子宮筋腫ってどんな病気? 症状から治療、妊娠・出産への影響について【医師監修】
- 2026年2月21日
- 更新日: 2026年2月21日
- 医療コラム

子宮筋腫は、婦人科疾患のなかでも身近な病気の一つです。この記事では子宮筋腫とはどんな病気なのか、症状と治療について解説していきます。「妊娠・出産に影響はないの?」との疑問も解決していくので、ぜひ参考にしてください。
1. 子宮筋腫とは何か

まずは、子宮筋腫がどのような病気なのか解説していきます。ここでは、子宮筋腫の特徴と種類、そして産後の生活習慣が与える影響について紹介します。
1) 子宮筋腫の基本的な特徴
子宮筋腫とは、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍のことです。腫瘍と聞くと「ガンではないの?」と心配になる人もいると思いますが、子宮筋腫は転移したり命に関わることのない良性の腫瘍なので心配しなくても大丈夫。
そして、子宮筋腫ができる場所には決まりがなく、どのくらいの個数ができるのかも、個人によって異なります1)。
実は、30歳以上の女性の3割ほどに子宮筋腫があるというほど、婦人科系の疾患のなかではめずらしいものではありません。妊娠・出産を考える年代の女性に多く発症する子宮筋腫ですが、閉経後には筋腫が小さくなるという傾向があります。これはこの後に解説する子宮筋腫の原因が関係しています2)。
2) 子宮筋腫の種類
子宮筋腫には、以下の3つの種類があります。
粘膜下筋腫
月経がくると、出血とともにはがれ落ちるのが子宮の一番内側にある子宮内膜です。粘膜下筋腫は、子宮内膜のすぐ下の粘膜層にできる腫瘍です。3つの子宮筋腫のなかでも、特に過多月経や月経痛といった症状が出やすく、不妊や流産のリスクが高いタイプの筋腫だといわれています。
筋層内筋腫
筋層内筋腫は、子宮の筋肉層にできる筋腫で、子宮筋腫のうち7割ほどがこのタイプだといわれています。大きさが小さいうちは症状がなく、子宮筋腫に気づかないという人がほとんどです。
漿膜下筋腫
漿膜下筋腫は、子宮の外側にできる子宮筋腫です。月経痛や過多月経といった子宮筋腫にありがちな症状は出にくい一方で、大きく成長すると周囲の臓器を圧迫してしまい、頻尿や便秘、腰痛といった症状が出るのが特徴です。
3)産後の生活習慣が与える影響
子宮筋腫は、女性ホルモンが影響しているとされています。そのため、妊娠中に分泌量が増える女性ホルモンの影響から、妊娠中は子宮筋腫が成長しやすくなります。そして、産後に一気にホルモンが減少すると、子宮筋腫が小さくなるという特徴があるのです。また、子宮筋腫があることで、産後に過多月経や月経痛が悪化しやすいことも指摘されています。
筋腫のできる位置や大きさによっては、産後に赤ちゃんを抱っこすることや授乳などの姿勢で痛みが出ることがあるため、注意していきましょう。また、睡眠不足による筋肉の緊張や育児による身体的負担が子宮筋腫を悪化させる可能性があります。産後は体を休められるときに休養をとることが、子宮筋腫とうまく付き合うためには大切です。
2. 子宮筋腫の原因とリスク因子

子宮筋腫は、妊娠・出産を考える年齢の女性に多い婦人科疾患です。このことは、子宮筋腫の原因と深く関係しています。ここからは、子宮筋腫の原因とリスク因子について解説していきます。
1) 子宮筋腫の原因
子宮筋腫の原因ははっきりとは分かっていません。しかし、女性ホルモンである「エストロゲン」が関与していると考えられています。女性ホルモンが減少する閉経後に子宮筋腫が小さくなるという特徴も、女性ホルモンが関与しているといわれる理由の一つでしょう。
2) リスク要因とは
子宮筋腫のリスク要因として、以下が挙げられます。
● 初経年齢が低い
● 妊娠回数が少ない
● 経口避妊薬の服用
子宮筋腫は遺伝性の病気ではありませんが、家族に子宮筋腫の既往歴がある人がいると、リスクが高くなるというデータもあります。ほかにも肥満や高血圧、喫煙、飲酒が子宮筋腫のリスクを高めるともいわれているため、注意していきましょう。
3. 子宮筋腫の症状

子宮筋腫の症状には、月経の際に出血量が多い「過多月経」と、強い月経痛があります。月経時の出血量が多いことから、動悸や息切れ、めまいといった貧血症状を伴うこともあります。子宮筋腫ができる場所によっては、おなかにしこりを感じたり、圧迫感や頻尿、腰痛、便秘といった症状が出る人もいるでしょう。
しかし、子宮筋腫は無症状のことが多く、検診や妊婦健診で発見されることがほとんどです。婦人科の受診はほかの病院に受診するよりもハードルが高いと感じる人も多いと思いますが、気になる症状がある人は早めの受診がおすすめです。
4.子宮筋腫と妊娠・出産

子宮筋腫があっても妊娠・出産は可能です。しかし、大きさや位置によっては、受精卵の着床が妨げられてしまったり、流産・早産のリスクが高くなったりします。また、筋腫によって赤ちゃんが圧迫されて、逆子や胎盤の異常を起こすこともあります。場合によっては帝王切開での出産になるケースもあるため、定期的な妊婦健診で赤ちゃんと妊娠の経過に問題がないか、経過をみていくことが大切です。
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5. 子宮筋腫の治療法

子宮筋腫が小さい場合は、治療をせずに経過をみることもあります。しかし、医師が治療が必要だと判断した場合、薬物もしくは手術による治療をおこないます。どちらの治療法になるかは、筋腫の大きさや数、症状、妊娠の希望の有無、年齢などから総合的に判断されます。
1)薬物療法
薬物療法では、ホルモンを投与することで子宮筋腫を小さくする「ホルモン療法」がおこなわれます。ホルモン療法では筋腫が完全になくなることはなく、縮小させることで症状の緩和を目指す治療法です。
ホルモン療法では原因と考えられているエストロゲンの量を減らすため、体が閉経に似た状態となります。月経が止まることで貧血症状の改善が見込めますが、副作用として更年期症状が出る人もいます。
また、ホルモン療法では骨粗しょう症のリスクが高くなるため、治療をおこなう期間が限られています。治療を中止すると徐々に筋腫の大きさが戻ってしまうため、手術の前段階として筋腫を小さくすることを目的にホルモン療法をおこなうことが多いでしょう。
2)手術療法
子宮筋腫核出術
子宮筋腫を切除する方法で、小さな筋腫に対して行われることが多い手術法です。将来妊娠を希望している人も、この手術法を選択する人が多いとされています。デメリットとしては、出血量が多くなることや再発のリスクがあげられます。
子宮全摘術
子宮全摘術は、子宮全体を切除する手術方法です。子宮を残さないことで再発のリスクや月経に伴う症状がなくなることがメリットとしてあげられます。しかし、妊娠を希望している女性は、この手術方法を選択することができません。
どちらの手術方法を選択するかは、子宮筋腫の状態や妊娠を希望するかなどによって決まります。また、どちらの手術方法にも開腹手術とよばれる腹部を切開する方法と、傷の小さい腹腔鏡手術とよばれる方法があります。どちらの手術にするのか、手術方法はどうするかについては、医師としっかり相談して選択していきましょう3)。
まとめ:子宮筋腫は自分では気付きにくい婦人科疾患。妊娠中は定期的な健診で、経過をみていこう
子宮筋腫は、婦人科疾患のなかでも珍しくない病気の一つです。妊娠中は定期的な妊婦健診を受けることで、赤ちゃんへの影響がないか、妊娠の経過に問題はないかを確認していきましょう。
子宮筋腫の治療法は、女性のライフステージによって異なります。どのような治療を受けるか、メリット・デメリットをしっかりと理解したうえで、納得できる方法を選択していくことが大切です。
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参考文献・参考サイト
1)日本産科婦人科学会 子宮筋腫
2)関西医科大学付属医療機関
3)日本婦人科腫瘍学会 子宮筋腫
この記事の監修
牛丸敬祥 医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

経歴
- 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
- 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
- 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
- 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
- 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
- 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
- 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。
