産後の腰痛を解消したい!原因から対処法まで詳しく解説【医師解説】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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産後の腰痛を解消したい!原因から対処法まで詳しく解説【医師解説】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

産後の腰痛を解消したい!原因から対処法まで詳しく解説【医師解説】

 

産後の腰の痛みは、ママの産後のよくある不快症状のひとつ。赤ちゃんとの新生活が始まって、つらい腰痛を感じながらの慣れない育児は大変ですよね。そんな産後の腰痛の原因は何なのか?腰痛解消法はあるの?というママの疑問を解説していきます。

 

 

1. 産後の腰痛の原因とは

 

産後の腰痛の原因は、大きく分けて3つあります。

● 妊娠・出産による身体の変化
● 出産時の負担
● 産後の生活

それぞれくわしく解説していきます。

 

1) 妊娠・出産による身体の変化

妊娠・出産で女性の体は大きく変化しますが、特に腰痛に影響を与えるのが妊娠中のホルモンバランス・筋力の低下・姿勢です。

腰痛の原因であるホルモンは、出産準備のために卵巣や胎盤から分泌される「リラキシン」です。リラキシンが分泌することで、骨盤の靭帯や関節が緩まり、出産時に赤ちゃんが産道を通りやすいようサポートしてくれます。リラキシンは出産前から産後数週間にかけて分泌するため、産後も骨盤周囲が不安定になり、腰に痛みがでてしまうのです。

また、妊娠中から産後は腹筋や骨盤周囲の筋力が低下してしまいます。腰を支える筋力が弱くなって、腰に負担がかかってしまい腰痛を発症してしまいます。

また、産後の急激な体型の変化によって、体全身のバランスが崩れてしまい、腰に負担がかかってしまうのです1)

 

2) 出産方法による違い

自然分娩と帝王切開、どちらの出産方法も、腰に大きな負担がかかっています。自然分娩では仰向けの体勢になる時間が長くなる人も多いため、腰に負担が掛かりやすく、産後に腰痛を感じるママが多いでしょう。

対して帝王切開では、おなかを切開するため、術後はおなかの筋力が低下してしまいます。腰と腹筋は密接に関係していて、腹筋が弱いことで腰の支えが不安定となり、腰痛を発症してしまうのです。また、帝王切開後は傷の痛みからお腹にうまく力が入らずに、しばらくは腰が反りやすくなります。反り腰も腰の痛みの原因となるため、姿勢を気を付けることも腰痛の軽減には大切となるでしょう。

 

3)産後の生活習慣が与える影響

赤ちゃんとの生活が始まると、妊娠前にはあまりしない姿勢になることが多いでしょう。たとえば、産後は抱っこや授乳などの前かがみの姿勢が多くなります。前かがみの姿勢は腰に負担をかけやすく、腰痛を引き起こしてしまうのです。

また、産後はなかなかまとまった睡眠をとるのがむずかしく、体の回復に時間がかかってしまいます。腰痛を改善するために必要な筋力の回復も、睡眠不足の状態では遅れてしまい、発症した腰痛がなかなか治らないのです。

 

 

 

2. 産後の腰痛いつから?こんな症状は要注意

 

ここからはいつから腰痛が発症しやすいのか、腰痛に伴って出る症状で注意が必要なものについて解説していきます。

 

1) 軽度の腰痛の症状

軽度の腰痛では、腰に限定した痛みがでることがほとんどです。鈍い痛みを感じる人もいれば、鋭く刺すような痛みを感じる人もいるでしょう。

腰部の鈍い痛みは、ホルモンの変化や骨盤のゆるみが原因のほとんどです。産後2カ月ごろには軽減されることが多いですが、数ヶ月続くこともあります。

対して鋭い痛みは、筋肉や関節が妊娠前の状態に戻る途中でのズレや負担が原因です。抱っこや授乳、おむつ替えなどの前かがみの姿勢や、起き上がるタイミングなどに鋭い痛みを感じることが多いでしょう。

 

2) 病院受診が必要な症状

産後の腰痛で歩けないほどの激痛や足にしびれや脱力感がでるなどの、日常生活に大きく支障をきたす場合は早めに受診をした方がよいでしょう。また、発熱を伴う腰痛はなんらかの感染症の疑いがあるため、すぐに医療機関に相談しましょう。

 

3) いつから症状が現れるか

産後の腰痛は出産後すぐから始まります。産後1カ月を過ぎると、腰痛の原因の一つであるリラキシンが減少するため、骨盤が安定して腰の痛みがよくなるママも多いでしょう。しかし、リラキシン以外の骨盤周りの筋力の低下や抱っこや授乳など姿勢が原因で、腰痛が続く人もいるため引き続き注意していきましょう。

 

 

3. 自宅でできる腰痛対策

正しい寝方と姿勢

産後の腰に負担をかける姿勢が、前かがみの姿勢です。赤ちゃんの抱っこや、授乳やおむつ替えで、産後は前かがみになる回数が多くなります。姿勢に注意して、なるべく腰を落として赤ちゃんを抱きあげたり、赤ちゃんの体を密着させて両手で抱えたり、授乳クッションやタオルで姿勢に気を付けるというポイントを守って、腰痛悪化を回避しましょう。

また、寝る時に仰向けになりやすい人は、膝の下にクッションを置くと、腰が反るのを抑えられて負担が軽減できます。横向き寝の人は、クッションや抱き枕を両膝に挟むことで、骨盤が安定するでしょう。NGな寝方は、うつ伏せ寝です。腰が不自然に反ってしまい、腰痛を悪化させる原因となってしまいます。

 

ストレッチと軽い運動のすすめ

ストレッチや軽い運動をすることで、骨盤周りの筋肉の緊張をほぐして、腰の安定性を高めてくれます。産後すぐは産褥体操とよばれる腹式呼吸や足先・足首の運動といった軽いものから始めて、徐々に腰上げや骨盤をねじる運動といった強度を上げていきましょう2)。ただし、無理なストレッチや運動は逆効果になることがあるので、注意しましょう。

 

骨盤ベルトの利用

骨盤ベルトは、出産で緩んだ骨盤周囲の靭帯をサポートしてくれます。骨盤を安定することで腰への負担をかるくしてくれるだけでなく、骨盤を正しい位置に固定する効果もあります。

産後の状態によっては、骨盤ベルトを装着するときに注意が必要な場合があります。医療スタッフに相談して装着していきましょう。

 

湿布やマッサージの活用

腰に痛みがあると湿布や痛み止めなどの薬を使いたくなると思いますが、授乳中のママはシップの成分が母乳に移行してしまうタイプのものがあります。使用前に必ず医師に相談しましょう。

また、痛みの強い腰痛にはマッサージも効果的ですが、産後の体はデリケートなため医師に相談し、マッサージ前には産後であることも伝えることが大切です。

 

 

4.産後腰痛の治療 ~病院や整形外科での受診について~

 

腰痛がおさまらず痛みが長引くときは、病院や整形外科への受診を検討しましょう。整形外科では、必要に応じてレントゲンなどの検査や理学療法などのリハビリ、薬物療法をおこないます。保険適用になる場合もあるため、病院で確認しましょう。

整骨院は、筋肉や関節を調整して腰痛緩和を目指します。ほかにも腰痛のツボに鍼を刺す鍼灸院での治療もあります。「帝王切開後でも大丈夫?」など産後の腰痛治療に不安がある方は、一度受診を検討している医療機関に相談してみましょう3)

 

 

まとめ:産後はママの体を大事にして腰痛を軽減しよう

産後は赤ちゃんとの新生活が始まり、ママは自分よりも赤ちゃんのことを優先しがち。しかし、産後すぐの体は交通事故にあったのと同じくらい、体にダメージがあるといわれています。産後のママの体を大切にすることは、これから続く赤ちゃんとの生活をスムーズに送るためにも大切なことです。体を休められる時間はしっかりと休養をとりましょう。

産後の腰痛の原因の1つであるリラキシンの分泌は、産後1カ月ほどで徐々に安定していきます。そのことにプラスして日々の姿勢に気を付けることで、産後の腰痛と上手につきあっていきましょう。

 

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参考文献・参考サイト[16.1]
1)宮崎大学医学部 妊産褥婦における骨盤支持の目的と方法および効用に関する文献検討
2)県立宮崎病院 産褥体操
3)産褥期の産後腰痛患者に対する理学療法の効果

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。