感じたら、すぐに病院に連絡しましょう2)。
5. これってどうなの?胎動カウントQ&A
1)「しゃっくり」は胎動にカウントする?
「しゃっくり」は横隔の収縮です。赤ちゃんが動くことで感じる「胎動」とは異なるため、カウントはしません。
胎動としゃっくりの違いは動きの大きさと規則性です。しゃっくりは「ピクッ」とした小さな動きが規則的に起こります。おなかに小さな感覚が一定期間続いたら、赤ちゃんがしゃっくりしていると思ってよいでしょう。一方、胎動は赤ちゃんの手足を動かしたときに感じるものなので、その動きには規則性がありません。
分かりにくいときは小さな動きはカウントせずに、おなかにはっきりと感じる大きな感覚だけをカウントしましょう。胎動としゃっくりの違いについてもっと知りたいと思ったら、こちらの記事を参考にしてください。
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2)胎動カウントは「1日何回」やればいい?
胎動カウントは基本的に1日1回です。胎動を感じやすい食後や寝る前に合わせておこないましょう。毎日同じ時間に固定しておこなうと赤ちゃんのリズムをつかみやすいため、続けやすい時間を選ぶのがポイントです。
3)短い時間に何度も激しく動いた場合はどう数える?
赤ちゃんが激しく動くと、どうカウントしてよいか迷うことがあると思います。目安としては赤ちゃんが動きが止まったタイミングを1回とカウントしましょう。その後また動き始めたら、その動きは2回目にカウントします。連続して動いているときは、動きが一旦おさまった時点で「1回」とカウントしましょう。
胎動の感じ方やカウント方法には個人差があるため、「1回のカウントはこれ」といったしっかりした基準はありません。迷ったときは「明らかに動いた」と感じる動きを1回とカウントするのがよいですよ。
まとめ:胎動カウントから赤ちゃんの状態を知ろう
妊娠中は「赤ちゃん元気かな?」と目には見えない赤ちゃんの成長に不安を持っているママも多いでしょう。胎動カウントは自分で赤ちゃんの健康がチェックできる方法です。赤ちゃんの異常の早期発見をするためにも、毎日の赤ちゃんの様子を知っておきましょう。
そんな重要な意味をもつ胎動カウントですが、ママには楽しんでおこなってもらえたらと思います。胎動はおなかの中の赤ちゃんとのコミュニケーションの一つ。日々の生活のなかで「動いた!」と感じるだけでなく、ゆっくり時間をとって赤ちゃんと向き合うことで、胎動を感じられる限られた時間を楽しみましょう。
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参考文献・参考サイト
1)産婦人科診療ガイドライン―産科編2014
2)三重県立総合医療センター
この記事の監修
牛丸敬祥 医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長
経歴
- 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
- 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
- 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
- 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
- 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
- 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
- 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。