産後の便秘はいつまで続く?原因と解消法をわかりやすく解説【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

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産後の便秘はいつまで続く?原因と解消法をわかりやすく解説【医師監修】|ガーデンヒルズウィメンズクリニック|福岡市中央区の産婦人科

産後の便秘はいつまで続く?原因と解消法をわかりやすく解説【医師監修】

 

産後の便秘は多くの方が経験するトラブルですが、なぜ起こるのか・いつまで続くのか・正しい解消法は何かを知らないまま我慢してしまうケースも多いものです。

この記事では、産後の便秘の原因から解消法、薬や受診の目安までをわかりやすく解説します。

 

 

1. 産後になぜ便秘になりやすいの?

 

産後の便秘には、ホルモンバランスの変化や体力の低下など、いくつかの原因が重なっています1)。ここでは代表的な原因について解説します。

 

1)ホルモンバランスと体の変化による原因

妊娠中はプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で腸の働きが緩やかになっており、この影響は出産後もしばらく残ることがあります。

腸の動きが戻りきらないうちは、便が腸内に長くとどまりやすく、便秘になりやすい状態が続きいてしまうのです。また、出産による体力の消耗・入院中の運動不足・授乳による水分不足・食事量の変化なども、腸の働きを低下させる原因になります。

 

2)会陰切開・会陰裂傷・帝王切開が便秘に与える影響

会陰切開や会陰裂傷の傷口周辺には、出産後しばらく痛みが残ります。「いきんだら傷口が開いてしまうのでは?」という恐怖心から、便意があってもトイレを我慢してしまうことが、便秘を悪化させる大きな要因になっています。いきんで傷口が開くことはほとんどありません。帝王切開でも同様のことが言えます。

我慢を繰り返すと便が硬くなり、出すときにさらに痛みを感じるという悪循環に陥りやすくなります。傷口の回復に合わせて少しずつ排便への恐怖心を和らげていくことが大切です。

 

 

2.産後の便秘はいつまで続く?

 

産後の便秘は、多くの場合は体の回復とともに数週間程度で自然に落ち着いてきます。ただし、会陰切開の傷の痛みや育児による生活リズムの乱れが続くと長引くこともあり、個人差が大きいのが現実です。

一般的には産後1ヶ月健診のころを目安に改善してくる方が多いですが、授乳期間中は水分が失われやすく、便秘になりやすい状態が続く方もいます。
以下のような場合は、自己判断で様子を見続けず、医療機関に相談しましょう。

・産後数ヶ月以上経過しても便秘が改善しない
・強い腹痛・腹部の張り・血便などを伴う
・排便時の痛みがひどく、日常生活に支障が出ている
・市販の便秘薬を使っても効果がない

これらの症状がある場合は、産婦人科や消化器内科への受診を検討してください。

 

 

3.産後の便秘の解消法

 

産後は体力が回復しきっていない時期のため、無理のない範囲で取り組める解消法を選ぶことが大切です。焦らず、できることから少しずつ始めてみましょう。

 

1)食事や水分でできる解消法

腸の働きを助けるために最も手軽にできることが、食物繊維の多い食事とこまめな水分補給です。野菜・海藻・きのこ・豆類・果物などに含まれる食物繊維は腸の動きを促し、便通を改善する効果が期待できます。

水溶性食物繊維(海藻・果物・大麦など)と不溶性食物繊維(野菜・豆類・玄米など)をバランスよく摂ることが理想です。また、発酵食品に含まれる乳酸菌も腸内環境を整えるのに役立ちます。
授乳中は母乳を通じて水分が失われるため、意識的に水分を補給することが特に重要です。起床後すぐにコップ1杯の水を飲む習慣をつけると、腸が刺激されて排便を促しやすくなります。1日あたり1.5〜2リットルを目安に、こまめに摂るようにしましょう。

 

2)排便時に負担をかけない工夫

会陰切開や会陰裂傷の傷口がある場合、排便時の「いきみ」が痛みや恐怖心につながることがあります。そんなときに効果的なのが、清潔なタオルや産褥パッドで会陰部をやさしく押さえながらいきむ方法です。帝王切開の場合は腹部を軽くおさえ前かがみになるのもよいでしょう。

傷口を手で支えることで痛みが軽減され、恐怖心が和らぎます。「支えながら排便する」という方法は多くの現場でも指導されており、産後のトイレが怖いと感じているママにぜひ試してほしい工夫のひとつです。
また、洋式トイレで足台を使って膝を高くすることで、排便しやすい「しゃがむに近い姿勢」が取れ、いきみの負担を軽減できます。便意を感じたときにすぐトイレへ行く習慣も意識しましょう。

 

 

4.  薬に頼ってもいい?何科を受診すればいい?

 

「薬を飲んでもいいのか迷っている」「どこに相談すればいいかわからない」という方は少なくありません。産後は自己判断で市販薬を使うことに不安を感じる方も多いですが、適切な薬との付き合い方を知っておくことで、より早く楽になることができます。

 

1)授乳中でも使える薬について

産後の便秘に対しては、医師の指導のもとで使用できる便秘薬があります。授乳中でも比較的安全に使えるとされる薬として、酸化マグネシウム(便を柔らかくするタイプ)などが使われることがあります。

ただし、自己判断で市販の便秘薬を使うことは避けましょう。刺激性下剤(センナ・アロエなど)は腸を強制的に動かすタイプで、母乳を通じて赤ちゃんに影響を与える可能性があります2)。必ず医師や薬剤師に「授乳中である」と伝えたうえで、適切な薬を選んでもらってください。

 

2)何科を受診すればいいか

産後の便秘については、まず出産した産婦人科に相談するのが基本です。産後1ヶ月健診の際にかかりつけ医に相談する方法もあります。産婦人科では会陰切開の傷の回復状態も確認しながら、便秘への対処法を一緒に考えてもらえます。

便秘の症状が強い・腹痛や血便を伴う・産婦人科で改善しないといった場合は、消化器内科への受診も選択肢です。また、痔の痛みが強い場合は肛門外科への相談も検討してみてください。「どこに行けばいいかわからない」という場合は、かかりつけの産婦人科医に紹介状を書いてもらうとスムーズです。

 

 

まとめ:産後の便秘は、体の変化と傷の痛みが重なって起こる一時的なトラブル

産後の便秘は、ホルモンバランスの変化・運動不足・水分不足・会陰切開の傷による恐怖心など、複数の原因が重なって起こります。多くの場合は体の回復とともに数週間で改善しますが、長引く場合や症状が強い場合は我慢しないことが大切です。

食物繊維と水分をしっかり摂ること、傷口を支えながら排便する工夫、便意を逃さない習慣など、日常の中でできることから始めてみてください。薬を使いたいときは必ず医師や薬剤師に相談を。まずは産婦人科に相談するのが一番の近道です。つらいときはひとりで我慢せず、気軽に声をかけてください。

 

 

 

 

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参考文献・参考サイト
1) 日本臨床内科医会:便秘
2) MSDマニュアル プロフェッショナル版- 01. 消化管疾患 -便秘

 

この記事の監修

牛丸敬祥  医療法人 ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長

院長 牛丸 敬祥

経歴

  • 昭和48年 国立長崎大学医学部卒業
  • 長崎大学病院産婦人科入局。研修医、医員、助手、講師として勤務。
  • 産婦人科医療を約13年間の研修。体外受精に関する卵巣のホルモンの電子顕微鏡的研究
  • 医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立病院 嬉野医療センター産婦人科部長
  • 長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科・婦人科うしまるレディースクリニック院長
  • 産婦人科の他に麻酔科、小児科の医局での研修
  • 産婦人科医になって51年、35,000例以上の出産、28,000例の硬膜外麻酔による無痛分娩を経験しています。