「GBS陽性」といわれたら?妊婦健診で行われる「GBS」の検査とは?【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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「GBS陽性」といわれたら?妊婦健診で行われる「GBS」の検査とは?【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

「GBS陽性」といわれたら?妊婦健診で行われる「GBS」の検査とは?【医師監修】

 

妊婦健診でよく耳にする「GBS」という言葉。具体的に何のことかわからないという人もいるでしょう。

今回は妊婦健診で行う「GBS」の検査やその結果が陽性だった場合やリスク、治療法などについてお伝えします。

 

1.GBSとは?

GBSとはB群溶血性レンサ球菌(Group B streptococci; GBS)のことです。

特に珍しい細菌ではなく、10~15%の人が皮膚や膣、腸内に保菌している常在菌になります。妊婦さんも同等の割合で保菌しているといえ、たとえGBSを保菌しているとしても、ほとんどのママに症状はありません。

 

2.GBSの検査とは?

 

日本では以下の条件ですべての妊婦さんを対象にGBSスクリーニング検査が行われます1)

 

・妊娠35~37週にGBS培養検査を行う(腟ぬぐい液などの培養検査)
・検体は膣入口部ならびに肛門内から採取する

 

検査は妊婦健診時などに内診台などで行います。ほとんどの場合、短時間で終了し痛みを感じることもありません。

 

3.GBS陽性のリスク、割合とは

 

1)GBS陽性のリスクとその割合とは

ママの産道にGBSが存在すると、赤ちゃんに伝播する確率は約40%です。そのうち、赤ちゃんがGBS感染症を発症する確率は250から800分の1といわれています。

これは、GBS陽性のママから出生した赤ちゃんの600~2000分の1の確率で、全出生の5000~20000分の1とも報告されていることから、赤ちゃんがGBS感染症になるのは大変稀ともいえます。

 

2)新生児GBS感染症の症状

前述するように、赤ちゃんがGBS感染症を発症するのは大変稀ではありますが、もし発症してしまえば急速に重篤化し、死亡や後遺症に至ることも少なくありません2)

 

早発型:生後1週未満に発症
早発型の症状:敗血症、髄膜炎、肺炎、呼吸不全など

 

遅発型:生後1週~数か月までに発症
遅発型の症状:髄膜炎、敗血症のほか、中耳炎、関節炎、骨髄炎、結膜炎、副鼻腔炎、蜂窩織炎(ほうかしきえん)など

 

4.GBS感染発症の予防・治療法

 

1)早発型

新生児GBS感染症のなかでも早発型は主に出産時の産道感染で起こります。

そのため、早発型新生児GBS感染症予防としては、GBS陽性だった妊婦に分娩の4時間以上前から抗菌薬投与を開始し、抗菌薬の血中濃度を維持することが有効とされています。

また、GBS陽性だった人だけではなく、以前お子さんがGBS感染症であった場合、または38度以上の発熱がある場合などの人を対象に予防対策をとることを推奨しています3)

現在この予防法により、早発型新生児GBS感染症となる確率をより少なくなくすることができています。

 

2)遅発型

遅発型に関してははっきりとした感染経路はわかっていません。

しかし、ママの腟や腸にいるGBSが手指を介して感染するなどが考えられます。

赤ちゃんのお世話をする際は手指の消毒や、乳首、哺乳びんなどの清潔を保つことが大切といえるでしょう。

 

まとめ:妊婦健診をしっかり受けよう

妊娠中はさまざまなリスクと隣り合わせです。また、体調の変化も日に日に変化し赤ちゃんも毎日成長します。妊婦健診を受けることは、妊婦さん自身が気づくことができない症状やリスクを早期発見することにもつながります。

また妊婦健診だけではなく、不調や心配なことがあれば遠慮なくかかりつけの医師に相談してください。赤ちゃんとママが健やかな妊娠生活をおくり無事出産を迎えられるためにも、毎回の妊婦健診はしっかり受診し、わからないことがあれば必ず相談してくださいね。

 

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出典
1) 日本産科婦人科学会 日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン 産科編2020」
2)金原出版:産婦人科感染症マニュアル
3)日本産婦人科医会 「妊娠中のGBS検査について」

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。