妊娠後期の妊婦健診:頻度や内容、服装のポイントを詳しく解説【医師監修】
- 2026年6月8日
- 更新日: 2026年6月8日
- 医療コラム

妊娠後期に入ると、お腹がぐんと大きくなり、出産が現実的に近づいてきます。同時に、健診の頻度が増えることに驚くママも多いのではないでしょうか。この時期の健診は、赤ちゃんとママの両方の健康を守り、安全なお産につなげるために欠かせません。
本記事では、妊娠後期の健診がなぜ重要なのか、どのような検査が行われるのか、そして健診当日の準備までを、わかりやすく解説します。
1. 妊娠後期の妊婦健診とは?目的について

妊娠後期とは、妊娠28週以降の時期を指します。赤ちゃんの成長が一段と著しくなり、体の機能も整いはじめ、いよいよ出産に向けた準備が本格化する大切な時期です。
初期の健診では赤ちゃんの心拍確認や妊娠の経過確認が中心、中期では胎児の発育や形態の確認が大きなテーマでしたが、後期はそれらに加えて「安全なお産を迎えるための最終チェック」という意味合いが強くなります。
後期健診の最大のテーマは、ママと赤ちゃんの両方を守り、安心してお産につなげること。これが初期・中期との大きな違いといえるでしょう。
2. 妊娠中期の妊婦健診の頻度はどれくらい?

妊娠初期から中期にかけては、一般的に4週間に1回、24週からは2週間に1回のペースで通院していた方が多いはずです。しかし、妊娠後期である28週に入ると、これまでの健診頻度から大きくペースアップすることになります。出産というゴールが目前に迫るにつれて、ママと赤ちゃんの状態が日々変化しやすくなるためです。
具体的には、妊娠28週から35週までの期間は「2週間に1回」のペースで受診することが推奨されています。さらに、臨月と呼ばれる妊娠36週以降に入ると、いよいよ「毎週1回」の通院へと変わっていきます。なぜ後期になるほど健診が頻繁になるのか疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。その理由は、出産が近づくにつれて、母体や胎児に予期せぬ変化が起こるリスクが高まり、より厳密な管理が求められるからにほかなりません。
一般的な妊婦健診のスケジュール1)
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妊娠期間 |
妊娠週数の目安 |
妊婦検診の頻度 |
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妊娠初期・中期 |
妊娠23週まで |
4週間に1回 |
|
妊娠後期 |
妊娠24週~35週 |
2週間に1回 |
|
臨月以降 |
妊娠36週以降 |
毎週1回 |
このように、中期までのゆったりとしたスケジュールとは異なり、後期は頻繁にクリニックへ足を運ぶことになります。初期や中期のコラムでもお伝えした通り、健診はママと赤ちゃんの命を守る大切な機会です。お腹が大きくなっての外出は大変に感じる日もあるかもしれませんが、無理のない範囲でスケジュールを調整し、欠かさず受診するように心がけましょう。
3. 妊娠後期の健診でおこなわれる主な検査・観察項目

妊娠後期の健診では、毎回ほぼ共通して確認する項目に加え、週数に応じて追加される検査があります。赤ちゃんの成長やお産の準備状況をみるだけでなく、ママの体に起こりやすい変化を早めに見つけることも重要です。ここでは、妊娠後期の健診内容を項目ごとにわかりやすくみていきましょう。
1) 毎回おこなわれる基本的な検査
毎回の妊婦健診では、基本的な検査として体重測定、血圧測定、尿検査、むくみの確認、腹囲や子宮底長の計測などがおこなわれます。これらは一見シンプルですが、妊娠後期の体調管理にとても重要です。
体重測定では、急な体重増加がないかを確認します。急激な増加は、むくみや妊娠高血圧症候群のサインになる場合があります。血圧測定も同様に、血圧が高くなっていないかを確認するために欠かせません。
尿検査では、尿たんぱくや尿糖の有無をみます。尿たんぱくは高血圧とあわせて妊娠高血圧症候群の判断材料になり、尿糖は血糖の異常を疑うきっかけになることがあります。むくみの確認も、体に余分な水分がたまっていないかをみる大切な観察項目です。
腹囲や子宮底長の計測では、お腹の大きさや子宮の成長が週数に見合っているかを把握します。最近は超音波検査を重視する施設も多いですが、経過を追ってみる目安として役立ちます。
2) 超音波(エコー)検査でわかること
お腹の上からプローブを当てる腹部超音波(エコー)検査は、赤ちゃんに会える楽しみな時間の一つと言えるでしょう。妊娠後期の超音波検査では、赤ちゃんの元気な様子を見るだけでなく、医学的に重要な数多くの情報が確認されています。
まずは、赤ちゃんの頭の大きさ、お腹周り、太ももの骨の長さを測定し、そこから推定体重を割り出します。ママとしては今どれくらいの大きさに育っているのか、非常に気になるところですよね。週数に見合った成長をしているかを判断するうえで、この推定体重は重要な指標となります。
また、赤ちゃんの姿勢や向きも大切なチェック項目です。頭が下にある頭位なのか、お尻や足が下にある逆子(骨盤位)なのかを確認し、今後の分娩方法を検討する材料とします。さらに、赤ちゃんを取り巻く羊水量が適切であるか、胎盤の位置が子宮口を塞いでいないか、へその緒(臍帯)の血流が滞りなく届いているかなども細かく観察していきます。エコー検査は、赤ちゃんが安全に生まれてこられる環境が整っているかを見極める、とても頼もしい手段なのです。
3) 内診はいつから始まる?何を確認するの?
妊娠後期の内診は、妊娠36週前後から始まることが多いですが、実際の時期はクリニックの方針や妊娠経過によって異なります。張りが強い、早産の心配がある、出血があるといった場合には、それより早い時期におこなわれることもあります。
後期の健診における内診で最も重視されるのが、子宮頸管(子宮の出口部分)の長さと柔らかさです。出産が近づくと、赤ちゃんを外へ押し出すために、硬く閉じていた子宮口が徐々に柔らかくなり、長さも短くなっていきます。医師は直接触れたり超音波を使ったりして、この成熟度合いを判断しているわけです。同時に、赤ちゃんの頭が骨盤のどのあたりまで下がってきているかという位置関係も確認します。
内診に対して、痛みや恥ずかしさから不安を感じるママも少なくありません。緊張して力が入ってしまうと、余計に痛みを感じやすくなる傾向があります。検査の際は、できるだけ長く息を吐いて全身の力を抜き、リラックスすることを心がけましょう。ほんの数分で終わる検査ですので、赤ちゃんの出口を確認するための大切なステップだと捉えてみてくださいね。
4) 後期に追加されることのある検査
基本の検査に加えて、妊娠後期特有のリスクを調べるために、いくつかの追加検査が行われる場合があります。代表的なものが「GBS(B群溶連菌)検査」と呼ばれるものです。これは妊娠35週から37週頃に、膣の入り口付近の分泌物を採取し、細菌の有無を調べる検査となります。GBS自体は多くの女性が常在菌として持っているもので、ママ自身に悪影響はありません。しかし、産道を通る際に赤ちゃんに感染すると重い病気を引き起こす可能性があるため、事前に把握しておくことが非常に重要です。もし陽性と判定された場合は、陣痛が始まってから抗生剤の点滴を行い、赤ちゃんへの感染を防ぐ処置をとります。
また、妊娠後期にも改めて血液検査が実施されるのが一般的です。血液の量が増えることで薄まりやすくなり、妊娠中は鉄欠乏性貧血に陥りやすい状態になっています。お産の際に出血を伴うことを考慮し、あらかじめ貧血の程度をチェックしておくというわけです。くわえて、血糖値に異常がないかどうかも併せて確認し、妊娠糖尿病の隠れたリスクを洗い出します。万が一異常が見つかった場合でも、鉄剤の処方や食事指導によって適切に対応できるので、過度に心配する必要はありません。
4. 健診にかかる費用について

妊婦健診には費用がかかりますが、多くの自治体では妊婦健康診査受診票、いわゆる補助券が交付されており、健診費用の自己負担を軽減できる仕組みがあります3)。妊娠後期は健診の頻度が増えるため、補助券を計画的に使うことが大切です。
一般的な妊婦健診では、補助券を使うことで自己負担が少なくなることが多い一方、検査内容によっては追加費用がかかる場合があります。たとえば、血液検査、GBS検査、超音波検査の回数、NST(ノンストレステスト)などが加わると、補助の範囲を超えて自己負担が発生することがあります。
また、自治体によって補助の回数や金額、使用方法が異なる点にも注意が必要です。里帰り出産を予定している場合は、受診先で補助券がそのまま使えるか、後日申請が必要かも確認しておくと安心です。健診費用で慌てないためにも、母子手帳と一緒に補助券の残り枚数を定期的に見直しておくとよいでしょう。
5. 健診当日の服装と準備のポイント

後期の健診では、腹部エコーや内診など、お腹や下半身を確認する検査が増えます。当日は着脱しやすい服装を選ぶことが、スムーズな受診につながります。
例えば、ワンピースならお腹だけをめくってエコーが行えますし、内診の際も全部脱がなくてよいため負担が少なくなります。上下セパレートの場合は、ウエストゴムのゆったりしたスカートやパンツが脱ぎ履きしやすく便利です。ボディースーツやタイトなパンツなど、脱ぐのに手間がかかる服は避けておくと安心です。
後期はお腹の張り、胎動、むくみ、眠りにくさなど、日ごとに気になることが増えやすい時期です。診察室に入ると聞きたいことを忘れてしまう方もいるため、メモがあると相談しやすくなります。
6. こんな症状があったら早めにご相談を

妊婦健診は定期的に状態をチェックする大切な機会ですが、次の予約日まで待たずに受診を検討していただきたいケースもあります。妊娠後期は、突然の体調変化やトラブルが起こりやすい時期でもあるからです。以下のような症状が見られた場合は、我慢せずに速やかに病院やクリニックへご連絡ください4)。
休んでも改善しない強いお腹の張りや痛み
これまでになかった頭痛、目のチカチカ、急激で強い手足のむくみ
赤ちゃんの胎動が極端に少ない、あるいは全く感じられない
鮮血のような出血があった、またはおりものに血が混じっている
尿もれとは違う、水のようなものが生温かく流れ出る感覚(破水感)がある
これらは、切迫早産や妊娠高血圧症候群など、すぐに対応が必要な疾患のサインである可能性が否定できません。「いつもと何かが違う」「なんだかおかしい気がする」というママの直感は、とても鋭く正確なことが多いのです。夜間や休日であっても、気兼ねすることはありません。些細なことだと遠慮せず、ご自身の体と赤ちゃんの命を守るために、早めの相談を心がけてください。その行動が、結果的に安心で安全なお産へとつながっていくのです。
まとめ:妊娠後期の健診は、母子の安全を守り出産に向けた総仕上げを行う大切なステップです
妊娠後期の妊婦健診は、ママと赤ちゃんの両方の健康を守り、安全で快適なお産を実現するために欠かせません。健診の頻度が増えることは、単なる手間ではなく、出産が近づくにつれリスク管理が重要になるからこそです。毎回の健診で行われる検査には、それぞれ明確な目的があり、早期にトラブルを発見・対応することができます。
また、健診日以外でも「いつもと違う」と感じたら、遠慮なく医師に相談してください。定期的で密度の濃い健診と、違和感を感じた際の早期相談が、ママと赤ちゃんの安全を最大限に守る、最良の方法なのです。
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参考文献・参考サイト
1) こども家庭庁:妊婦検診に関する取組
2) 厚生労働省:妊婦健康診査の実施について
3) 厚生労働省:妊婦に対する健康診査についての望ましい基準
4) MSDマニュアル家庭版:妊娠中の体の変化
この記事の監修
牛丸敬祥 医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

経歴
- 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
- 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
- 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
- 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
- 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
- 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
- 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。
