生理前のつらいPMS(月経前症候群)とは?月経前症状の基本を知ろう|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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生理前のつらいPMS(月経前症候群)とは?月経前症状の基本を知ろう|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

生理前のつらいPMS(月経前症候群)とは?月経前症状の基本を知ろう

 

毎月の「生理」が近づくと、理由もなくイライラしたり、頭痛や強い眠気に悩まされたりと、落ち込んでしまう方もなかにはいるでしょう。実はそれは、多くの女性が経験しているPMS(月経前症候群)という医学的な状態かもしれません。
この記事では、PMSとは何か、症状はいつから出るのか、その仕組みや診断の考え方をわかりやすく解説します。さらに、ピルなどのくすりや漢方、市販薬を使った治療・対処法までを紹介し、「毎月つらい」を少しでも軽くするためのヒントをお伝えします。

 

 

1. PMS(月経前症候群)とは?いつから起こるのか仕組みと診断

 

生理前になると毎回決まって心や体がつらくなるとしたら、それは単なる「体調不良」ではなく、ホルモンの変化によって起こるPMSの可能性があります。

PMSは周囲からも理解されにくく、「気持ちの問題」と片づけられがちですが、きちんとした診断や治療によって、症状を大きく軽くできることも少なくありません。ここでは、PMSとはどのような状態か、その仕組みと診断方法を説明します。

 

1) 生理の3〜10日前に始まる不調の正体

PMS(月経前症候群)とは、一般的に生理が始まる3〜10日前から続く、精神的あるいは身体的な不調を指します。最大の特徴は、生理の開始とともに症状が急速に軽快、あるいは消失するという点です1)

この不調の正体は、女性ホルモンの急激な変動にあります。排卵後から生理前にかけて、女性の体内では「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌量が大きく変化します。特にプロゲステロンが急増し、その後急落することで、脳内の神経伝達物質や自律神経に影響を与えてしまうのです。これが、心や体にさまざまなトラブルを引き起こす直接的な原因と考えられています。

 

2) 病院での診断基準と受診の目安

産婦人科における診断では、血液検査や特別な数値だけで判断するわけではありません。最も重要視されるのは、いつから不調が始まり、いつ終わるのかという症状の周期性です。

 

医師は主に以下のポイントを確認します。
・症状が生理の前に現れ、生理開始後すぐに消えるか
・ 日常生活(仕事、家事、人間関係)に支障が出ているか
・ 過去3ヶ月以上にわたって、繰り返し症状が出ているか

 

受診を検討する際は、基礎体温表やスマホのアプリなどで、症状日記をつけておくのがおすすめです。どの時期にどんな不調が出るかを記録しておくと、医師への相談がスムーズになります。「これくらいで病院に行ってもいいのかな?」と迷うかもしれませんが、ご自身が「毎月つらい、なんとかしたい」と感じた時が、受診のベストタイミングといえます。

 

 

2. 眠気や頭痛だけじゃない?PMSの多様な症状

 

PMSの症状は、驚くほど多岐にわたり、人によって症状の出方や組み合わせ、重症度も全く異なります。先月は眠気が強かったのに、今月はイライラが止まらないといったケースも珍しくありません。自分にどんな「症状」が出やすいのかを知っておくだけでも、生理前を穏やかに過ごすための心構えができるようになります。

 

1) 身体的な症状:吐き気・頭痛・眠気など

PMSであらわれる身体的な症状は、とても幅広いのが特徴です。代表的なものをまとめると、次のようになります2)

症状の種類

具体的な症状の例

痛み

頭痛、腹痛、腰痛、関節痛、乳房の張りや痛み

消化器系

吐き気、下痢、便秘、食欲の増加・減少

神経系

強い眠気、だるさ、めまい

体の変化

むくみ、体重増加、肌荒れ、ニキビ

 

特に、「生理前になると急に眠くて仕事にならない」「会議中に頭がズキズキして集中できない」「吐き気がして食事をとりにくくなる」といった悩みはよく聞かれます。これらは決して怠けや気持ちの問題ではなく、ホルモンや自律神経の変化が関わる医学的な症状です。

「体質だから」「年齢のせいだから」とあきらめず、一度PMSの可能性を考えてみる価値があります。眠気や頭痛に対しては、市販薬の鎮痛剤やカフェイン入り飲料でしのいでいる方も多いですが、自己判断での連用は注意が必要です。症状の背景にPMSがある場合、根本的な治療(ホルモンバランスを整えるなど)を行うことで、症状そのものが軽くなるケースもあります。

 

2) 精神的な症状:イライラや気分の落ち込み

PMSで特に「つらい」と感じることが多いのが、精神的な症状です。身体の痛みよりも、心のつらさのほうが耐えがたいという声もよく聞かれます。

 

主な精神的症状は、次のようなものです。
・ 些細なことでイライラして、家族や同僚にきつく当たってしまう
・ 気分が急に落ち込み、「自分はダメだ」と強く感じてしまう
・ 不安感が強まり、眠れなくなることがある
・ 集中力が続かず、仕事や勉強のミスが増える
・ 理由もなく涙が出る、感情のコントロールが難しくなる

 

これらは、女性ホルモンの変動が脳内の神経伝達物質に影響し、感情の波を大きくしてしまうことで起こると考えられています。つまり、「これはPMSの症状なんだ」と理解することは、自分を責めすぎないためにもとても大切です。

精神的な症状が強いタイプでは、「月経前不快気分障害(PMDD)」と診断される場合もあります。PMDDは、PMSの中でも特に心の症状が重く、日常生活に大きな支障をきたす状態です。生理前になると「もう消えてしまいたい」「何もかも嫌になる」といった強い気持ちになる場合は、早めに医師に相談してください。適切な治療によって、気持ちがぐっと楽になることも珍しくありません。

 

 

3. 我慢しないで!ピルや漢方による治療と対処法

 

PMSはさまざまな治療法や対処法があり、多くの方が症状の軽減を実感しています。ここでは、代表的なくすりによる治療について説明します。

 

1)低用量ピルなどの「くすり」を使った治療

PMSの症状緩和において、非常に高い効果を期待できる「くすり」が、低用量ピル(経口避妊薬・低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)です3)

ピルは排卵を一時的に抑えることで、女性ホルモンの激しい波を一定に保つ働きがあります。この働きによってPMSの症状が軽くなることが多く、毎月の体調不良に振り回されなくなるため仕事やプライベートの予定が立てやすくなります。「ピルを飲むのは少し怖い」と感じる方もいるかもしれませんが、現在の低用量ピルは副作用も抑えられており、多くの女性にとって生活の質を劇的に向上させる有効な選択肢となっています。

 

 

 

2)体質に合わせた「漢方」や「市販薬」の活用

ホルモン剤に抵抗がある方や、より自然な治療法を望む方には、漢方薬という選択肢があります。
漢方は、西洋医学のように「症状を抑える」というアプローチではなく、「体質を整える」というアプローチをとります。ホルモン剤による副作用が心配な方や、むくみや冷えが強い方には、特に適しているケースが多いでしょう。また、PMSにともなう痛みや頭痛に対して、市販薬の鎮痛剤を活用することもあります。

大切なのは、医師と相談しながら、自分に合った対処法を見つけることです。ピルが合わない場合は漢方を、ホルモン療法に抵抗がある場合は市販薬とセルフケアの組み合わせを。あなたの体と心の声に耳を傾け、柔軟に治療法を選択していくことが重要なのです。

 

 

まとめ:PMSは我慢するものではなく、適切にケアして付き合っていくものです

PMSの症状は、頭痛や眠気、吐き気といった身体的なものから、イライラや気分の落ち込みなど精神的なものまでさまざまです。低用量ピルなどのくすりによる治療、体質に合わせた漢方、市販薬の上手な活用を組み合わせることで、「毎月つらい」を「なんとか乗り切れる」に変えられる可能性があります。

毎月のことだからとあきらめず、「生活や人間関係に影響が出ている」と感じたら、遠慮せず産婦人科を受診してください。医師と一緒に自分に合った対処法を探していくことが、あなた自身を守り、家族との時間をより穏やかなものにしていく第一歩になります。

 

 

 

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参考文献・参考サイト
1) 公益社団法人産婦人科学会;産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2023
2)公益財団法人 日本産科婦人科学会:月経前症候群
3) 大塚製薬:PMSラボ

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。